これ!あかんヤツだ!?(1番最後の1文でお察し)
王都から法王国の国境へ向かうには3日ほど掛かる。しかし、シオン達には『転移』があるのだ!国内であれば国王が視察で色々と廻っているので、ちょうど良い場所へ飛ぶことが出来たのだ。
「さて、ここが国境砦だ。横に見えるのは国境の石壁だな」
国王様が砦の入口に飛んでくれました。門を守る兵士に来た事を伝えると、兵士達は慌てて門を開いた。
「これは!陛下!?このような危険な場所に来てはいけません!すぐにお戻り下さい!」
砦で出迎えてくれたのは60歳は超えている老将軍であった。若い頃から鍛えていたのか、老人でも通常の兵士より一回り大きかった。
「先触れもなく、急に訪問してすまぬな。マキシム将軍。しかし、法王国の軍が展開されていると聞いて対抗策を持ってきたのだ」
従来であれば先触れがやってきて、いつ来るのかわかる。そして、援軍要請を出していたので、国王が援軍を率いてくることで、士気が上がるのが普通だろう。
しかし、今回は国王陛下は少数でやってきたのだ。しかも、通常より早くやってきた事に老将軍も驚きを隠せなかった。
「対抗策ですと?こちらから伝令を寄越してまだ間もないのに、短時間で訪問できた事と関係があるのですかな?」
流石は長年、国境を守っていただけあり、頭の回転が早い将軍であった。しかし、転移の事は秘密事項の為に、四大精霊のウンディーネの力を借りて(嘘は言っていない)やってきた事を伝えた。
「なるほど。流石は四大精霊様ですな!」
「それよりも、状況を教えて欲しい」
国王はマキシム将軍に現在の状況説明を求めた。
「はっ!それでは、少し移動しましょう。その方が早いかと」
マキシム将軍に連れられ、国境の石壁の上に移動し、法王国側の方を見た。
王国側と法王国側の国境の間には約1キロの平原が広がっており法王国側にも国境の石壁が築かれていた。
王国→【 】←法王国
こんな感じで、お互いの国境の門を通らないと隣の国に行けないようになっているのだ。
そのどちらの領土でもない平原に、法王国の軍隊が陣を構えていた。
「………アイツらは攻撃してくるのか?」
「いいえ、この2日は軍事演習を繰り返しております。夜になると向こう側へ引っ込みますが、国境は閉鎖されており、お互いの商人が困っておりますな」
物流が止まると大変だよ!向こうの世界でも疫病のせいで、都市封鎖で生活物資が足りなくなって大変なんだからね!
「それと、毎日のように偽聖女シオンを引き渡せばすぐに撤収すると文が届けられます」
国王は即座に言いはなった。
「それは却下だな!」
一同が頷いた。
「それで、策とはどうするのですか?見た所、援軍は連れて来られておられぬ様子。向こうは3千の兵士を連れてきています。こちらの守備隊は300ほどです。流石に厳しいのではないでしょうか?」
老将軍は髭を弄りながら、はてさてと言った感じで国王に視線を送ると、国王はにやりっと笑い答えた。
「無論、蹂躙する!」
国王の言葉に老将軍は驚いた。
「こちらから攻めるのですか!?国王陛下の御命令とあらば従いますが、10倍の兵力にどう対抗されるおつもりか!?それよりも、こちらから攻める事で、法王国と全面戦争になりますぞ!」
「ああ、わかっている。王国内を荒らした報いを受けてもらわないとな?」
国王はシオンを見ると、シオンはいつでもいいよー!と気合いを入れた。
「本当に大丈夫なのですか?後に、こちらから仕掛けた事が問題になりますぞ?」
「なに、ただの『軍事演習』をやるだけだ。心配するな」
国王はそう言うとシオンに言うのだった。
「では、シオン君よろしく頼む。できれば死人のでないように気を付けてな?」
「はい!任せて下さい!」
シオンは周りをみて、頑張るよ~と元気に言うのだった。シオンが行動に移す前に、国王は言った。
「シオン君、いつも君にばかり苦労を掛けてすまない。万が一、事故が起こっても君は何も悪くない。全ての責は私が取る。遠慮なくやりたまえ!」
シオンは国王に頭を下げて、両手を広げて魔力を高めた。その魔力が極限にまで高まったとき、眩い光が放たれた!
そして─
王国側の城門前に、『数百体ものウッド君』が召喚されたのだった。
次回のサブタイはこれで決まり♪
『蹂躙せよ!』
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