異常な人ほど異常だとは気付かない!
すみません。またストックが無くなったので次の更新は一週間後の土曜日になります。楽しみにして頂いている所、申し訳ありません!
グイード皇帝に四大精霊のノームが石化していたため、地脈の力が段々と弱まり作物の実りが悪くなったと言う。
「なるほど…………まさか、帝国の不作が四大精霊のノーム殿が不在の為に起こっていたとはな。誰も気付かぬ訳だ」
近年の食糧難にグイードは頭を痛めいたのだが、ようやく解決策が見つかり安堵した。
南の亜人連合国から輸入して対処していたが、バカな貴族達の中に植民地にしてしまえば良いと声を上げていた者も多数いて、何度も国境で小規模な衝突があったのだ。
「しかし、大地に活力が戻るのには最低でも1年は掛かる。飢饉で緊急で食糧生産が必要であればシオンの力を借りるのと、引き続き他国との取引は続けるべきでしょう」
恋愛脳のノームがキリッとした風にグイードに進言した。ノームは見掛けだけなら頼れる姉貴風なのである!
「ええ、ノーム殿の言う通りにします。国家間の取引を急に止めると、お互いの経済に打撃を受け、向こうから責められるかも知れませからね」
「確かに商人なら死活問題ですし、国となれば両方の意味で攻められる(責められる)かも知れませんからね。向こうの国には食糧以外の取引を増やして暫く対応していくのが良いでしょう」
こうして難しい話を進めていき、シオンの事に話題が移った。
「ところで、シオン君がノームとも契約を結んだと言うのは本当なのかい?」
「ええ、間違いないわよ。お陰で魔力不足も解決したしね♪」
ノームがシオンを後ろから抱き締めていった。
「そこなんだ!シオン君はすでにウンディーネ殿と契約を結んでいる。四大精霊の二柱と同時に契約できるものなのか?」
精霊と契約するには膨大な魔力が必要である。四大精霊となれば、それはさらに必要となるだろう。シオンの身を案じたクリスやフレイは大丈夫?とシオンに声を掛けた。
「本当に大丈夫なのか?」
「もしかして寿命が短くなるとかないよね?」
フレイちゃんがサラッと怖い事を言う。
「だ、大丈夫だよ!…………多分」
シオンも不安になってウンディーネを見た。
「……………」
何か言ってよ!
ウンディーネはシオンをじーーーと見て無言だった。そして─
「余り大丈夫ではなさそうじゃな…………」
!?
ええぇ!!!!!
契約の時に大丈夫って言ったじゃん!んっ?ノームとの契約がダメだったの!?どうしよう!!!!
シオンがパニックになってアワアワしてしると、ノームが口出ししてきた。
「こらっ!シオンが怖がっているじゃない!貴女は考えると言葉足らずになる性格、変わってないわねー!」
「お前に言われたくないわ!でもまぁ、すまぬ!主殿、少し落ち着くのじゃ」
ウンディーネに言われてシオンはうるうるした目で見つめた。
「まず、身体に付いては問題ない。先ほどの言葉はシオンのレベルについてじゃ」
???
「何のこと?」
キョトンとした顔をしていると、ウンディーネは額に手を当てて頭を痛めた。
「主殿も自分の異常さを自覚して欲しいものじゃ。…………レベルがどれだけあるか申してみよ」
「レベル?え~と…………99?」
シオンは鑑定で自分のレベルを確認した。そしてそのレベルに周りは驚きの声を上げた。
「レベル99だと!?」
「レベルがMAXでカンストしているなんて!?」
この世界では最高レベルが99なのである。かつて1度書いたのだが、もう一度記載しておく。
一般的な男性なら成人で10~15レベルぐらい
騎士になるには最低レベルが20以上から、ただし有効なスキルや魔法を持って居れば特例で20以下でも加入できる。
30以上になれば騎士団から近衛騎士団レベル。
40以上から副隊長レベルで、50を超えると『英雄レベル』なのである。
「は、ははは…………英雄を通り超して勇者レベルかな?」
乾いた声で笑うグイードに、グランも顔をひきつっていた。
『これはもう一度国王と話し合わねばならんな』
シオン自身は悪い子ではないが、その実力と四大精霊と契約している立場が問題なのだ。これからシオンをどう扱っていくべきかグランは考えていると、グイードが尋ねた。
「その若さでどうやってレベルを上げたんだい?」
「なんか領地が貧しかったので、毎日緑聖魔術を使っていたら上がりました!」
シオンは自信満々に言った。
「そうなのか?それに、クリス王子やフレイヤ公爵令嬢もレベルが高そうだな?」
ダンジョンでは活躍する場が無かったが、二人もすでに並みの騎士レベルぐらいはあった。
「それは、妾の指輪のせいじゃな。子供だと親和性がよく、効率的に魔力の循環が起こり修行がはかどるようじゃ」
!?
「では、私の子供にも頂けないでしょうか!?」
グイードは頭を下げて頼み込んだ。
「それは私が用意するわ」
ノームが横から言った。
「ウンディーネから本来は転移の魔法の為に渡したと聞いたわ。この土地の民には悪い事をしたので私から上げる」
ノームは、グイードとレア、アースの三人に指輪を作り出し渡した。
「えっ?私にもよろしいのですか?」
「他言無用だからね?多分、これから各国の王様がいつでも会えるようにしておいた方が良いかなっと思ってね」
メデューサの最後の言葉が気になるノームは不測の事態に対応できるようにグイードにも渡したのだった。




