新たな門出と─火種。
読者の方から小説家になろうで、漫画など投稿している発想など面白いという暖かいお言葉が嬉しかったです。厳しいお言葉もありますが、より面白い小説を書きたいと思っていますので、引き続き頑張っていきます!
あの断罪劇から1週間ほど経ちました。
あれから両親が処刑された事を聞きました。私は兎も角、周りの人々が妙に優しかったのが心に染みました。そして、ギルバード公爵………正式には、ギルバード・レッド・ハート公爵に後見人になってもらい、成人するまでは保護者役をやってもらうことになりました。
現在進行形で公爵家にて、貴族のマナーレッスン中です!
「はいっ!シオンさん?右足と右手が一緒に出ていましてよ!」
「はい!すみません!………とほほほ」
両親の残した書物やメイド、執事さん達に簡単な勉強を教えて貰っていたけど、貴族のマナーなど本格的に教えて貰うのが難しかったので、フレイちゃんと一緒に学ばせてもらう事になりました。
領地の事が気になるのだけれど、ディーネさんが、『主殿と妾は魔力で繋がっておるので、念話が出来るのじゃ』っていうから、何かあれば転移で戻る手筈になったのよね。
今の所、ディーネだけと話せるけど、やっぱりスマホとは言わなくても携帯が欲しいわ。前世の文明よ!カモンッ!!!
(こうして失って初めて、有り難みが分かるのよね)
「シオン君、今日はここまでにして、これから王城へ向かうよ?」
「えっ?何かあるのですか?」
「それは行ってからのお楽しみだよ」
出発前に、公爵家のメイドさん達に揉みくちゃにされながら、着替えさせられギルバード公爵に連れられて、馬車で王城へ向かいました。
あの騒ぎ以来の入城です。
謁見の間にたどり着き、大きな扉が開くと、先日とは違い大勢の貴族達が左右に分かれて整列していた。それも正式な服装で。
「えっ?えっ??えっ!???」
キョロキョロしながらシオンは戸惑いを隠せなかった。いったい何が起こるのよーーーー!!!!
「ふふふっ、大丈夫だよ。私に付いて来なさい」
ギルバード公爵に言われ、後ろを付いて歩いた。
「国王陛下、シオン・シルクード子爵令嬢をお連れ致しました!」
片膝を突いて国王様に礼の姿勢を取った。私もそれにならい、片膝を突いて言葉を待つ。
「よく来てくれた。特にシオン嬢よ。辛いことがあったばかりだ。何か変わりはないかな?私に出来る事なら何でも言って欲しい」
国王様の言葉に私は言った。
「はい、周りの皆さんが優しくしてくれますので、特に変わりはありません。ただ、淑女のレッスンが辛いです」
国王様は苦笑いをしながらその内慣れると言ってくれたよ。慣れるかなー?
「さて、シオン嬢とは1度じっくり話したいが、今日の用件を済ませてしまおうか」
何だろう?
「先の一件で、多くの貴族家の取り潰しや当主の交代などゴタゴタしている。しかし、不正を行っていた貴族の証拠を集めたのはシオン嬢である。その功績はとても高く、感謝に堪えない。よって、シルクード子爵を『陞爵』させ、『伯爵』の位を授けるものとする!」
おおっ!?
周りの貴族達から歓声が上がった。
『ええっ!!?いらないよぉ~!だって面倒じゃん!やっと自領が発展してきているのに、これ以上の領地経営なんでいやだなぁ~』
と、口には出せないシオンでした。
「シオン伯爵令嬢には、今まで通りシルクード領地を治めてもらう」
「えっ?それで良いのですか?」
「うむ、ウンディーネ殿が居るしまだシオン嬢は幼い。もう少し大きくなってから増額の領地を授けようと思うが……どうかな?」
国王様の考えが読めず、う~んと悩んでしまった。
「それって、今まで通り子爵のままではいけないのでしょうか?」
だってね~?メリットないじゃん!
「確かにこのままでは責任だけ重くなり、メリットがないであろう。位が上がれば貴族年金が多く貰え、国からの支援金も倍増するのだが?」
キュピーーーーーーン!!!!!
「ほう?それはいかほど?」
急に人格の変わるシオンに、国王様は増額の金額を提示した。
「はいっ!シオン・シルクード伯爵の命、謹んで拝命致します!」
実に俗世の強い幼女であるのだった。
『ふぅ…………頷いてくれたか。貪欲に領地の税収を上げていたからな。お金には煩いと思っていたが、狙い通りだった。伯爵になれば上級貴族の仲間入りだ。そうすれば我が息子と婚約もできる!ウンディーネ殿の契約者をどこぞの馬の骨にはやれんからな』
こうして、シオンはお金に釣られて厄介な事に自分から巻き込まれていくのだった。
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