閑話3
少し短いです。
法王国のとある一室にて─
「まさか、イルミナ将軍が敗れるとは…………」
教皇は王国侵攻作戦が出鼻で挫かれた事に苛立ちを隠せなかった。
「大量のゴーレムの召喚により騎士団は壊滅、そして敗走。イルミナ将軍が辛うじて殿を務めてゴーレムを倒したながら押し止めたか」
教皇はゴーレムが襲ってきた事に頭を悩ませた。魔力さえあれば幾らでも召喚できる理想の兵隊だからだ。裏切る心配もない。
「この力、間違いなく四大精霊が関与しているはずだか、姿を現しておらぬので他国に危機感を煽り、複数の国から王国を攻める手は使えぬ。しかも王国は軍事演習だという趣旨を貫いておる!忌々しい!!!!」
王国側はこの度の大規模戦闘は軍事演習だと抜かして、戦争など仕掛けていないとシラを通している。理由としては、『怪我人』が出ていないからだという。確かに本当は騎士団に多数の怪我人が発生していたが、王国側の『聖女』によって何百人もの騎士団の者が癒されていた。
抗議しようにも、王国側の怪我人はゼロ。つまり、これを表立って抗議すると法王国はまともに戦うとボロ負けすると言っているような物である。
まぁ、国境にいた商人や旅人から噂は広まっているのだが、逆にゴーレム相手に軍事演習をしたと認めた方が国としての威信に傷が付かないのだ。
この事実が教皇をより苛立たせていた。
「イルミナめ!せっかく目を掛けてやったと言うのに!」
イルミナを拾ったのは偶然であった。教皇の業務として精霊が住まうと呼ばれる火山の神殿に赴いた時であった。立ち入りを禁じられている火山の神殿に赤子であったイルミナがいたのは。教皇はその赤子を引き取り育てる事にした。それは慈愛からではなく、火山の神殿にいた赤子が精霊と何かしら関係があるかも知れないという思いと、捨て子を育てる事をアピールすることで、民衆からの支持を得る為もあった。
そして、その教皇の予想は当たりイルミナは精霊の愛し子と判明し、教皇の後ろ楯は磐石のものとなった。
そして、幼少の頃より洗脳教育を施されていったイルミナは成長とともに、教皇の言うことを何でもきく人形に成り果てていた。
四大精霊であるイフリートからの使命も忘れて─
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そんな時だった。
目を覚ましたイルミナ将軍が消えたという報告がもたらされたのは─
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここで場所が切り替わる。
─同時刻─
「色々とありましたが、ようやく亜人連合国にたどり着きましたね」
「そうだね………色々あったわね」
船の手すりに背を当てて、海を見つめるノームは、失恋したような少女の雰囲気を出しながら言うのだった。そう、ただの雰囲気を出したかっただけだった!?
と、どうでもいい格好を付けていたノームは海に捨て置いて、港に着くと国賓待遇で歓迎された。
「ようこそおいでくださいました!」
「大変遅くなって申し訳ございません。色々と『トラブル』が続いたものですから」
「ええ、ある程度は存じております。積もる話は王城にて我が主と致しましょう。ご案内致します!」
こうして、レイラ公爵婦人は歓迎されながらエルフのお城へ案内されるのだった。
※補足事項
亜人連合国は西側の世界樹のある場所が王都に当たり、エルフやドワーフが多く住んでいる。東側には広い平原が広がっており、大規模農業が開拓され、主に獣人達が多く住んでいる。
帝国からの驚異に対抗するために連合を組んだことで、元々は別々の国だったが協力体制を取ったことにより亜人連合と呼ぶようになりました。
はい!ここテストにでるよー!
次回バトル!
今回短い分、次回は長めです!
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