ライバル登場!
あれから転移でシルクード領の屋敷に戻ると、アンさんが出迎えてくれた。
「よく御無事でお戻りになられました!」
ああ………こうして帰りを待ってくれている人がいるのっていいよねぇ~
アンさんに帝国での出来事を報告して一夜明けました。因みに、クリス王子とフレイちゃんは王城と公爵家に帰っています。
支度をして転移で一瞬です!
用意された部屋に転移した後、テクテクッとグイードさんの執務室へ向かいました。
「早かったですか?」
ノックをして中に入るとグイードさんは既に仕事をしていました。他の方は誰もいません。
「シオン君、大丈夫だ。昨日はありがとう」
「私は何もしてません。お礼はディーネにしてください」
グイードは側にいたウンディーネにもお礼を言うと軽く息を吐いた。
「それにしても四大精霊を気軽に名を呼べるとは凄いな。それに王城の1番警備の厳しい最奥の場所に一瞬で移動できる『転移』も凄い。正直怖くなるぞ?」
「ごめんなさい」シオンは申し訳なさそうに謝った。
「いや、責めている訳ではないよ。ただ、伝説のような四大精霊が現れ、さらに別の精霊も探すとなると、シオン君は特別な『運命』を持って産まれたのかも知れないな?っと思ってな」
いや、それならもっと王女様とは言わなくても、もう少しマシな両親の元で生まれたかったよ…………
「もう少しすれば各自集まってくるだろう。向こうの部屋でお茶の用意をさせているから、しばらく寛いでいるといいよ」
「ありがとうございます!」
シオンが出ていった後、グイードは声には出さずに思った。
『まったく、ここは大陸でも最強の軍を所有する帝国の王城だぞ?我が物顔で執務室へやってくるとは本当に驚きだ。しかもウンディーネの威を借りる訳でもない。昨日の夜、父グランから聞いた話ではゴーレムを100体ほど同時に召喚出来るという…………頭がおかしいとしか思えないぞ!宮廷魔術師ですら2~3体が限界だ。末恐ろしい娘である。もし、野心を持ちウンディーネとその召喚術を使えば大陸統一もできてしまうだろう。…………『アイツ』に頑張って貰うしかないか?』
グイードはここ数日で劇的に変わる情勢と状況に再度、気を引き締めるのだった。
「美味しい~」
シオンは用意されていた軽食とお茶を堪能していた。
「主殿、いつも調べもせずに出された物を口に入れるなと言っておろうが!毒でも仕込まれていたらどうするのじゃ!?」
流石のウンディーネも、調べもせずにいきなり口に入れるシオンに焦った。昨夜の晩餐も、水を司るウンディーネが食べ物に『異物』が混入されていないか調べてから許可したのだ。
「大丈夫!私はそういうのわかるから~」
不安になりそうな気軽さで返事をするシオンにウンディーネの心労は蓄積されるのだった。
シオンにしてみれば、『鑑定』があるのでちゃっかり調べてから食べているので安全である。
ただ、鑑定だけは秘密にしていた。
しばらくして、皆が集まりダンジョンへ向かう事になった。
「さて、グラン殿もいるから大丈夫だと思うが、道案内人を紹介しよう。さっ、自己紹介しなさい」
グイードさんの後ろから私達と同じぐらいの少年、少女がやってきた。
「初めまして、私はレア・ガイヤと申します」
「初めまして、俺はアース・ガイヤだ!よろしくなっ!」
グイードさんの子供で双子の7歳とのこと。
「私達の1つ上なんですね。でも、道案内って?」
まだ子供だよ?大丈夫なのかな?かな?
「これから行くダンジョンは、我々ガイヤの王族が5歳の時に洗礼を受けにいく場所なんだ」
「へぇ~変わった風習ですね!」
「ああ、無論護衛も付くし1階層にある祭壇に行くだけだから危険は少ない。そこで次代である子供は王族としての格付けをするのだ」
ふむふむ?
「その奥には地下へ続く階段があり、ダンジョンは3階層まで続いている。地下2階までは大した魔物はでないが、3階層から魔物の強さが跳ね上がるので注意して欲しい」
グイードさんはアース君を見ながら言った。
「このバカ息子はそのダンジョンにしょっちゅう潜って探検している。道案内には持ってこいだ。まぁ、地下2階層までなら案内できる。3階層は父グランが案内出来るし、レアは珍しい光属性を持っているので回復魔法が使える。ぜひ、連れて行ってくれ」
グイードさんの言葉に私はどうしよう?とウンディーネを見ると─
「まぁ、よいのではないか?主殿に友達が増えるのは良いことじゃ」
その言葉で決まりました。でも、私はボッチじゃないからね!
クリス王子は怖い顔をしていたが、アース君がクリス王子の前に行って指を差した!
「貴様には負けないからな!」
その言葉にクリスはやっぱりかと思い言い返した。
「こっちこそ、絶対に負けない!他の何に負けても、これだけは譲れない!」
アース君はフッと笑うと、クリスと力強い握手をするのだった。
「男の子の友情って良いね♪」
シオンは何もわかっていないのに、のほほーんと微笑ましく見守るのでした。
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