凱旋パレード?ちょっと違う………
と、言う訳で帝都の外に転移しました!
「では、まぁ少し気まずいが向かうとしようか」
グランさんが正面の入口へ向かいました。私達も付いて行きます。しかし、大きな城門ではなく、横の小さな扉の方へ向かいました。
「貴族は必ず馬車を使うので正面の貴族専用通路を使うが、ワシは冒険者として活動していたのでな。こっちの門の方が顔が効くのじゃ」
門へたどり着くと衛兵の方々が驚きの声を上げました。
「ま、まさか!グラン皇帝陛下!?」
「本物!?」
グランさんは王族専用の通行書を見せた。
「おおっ!それは紛れもなく本物!」
「グラン皇帝陛下が生きておられた!」
衛兵の皆さんは涙を流しながら感動していました。なんで?
コソッ
「さっき言っていただろう?グランさんは魔物が現れると騎士団率いて討伐に向かっていったって」
「ああ!それで民からの信頼が厚いんだったね」
あれよあれよという間に、衛兵さんが駆け足でグランさんが戻ってきた事を王宮に伝えに行きました。
「御無事で何よりです!安心致しました!」
「うむ、心配を掛けたな」
「いえ!ただ、どちらに行かれていたのでしょうか?」
グランさんは私達の方へ視線を向けて、すぐに戻した。
「すまぬ。現皇帝の密命を受けて別の国へ行っていた。詳しくは王城で話して、後に貴公らにも伝わるであろう」
衛兵はそれだけで何か察してビシッと敬礼をした。
お城へ戻る事を伝えると、質素ではあるが馬車を用意してくれました。大きな帝都だからね。徒歩だと時間が掛かるし疲れるのよ。
だって、ワタシ・ロ・ク・サ・イ・ダモン!
帝都の街並みは王国と違い、レンガでできた建物が主流で赤茶色と白色のコントラストが冴えて、別の美しさが見て取れた。街並みを見る為に色々と遠回りをして見て廻った。
「うわぁ~これぞ!ザッ、外国って感じだね!」
(いえ、外国というより君には異世界ですが?)
「挿絵で見たことあるが、やっぱり現地で見ると格別だな!」
「王国と全然違うね!」
クリス王子とフレイちゃんも興奮してはしゃいでいます!クックックッ、お子ちゃまめ!
「シオン、アレ見て凄くない!?」
フレイちゃんに言われて外を見てみると、芸術っぽい変わった建造物があった。
「うわぁ~何あれ!おもしろーい!」
きゃっきゃ!きゃっきゃ!とフレイちゃんと盛り上がった。
『フフフッ、シオンといっても子供だな。お子ちゃまめ!』
クリス王子もシオンと同じ事を思っていたのは、お互い本人の知らない所であった。
そうこうしている内に、お城の前に着きました。城門を入ると兵士達が左右に別れて整列していました。馬車が進んでいくと─
「構えーーー!!!剣!!!」
!?
キンッ!キンッ!ジャキーン!!!
兵士達が一斉に剣を抜いて剣を天に向けて捧げた。
「すごっ………」
「うん」
「壮観じゃな」
圧倒される光景に言葉を失っているあいだに、馬車は玄関に到着するのでした。
馬車から降りると、グイードさんが出迎えてくれました。
「よく戻ってくれた!」
「皇帝陛下の密命、果たして参りました」
うわぁ~白々しいねぇ~
さっきまで会ってたじゃん!
でも、こういうパフォーマンスが人の上に立つ人には必要なんだねぇ~
私達は謁見の間に移動して、事の経緯を説明する事になりました。謁見の間には大勢の貴族達が勢揃いしていました。どうやら私達が帝都観光している間に、集めたようでした。
私達が大きな謁見の間の扉をくぐり抜けると既にグイード皇帝陛下は玉座に座っており、私達は中央のレッドカーペットの真ん中で帝国貴族達にジロジロと見られていました。
居心地が悪いぞ!こんちくしょうめ!!!
「静まれ!!!!」
ざわざわしていた声がピタッと止まり、グイード皇帝はグランさんが戻ってきた事を労った。
「父上………いや、グラン殿!よく危険な任務を成功させてくれた!」
「ははっ!」
このやり取りは息子のグイードさんの方が立場が上だと示すものである。
「グイード皇帝陛下!御質問よろしいでしょうか?この度の急な帝位の譲渡についで、グラン元皇帝陛下の失踪………詳しい説明をお願いしたく存じ上げます」
協力者である宰相さんが打ち合わせの通り説明を求めた。
「うむ、最重要秘密であったため、皆に知らせなかったのはすまなかった。まず、リュミナス王国に顕現された四大精霊が一柱ウンディーネ殿を帝国へお連れする事を頼んだのだ。元Aランク冒険者であるグラン殿にな」
!?
「なんと!?」
「いくら皇帝陛下とて、父を敵地へ送る者があるか!?」
「グラン『皇帝陛下』はそれでよろしかったのですか!?」
貴族達から非難の声が多数上がった。
「この『案』をグイード皇帝陛下から相談された時はワシは二つ返事で了承した。この老骨の最後の役目に相応しいと思ったのじゃ。そろそろ帝位も譲る『予定』じゃったしのぅ」
「そんな!!?」
「しかし………」
また、ざわざわと辺りが騒がしくなった。
『うるさいのぅ!』
ウンディーネが魔力を解放し、謁見の間の四方八方に天井まで届きそうな水柱を呼び出した。
『妾はこのような茶番を見に来た訳ではないぞ?』
人間の姿から精霊の姿っぽくなったウンディーネが低い声で言った。
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』




