最後の断罪!
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シオンの登場に驚きの顔をしたクズ両親であったが、すぐにシオンに言い放った。
「シオン!早く私達を助けないか!」
「そうよ!今まで育てて上げた恩を忘れたの!?」
先程の懇願する言葉が嘘のように…………いや、実際は嘘であるのだろうが、娘に全ての罪を擦り付けようとしたばかりだというのに、今度は助けろとわめきたてている。
つい先程の言葉を忘れて、五歳の娘に怒鳴り散らしているシルクード子爵に、遠巻きの貴族達もドン引きであった。
そして、自分の身が本当に危ないと自覚すると、怒りの矛先は国王にも向かった。
「国王様!1度にこれだけの貴族を断罪してただで済むと思っているのですか!しかも、侯爵や伯爵といった上級貴族が断罪されたなどと、繋がりある貴族の反乱や、他国が付け入るきっかけになりますぞ!」
確かにこれだけの貴族が断罪されるなど、過去に無かったことだ。しかも、こんな王族主催の夜会に、騙し討ちのようにやれば今後、王族主催の夜会に参加するものは減るであろう。
ちなみに、『他国の者』も少なからず呼ばれているのだ。本国に連絡されるのは間違いないだろう。
「それがどうした?身体に溜まった膿は出し切らんと、傷の治りが遅いそうだ。これを機に膿を出し切り、国の正常化をはかるのだ!」
!?
国王の揺るぎない意思を鑑みたシルクード子爵は………いや、その場にいた貴族達は、ここで初めて国王に畏怖の念を抱いたのだった。
この国王を本気で怒らせてはヤバい。身の破滅を招くと、国王を敬う者、恐怖する者、今後の身の振り方を考える者など様々であった。
クズ両親は国王は何を言ってもダメだと確信し、またシオンに狙いを定めた。
「し、シオン!このままでは私達は極刑に処されてしまう!これからは心を入れ替えて働くから助けてくれ!」
「そうよシオン、貴女は大切な娘よね。また親子水入らずで暮らしましょう?貴女の好きな物を買って上げるから」
今度は罵声から猫なで声でシオンに言い寄るクズ両親に、シオンは何の感情も見せずただ黙って見守っていた。
「シオン!何か言ったらどうなんだ!」
「シオンから国王様に取り成しなさい!」
何も行動に移さないシオンに業を煮やしたクズ両親は急に暴れて、虚を突かれた騎士の手を離れてシオンに向かっていった。
「シーーーーオーーーーンーーーー!!!!!この裏切り者がーーーーーー!!!!!」
「育てた恩を忘れた親不孝者ーーーーーー!!!!!」
今、まさに飛び掛からんとした瞬間に、それは起こった。
『やれやれ…………見るに耐えんとはこの事じゃな?』
ブシャーーーーー!!!!!!
シオンの目の前に、巨大な水の壁が横一線に沸き上がった。
「「うぎゃっ!!!」」
水の壁に弾け飛んだ!そして再度拘束される。
水の壁にざわざわと動揺が広がった。
「国王様、これはまず─」
シオンはウンディーネの事を知られるのは、別の火種になりかねない。
『もう遅い。主殿、もう御主の心が悲しみで満たされるのは我慢できぬ!』
シオンの足下から大きな水の球体が現れたと思ったら、絶世の美女が現れた。
ざわざわ!?
ざわざわ!?
『きけい!妾はウンディーネ!人間達が四大精霊と呼ぶ一柱である!』
!???
ウンディーネは、人の身ではあり得ない魔力を纏い、威圧感がハンパなかった。
「あれが四大精霊!?」
「嘘だろう!!!?」
「どうしてこの場に!?」
ウンディーネは辺りを見渡すと、シルクード子爵を睨み付けた。
「「ひいぃぃぃぃいいいい!!!」」
クズ両親達は恐怖から失禁し、涙と涎で酷い有り様であった。
『もう一度言う。妾はウンディーネである。四大精霊の一人であり、このシオンを主と認め契約している者だ』
!?
「「「なっ!!!?」」」
国王や公爵以外の貴族達は驚愕した。四大精霊の出現もそうだが、その強大な精霊と契約を結ぶ事が出来る者がいるとは…………
『恥さらしの者共め!最初は我が契約者であるシオンに全ての罪を着せようとし、それが叶わぬと親の特権を行使して助けろとは、厚顔無恥にも程があるわ!』
クズ両親はアワアワと口をパクパクするだけで言葉にならない。
『貴様らに罵倒され、僅か五歳の少女がどんな気持ちだったか貴様に分かるか?僅か三歳の時には貴様らを注意して、まっとうに働くように諭し、五歳になり煩しくなると、たった一人で領地へ戻らせ領主代行を押し付けるなどと……………呆れ果てて言葉がでぬわ!』
周りの貴族達からも、余りの酷さに厳しい目が注がれる。
『ここにいる者共に言っておくぞ。妾には貴族だろうと平民であろうと変わらん。だが我が主殿が望んでいるので、この国に攻め入る国があれば手を貸すし、水不足の時は雨を降らせよう。しかし、主殿………シオンと、シオンの後見人である国王、公爵に仇なす者は排除するので、改めてシオンの様に国の為に身を粉にして働くがよい!』
このウンディーネの言葉は衝撃であった。四大精霊が王家に力を貸すと言っているのだ。そして敵対するものは排除すると。
国王の絶対なる自信の正体がわかり戦慄した。絶対に逆らってはいけないと。
『それと、ここにいるクズ共の不正の証拠は妾が集めた。水の流れる所であれば何処でも忍び込めるのでな?』
!?
ガタガタ………
ガタガタ………
何人かの遠巻きにいた貴族の顔色が悪くなった。
「ウンディーネ殿、そこまでで結構です。後は我が国の問題ですから」
『ふん、貴様が腑抜けておるからここまで事態が深刻化したのじゃ。対処できぬ問題は他者を頼れ。一人では国は運営できぬぞ』
「!?…………ご忠告、痛み入ります。肝に命じます!」
国王様はシルクード子爵を始め、他の悪事を働いた者達を騎士達に地下牢へ連れていかせ、後日刑を執行すると言った。
こうして、国を揺るがす断罪パーティーは終了したのだった。
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