覚悟しろ!(八つ当たり)
ソフィア王妃様とレイラ公爵婦人の頑張りで、海龍のブレスを防いだシオン達は、海龍が水中に潜る前に攻撃を仕掛けるのだった!
「魔力障壁とは盲点だったわ!得意技以外も使わないとね!」
ノームは魔力を溜めた。同じくシオンも魔法の準備に入ったが─
ドコッーーーン!!!!!
突然、海龍が爆発した!
「えっ?何?」
シオンは魔法の準備中でまだ攻撃をしていない。横を見るとノームもまだ攻撃していなかった。辺りを見渡すと後方でギルドのお爺ちゃんが『砲弾』を片手で持って・・・いたーーーーー!!!?
「えっ!?何あれ?………まさか!?」
「ほっほっほっ!砲撃するより投げた方が威力がでるのでなっ!」
ギルドのお爺ちゃんはイチロー顔負けのレーザービームの様に、砲弾を目に見えないスピードで投げたのだった。
ドコッーーーン!!!!!
海龍の分厚い鱗も砕き、海龍も堪らず水中へ潜ろうとした。そこに、ノームの魔術が炸裂した!
「久々に使うけど、逃がさないわよ!いっけーーー!!!『重力球』!!!」
ノームは土属性の重力の玉を無数に発現させ、海龍へと発射した。重力球は海龍ではなく、水中へと発射され、海底の海龍の周辺で爆発した!
グオォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
重力球は爆発すると、海龍の身体に電流の様に纏わりつき海龍の動きを封じ込めた。
「ぐぎぎぎ……………」
流石のノームであっても、絶対的質量を誇る海龍の動きを封じ込めるのに苦労していた。
海龍も、束縛を解こうと暴れまくる!
「良くやったわ!緑聖魔術『束縛の戒め』!!!」
海中で動きを封じられた海龍に、ギザギザのトゲの付いている弾力性のある植物の網で、更に海龍を縛りつけた!
「さっきの仕返しよ!びっくりさせやがって!」
清々しいほどの逆恨みである。
海龍を締め付ける度に、強靭な鱗にトゲが食い込み痛みに吼える海龍!
「更に、緑聖魔術『植物超成長』!!!」
海龍に纏わりつ付いた植物の蔦から大きな『植物の傘』が生まれ、浮力として地上へと浮いていった。植物学者が見ればその植物は『オオオニバス』(大鬼蓮)と言うのがわかるだろう。サイズはとんでもないが。それが多数!
「このまま海面に引き揚げるわよ!」
「ええ!」
シオンとノームは海中にいる海龍を少しずつ引き揚げていった。
海面に海龍の頭が浮かび上がったとき、ギルド長は船に乗せていた『酒樽』を海龍の口に投げ入れた!
バギバギッ!!!
海龍は口に投げられた酒樽を噛み砕いた。すると、アルコール度数の高い酒が海龍の体内に入り、海龍はすぐにプカーと浮いて眠ってしまった。
「ありゃ?もう寝ちゃった!?」
「睡眠薬も入れてありましたからね」
シオンは束縛の魔法のみ解いていた。そして、ウンディーネに語り掛けた。
『ウンディーネ!無事!?助けにきたよ!』
!?
『主殿か!海龍が大人しくなったのは主殿が何かやったのかのぅ?』
『今、海龍は眠っているの!今なら出てこれるよ!』
『くっ!?すまぬ。クリス殿を守る為に魔力を使い過ぎた。何とかここまでこれぬか………?』
ウンディーネの言葉に力がない。本当に疲弊しているようだ。
『なら、私がすぐにいくからね!待って!』
『えっ?ちょっ!まつ─』
シオンはウンディーネの言葉を待たずに念話を解くと、すぐに行動に移した。
「よし!行ってくるよ!」
シオンの言葉に船の上の者達は首を傾げた。
「待てシオン!どこにいく?ウンディーネはなんと?」
「なんか、ディーネも力が尽きそうだから迎えに行ってくるね!」
そう言うと、シオンは植物の蔦を使い海龍の口へ入っていった。
!?
「お、おい!シオン!?」
いくら眠っているとはいえ、海龍の口に自ら入っていける者などどれほどいるだろうか?
驚く者達を置いて、シオンは海龍の口から体内へと進んでいった。
途中、水で進めなくなると、ウンディーネの指輪から水の障壁が自然と発生し、シオンを丸い球体で包んだ。
「おお!?これで水の中でも大丈夫だよ!」
海龍の口から体内に入っていくと、クネクネと狭い道を進み、遂に海龍の胃へたどり着きました。そこはガスが発生しており水中ではなかった。
海龍の胃の中の中央に、小さな小舟が丸ごと水に浮かんでいるのが見えた。一歩、足を入れると、水の障壁がジュウーーーと音を立てました。
「うわっ、流石に胃酸はヤバいね!ならば!」
ウンディーネもシオンの事に気付き叫んだ!
「シオン!?御主、海龍の口から入ってきたのか!?」
驚くウンディーネに、シオンは緑聖魔術で植物の蔦を小舟を守っている水の障壁ごと巻き付けて、引き寄せた。
「ウンディーネ!話は後よ!さっ、クリスを連れて戻るわよ!」
ウンディーネがクリスを担いで運ぼうとした時、海龍の胃の奥から嫌な風が吹いた。
『オオオニバス』は現代でも、子供が乗っても沈まない葉で浮力が強いのです。
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