ウンディーネさんは最強です!
ただの美人なお供だと思っていた人物が、まさか四大精霊の一柱だとは思ってもいなかった。
そもそも四大精霊が人の姿をしているという事自体、知られていないのだ。
ゴゴゴゴッ!!!!!
「ひぃぃぃぃいいいいいい!!!!!」
謁見の間がみるみる内に水浸しになっていった。
「そこまでだ!ウンディーネ殿!?」
グイード皇帝の言葉に、ウンディーネは指を鳴らすと水柱を止めた。
『ふむ、帝国といってもこの程度の人間しかいないのかのぅ?妾の眼鏡に叶う者など『皇帝』ぐらいしかいないのではないか?』
また両手に水を集めて臨戦態勢のウンディーネに悪態を付く命知らずの貴族がいた。
「き、貴様!こんな事をしてただで済むと思っているのか!?貴様など死刑だ!」
「選ばれた我々に危害を加えた罪は重いぞ!」
あっちこっちからそんな声が聞こえた。
ねぇ?こいつらバカ?バカなの?バカなんでしょ?バカだよね?
「ねぇ?クリス。私、頭が痛くなってきた。この人達、バカでしょう?」
額に手を置いて頭を抱えるシオンであった。
「だな~?これじゃグイードさんが苦労するはずだよ………」
クリスも呆れていた。通常の人間を超越した存在であるウンディーネを誰が死刑に出来ると言うのだろうか?
『くははははっ!これは愉快じゃ!妾を死刑にするだと?やれるものならやって見るが良い。その前に帝国を水の底に沈めてやるわ!』
ウンディーネは手に集めた水を、近くの柱に投げると、それだけで柱は砕けた。
「待て!待ってくれ!ウンディーネ殿!?」
再度グイードさんはウンディーネに止めるよう叫んだ。
『なんじゃ?これからゴミ掃除をする所じゃと言うのに。自分の立場を理解しておらんバカなゴミは掃除した方がよいじゃろう?』
貴族達は自分達がゴミと呼ばれても、ウンディーネが怖く何も言えなかった。
「それには及ばん。ウンディーネ殿を不快にさせた事はお詫びしよう!四大精霊である貴女を侮辱したのだ。罰として貴族籍を没収し平民に落とす!なのでこの場は引いて貰えないだろうか?」
グイードさんの言葉にウンディーネは水を呼び出すのを止めた。
『ふんっ、ならば今宵の食事は豪勢にする事で許してやろう』
そう言ってウンディーネは精霊モードを解除した。放心している貴族達を駆け付けた帝国の騎士達はどうすれば良いのか迷っていると、グイードさんが指示した。
「ここにいる者達を拘束せよ!せっかく我が父グランが苦労して『招待』した四大精霊のウンディーネ殿を怒らせた大馬鹿者達だ!!!場合によっては、この帝都が水の底に沈む危険性があったのだ!」
!?
グイード皇帝の言葉に帝国の騎士達は水浸しの貴族を捕縛し、連れていった。私達はまた執務室へと移動した。
その間に謁見の間は城で働くメイドさんや執事さん達が総出で片付けをするのだった。
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「いやー!助かったよ!ウンディーネ殿、本当にありがとう!」
執務室に行くと、すぐにグイードさんがお礼を言ってきた。
「これで政策がやり易くなるよ」
「妾の名演技に感謝するがよいぞ♪」
えっ!どういうこと!?
「シオン、あれは邪魔な無能な貴族達を一掃する演技だったんだよ」
「そうなのっ!?」
グランさんが居なくなってグイードさんは舐められていたようだ。そして、これを機に一掃してやると利用したみたい。
「今日は疲れただろう?帝国の自慢の料理を用意しているから堪能していってくれ」
グイードさんも初めて会った時より砕けた感じになっていた。シオン達は帝国の料理に舌鼓を打ちつつ、宴会を楽しんだのだった。
「所でシオン、夜はどうする?」
「う~ん?どうしよう?」
最初は、日が落ちると転移でシルクード領へ戻る手筈になっていたのだ。
「グイードさんは信用出来ると思うけどなー?」
「確かに皇帝陛下は信用しても良いかも知れない。だが、会ったばかりの人間を信用するのは良くないぞ?それにアンが心配する」
護衛のガイルさんが言ってきた。取り敢えず報告の為に戻るか~
「グイードさん、取り敢えず私達に部屋を用意して貰えますか?その後、転移で1度戻りまた明日、戻ってきます!いいですか?」
グイードさんは快く承諾してくれた。
「まだ会ったばかりだしここは隣国だ。警戒するのは当然だろう。明日は、ノームのいるダンジョンへ向かうのだろう?道案内と探索の物資を用意しておくよ」
「ありがとうございます!」
こうしてシオン達はシルクード領へ戻るのだった。………なんとも味気無い旅行?である。
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