絶対に助ける!
ウンディーネからの念話が届いたのはクリスから連絡が途絶えてすぐの事であった。
『はぁはぁ…………シオン!聞こえるのかのぅ!?』
切羽詰まったウンディーネの声にノームとシオンは顔を見合わせ応答した。
『ディーネ!いったい何が起こっているの!?』
『シオン!時間がないのじゃ!簡潔に説明する!船で亜人連合国へ向かって行った妾達は海龍に襲われた。海龍は執拗に妾達の船を襲ってきたのじゃが、妾が水の障壁で船を守ったが次第に押されてしまった。そこで、クリスが小舟で囮となり、本船を逃がす事になったのじゃ。無論、妾も一緒じゃ!しかし、海龍に飲み込まれた時、小舟全体に水の障壁で守ったのじゃが、海龍の体内は高密度の海龍の魔力で充満し、妾の魔力が阻害され転移が出来ない状態なのじゃ!』
ウンディーネの怒涛の言葉に、シオンの頭は真っ白になった。
『く、クリスは…………死んだの?』
シオンは1番言いたくない言葉を吐いた。
『安心するがよい。まだ死んでおらぬ!妾が水の障壁で船を包んでおる間は海龍の胃酸などで死にはせぬ!じゃが、酸素に限りがあるのじゃ。少しでも酸素を長持ちさせる為にクリスには魔法で眠って貰ったのじゃ』
ウンディーネの言葉にシオンはホッと一安心した。
『…………シオン、いや主殿!誠にすまぬ!クリスの護衛を任せて貰いながら守れなんだ。水の上と妾は慢心しておったようじゃ。このお詫びは如何様でもする!じゃから、恥を忍んでお願いする!助けにきて欲しいのじゃ』
ウンディーネの悔しそうな想いが伝わってくるような悲痛な声色で懇願してきた。
『すぐに助けにいくから!だからそれまでクリスをお願いね!』
『無論じゃ!この四大精霊の誇りに掛けて守り通すのじゃ!』
そして、ウンディーネの通信が途絶えたのだった。
「ノーム!緊急招集を掛けます!魔物に詳しいグランさんにも連絡して!集合場所はリュミナス王国の王城でっ!」
それからのシオンの行動は早かった。すぐに王城へ転移し、クリスの父親でもある国王に説明した。
「なんだと!?それは本当なのか?」
さすがに国王様も驚きを隠せない様子で、シオンに聞き直してしまった。
「はい。クリスとウンディーネの切羽詰まった念話で嘘はないかと思います………」
国王もシオンの悲痛な表情にハッとなり、言葉を選びながら話した。
「シオン君も息子を心配してくれてありがとう。ウンディーネ殿が守ってくれているんだ。きっと大丈夫だから。元気を出して─」
国王の言葉を遮り、ソフィア王妃がシオンを抱き締めた。
「シオンちゃん。本当にいつもありがとうね。でも、そんな悲しそうな顔をしていたらクリスに怒られるわよ?クリスだけじゃない!私達も元気なシオンちゃんにいつも助けられているんだからね?気持ちを切り替えてクリスを助けましょう!」
「はい!」
シオンは眼をゴシゴシと拭いながら気持ちを切り替えるようと心を落ち着かせるのだった。
その様子を見ていたノームは内心で悪態を付いた。
『ウンディーネのバカ!何をやっているのよ!こんなに純粋で心優しい契約者を、シオンを悲しませるなんて、今度あったら文句を言ってやるわっ!』
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しばらくして、主要メンバーが集まってきた。
「グラン殿、いつも申し訳ない!謝礼は弾むゆえ、息子クリスを助けるために力を貸して欲しい!」
政治的には対立する事のあるグランに頭を下げる国王に、グランは言うのだった。
「よい!すでに息子に帝位を譲った故に暇をもて余しておった所よ。それにワシだけではないしの?」
グランの視線の先にはギルバード公爵と一緒に冒険者ギルドのギルド長まで一緒に来ていた。
「久しぶりじゃのう?海龍が現れたと聞いて、役に立てないか付いてきたぞ」
「ギルド長のお爺ちゃん!?」
意外な人物に驚くシオンだった。そして、クリス王子を救出する為の作戦会議が始まった。
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