心の優しい少女
お待たせしました!
「他の精霊さんも1人で寂しいかなって思ったの」
シオンの言葉に周りは静かになった。
「ディーネも寂しいから、魔境の森にセーフティエリアを作って冒険者の人達を遠くから見てたんでしょう?」
「これっ!人を寂しいボッチの様に言うでない!」
ウンディーネが少し顔を赤くして反論した。
「しかし、妾も他の四大精霊達とは久しく会っておらんのぅ?」
ピコッーーーーン!!!!
「だったら、他の精霊さん達の確認をしに行こうよ!」
「「ダメだ(です)!!!!」」
またまた反対されました。
「シオン君、国内ならまだしも他国へ行くなんて危険過ぎるぞ!」
「そうですよ!もっと自分の価値を自覚してください!」
国王様とアンさんからガミガミと叱られ中です!
「大丈夫です!そんなに長期で出掛ける訳じゃないし、考えがあるの!」
「「考え?」」
シオンは自分の考えを説明した。
「グランさんに、ウンディーネの指輪を渡して連れて行って貰えばいいんだよ。帰りは私達ならすぐに戻れるしね!」
シオンはどうだ!っと、無い胸を張った。
「ダメに決まっているだろう!ウンディーネ殿の『指輪』は最高機密だぞ!?」
国王様が再度、大声で怒鳴った。しかし、意外な事に、ウンディーネが賛同してくれた。
「なるほどのぅ?それは良い考えかも知れぬ」
意外なウンディーネの呟きに国王が驚愕した。
「ウンディーネ殿はシオン君が危険に巻き込まれても平気なのですか!?」
「無論、主殿が危険に巻き込まれるのは本意ではないが、心優しい主殿の想い叶えてやりたいと思う」
ウンディーネの言葉に国王は黙るしかなかった。
「ディーネありがとう!それに、もしかしたら何か不味い事が起こっているかも知れないしね!」
シオンの言葉に一同が首を傾げた。
「シオン君?それはどういう………?」
その疑問にシオンは答えた。
「ディーネが言っていたでしょ?いつの間にか、魔境の森から出られなくなったって。他の四大精霊も同じ状況になっているかも知れないよ?」
!?
「ま、まさか?ただでさえ四大精霊とは伝説上の存在。滅多に表に出てこないだけでは?」
「でも、ノームは昔グランさんを助けてくれたんでしょう?その後、まったく表に出てこないのはどうして?」
シオンの言葉に国王は何も言えなくなった。
「ふむ。他の四大精霊も身動きが取れなくなっているとは考えもしなかったのぅ?」
ウンディーネも腕を組んで考え込んだ。そして『転移』の事を知らないグランが尋ねた。
「さっきから何の話をしている?ウンディーネの指輪とはなんじゃ?」
シオンは国王に視線をやり、国王が諦めたようにため息を吐いた。そこでシオンは転移の事をグランに伝えた。
「なんと!?行った事のある場所に一瞬で移動が出来るのかっ!?」
グランに説明した後、1度適当に転移して実演したのだった。
「なるほどのぅ?そこの国王がこんな辺境に居る訳じゃな。そしてどうしてそこまで秘密にしたかったのかも理解したぞ。これは絶対に他国………いや、他人に知られてはマズイ秘密じゃ」
グランもシオンと国王を交互に見ながら言った。
「でも、グランのお爺さんなら大丈夫だと思うよ。私、人を見る目には自信があるんだ!」
「信用してくれるのは嬉しいのじゃが、国王の言う通り、少し心配じゃな。シオン嬢ちゃん、世の中、良い人間ばかりではないぞ?」
シオンはそう言われたが、微笑んで言い返した。
「グランお爺さんとは短い付き合いだけど、危険を承知でノームの手掛かりを求めて、他国に1人で来たことや、屋台を見かねて手伝ってくれた事からグランお爺さんは信用出来ると思ったの」
グランはこの少女の洞察力に驚きを隠せなかった。ただの心優しい少女ではない。しっかりとした洞察力、ウンディーネの契約者として油断出来ない人物であると。
「そうであったか………」
グランはシオンの言葉に感謝しつつ、その後のシオンの言葉にさらに驚く事になった。
「私の思い過ごしならいいんだけど、ディーネ達が動きを規制されたなら、四大精霊より『大きな力を持った者』がいるかも知れないよ?」
!?
「バカな!?そんな者が居るわけが………はっ!?」
「………まさか!?」
国王やグラン、ウンディーネは心当たりがあるのか、何かに気付いたような顔をした。
「ウンディーネ殿!」
「いや!確かに魔境の森から出られなくなったのじゃが原因は不明じゃ。なにか見えない力が働いておったが、悪意のような魔力は感じなかった………」
なんだか疎外感のあるシオンが逆に尋ねた。
「なにか知っているの?」
「う~ん、四大精霊と対等な力を持つ者など限られているからね。それは他の四大精霊の様子を確認してから伝えるよ」
国王様はそう言うと、嫌々ながらもグランにウンディーネの指輪を渡す事を承諾したのだった。
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』




