迎撃せよっ!
手を上げたのはシオンだった。
「法王国の軍はそんなに強いんですか?」
シオンの問い掛けに国王は答えた。
「法王国にはいくつかの騎士団が存在する。今回出てきたのは、他国へ侵攻する目的の聖堂聖騎士団だと思う。彼の率いる将軍は─」
「教皇の懐刀と呼ばれるイルミナ・マグマーン将軍だな」
グランが口を挟み、国王は頷いた。
「まだ年若いが、女性でありながら将軍の地位まで登り詰めた女傑にして、司教の地位も持っている敬虔なる信徒で有名だ」
へぇ~司教って言うと教会でアーメンって言っているイメージが強いんだけど、将軍も務めているなんて働き過ぎじゃないかな?かな?
「彼女は強いぞ!彼女自身が強いのもあるが、そのカリスマ性から、率いる兵士達の士気も高い。正面から崩すのは大変だろう」
国王様やグランさんが敵の強さを褒め称えているが、1つ忘れてないだろうか?
ねぇ?
『目の前の皆さん』
それは人間同士の場合だよね?
それなら─
「聞いて下さい!策があります!」
シオンの発言に国王は耳を傾けるが………
ゴニョゴニョ…………
ゴニョゴニョ…………
!?
「そんな事が可能なのか!?」
シオンの作戦に皆が驚いた。
「いや、しかし実績はあるのだから不可能ではないな?シオン君に負担が掛かるが………」
「それなら大丈夫よ!私も居るしね♪」
ここぞとばかりに静かだったノームが言ってきた。
「シオンのレベルは99だし、水と地の力を持っているのだから、出来ない方がおかしいというものよ」
ノームの言葉にウンディーネが補足した。
「妾達が直接人間の戦に手を貸すと、後々にマズイ事になるのじゃ。隠れて手を貸すとしよう」
ノームに釘を指しつつ、シオンの作戦を実行に移すのだった。
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「シオン、すまない!」
作戦準備中に、クリスはシオンに頭を下げた。
「ど、どうしたのよ!急に?」
訳がわからずに慌てるシオン。
「今回の法王国の件に付いては王国として、国が対応してなんとかしないといけなかったのに…………またシオンにばかり苦労を掛けてしまって………」
クリスはうつむきながら肩を震わせる。
「気にしないでよクリス!私がやりたいからやるのよ!」
「でもっ!自分が情けなくてっ!?」
悔しくて涙を浮かべるクリスにシオンは優しく諭した。
「クリスは情けなくなんてないよ?国や私の為に心配してくれているじゃない。そんなクリスのいる国だから私は守りたいと思うんだよ♪」
シオンはそっと、クリスの額にキスをした。
「シオン!?」
真っ赤になるクリスに、くすりっと笑いながらいうのだった。
「もし、今は力不足でも成人して『結婚』するまでには、力を付けてくれるんでしょう?」
!?
クリスはさらに慌てるが、すぐにもちろんっ!と言って気合いを入れるのだった。そしてシオンもクリスに元気をもらいウンディーネの所へ向かうのだった。
「ノームさん!」
クリスとシオンが話していた頃、フレイがノームに懇願していた。
「今回の作戦なんですが、シオンに人を殺させないで下さい!」
フレイはシオンが人を殺めることを心配していた。ノームはフレイの頭を撫でながら優しく言った。
「もちろんよ!心優しいシオンに人殺しなんてさせないからね!」
口では軽そうに言っていたが、心では強く誓っていたのだ。シオンはいくら強くてもまだ7歳の子供なのだ。子供に人殺しなんていう業を背をわせないと言うことに。
斯くして、様々な思惑が飛び交うなか、作戦決行の時間が訪れるのだった。
ちなみに、亜人連合からの使者については、戦争が起こりそうなので返事は待って貰っています。すまぬ!
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