表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/105

最後の断罪!

誤字報告ありがとうございます!

シオンの登場に驚きの顔をしたクズ両親であったが、すぐにシオンに言い放った。


「シオン!早く私達を助けないか!」

「そうよ!今まで育てて上げた恩を忘れたの!?」


先程の懇願する言葉が嘘のように…………いや、実際は嘘であるのだろうが、娘に全ての罪を擦り付けようとしたばかりだというのに、今度は助けろとわめきたてている。

つい先程の言葉を忘れて、五歳の娘に怒鳴り散らしているシルクード子爵に、遠巻きの貴族達もドン引きであった。

そして、自分の身が本当に危ないと自覚すると、怒りの矛先は国王にも向かった。


「国王様!1度にこれだけの貴族を断罪してただで済むと思っているのですか!しかも、侯爵や伯爵といった上級貴族が断罪されたなどと、繋がりある貴族の反乱や、他国が付け入るきっかけになりますぞ!」


確かにこれだけの貴族が断罪されるなど、過去に無かったことだ。しかも、こんな王族主催の夜会に、騙し討ちのようにやれば今後、王族主催の夜会に参加するものは減るであろう。


ちなみに、『他国の者』も少なからず呼ばれているのだ。本国に連絡されるのは間違いないだろう。


「それがどうした?身体に溜まった膿は出し切らんと、傷の治りが遅いそうだ。これを機に膿を出し切り、国の正常化をはかるのだ!」


!?


国王の揺るぎない意思を鑑みたシルクード子爵は………いや、その場にいた貴族達は、ここで初めて国王に畏怖の念を抱いたのだった。

この国王を本気で怒らせてはヤバい。身の破滅を招くと、国王を敬う者、恐怖する者、今後の身の振り方を考える者など様々であった。


クズ両親は国王は何を言ってもダメだと確信し、またシオンに狙いを定めた。


「し、シオン!このままでは私達は極刑に処されてしまう!これからは心を入れ替えて働くから助けてくれ!」

「そうよシオン、貴女は大切な娘よね。また親子水入らずで暮らしましょう?貴女の好きな物を買って上げるから」


今度は罵声から猫なで声でシオンに言い寄るクズ両親に、シオンは何の感情も見せずただ黙って見守っていた。


「シオン!何か言ったらどうなんだ!」

「シオンから国王様に取り成しなさい!」


何も行動に移さないシオンに業を煮やしたクズ両親は急に暴れて、虚を突かれた騎士の手を離れてシオンに向かっていった。


「シーーーーオーーーーンーーーー!!!!!この裏切り者がーーーーーー!!!!!」

「育てた恩を忘れた親不孝者ーーーーーー!!!!!」


今、まさに飛び掛からんとした瞬間に、それは起こった。


『やれやれ…………見るに耐えんとはこの事じゃな?』


ブシャーーーーー!!!!!!


シオンの目の前に、巨大な水の壁が横一線に沸き上がった。


「「うぎゃっ!!!」」


水の壁に弾け飛んだ!そして再度拘束される。

水の壁にざわざわと動揺が広がった。


「国王様、これはまず─」


シオンはウンディーネの事を知られるのは、別の火種になりかねない。


『もう遅い。主殿、もう御主の心が悲しみで満たされるのは我慢できぬ!』


シオンの足下から大きな水の球体が現れたと思ったら、絶世の美女が現れた。


ざわざわ!?

ざわざわ!?


『きけい!妾はウンディーネ!人間達が四大精霊と呼ぶ一柱(ひとはしら)である!』


!???


ウンディーネは、人の身ではあり得ない魔力を纏い、威圧感がハンパなかった。


「あれが四大精霊!?」

「嘘だろう!!!?」

「どうしてこの場に!?」


ウンディーネは辺りを見渡すと、シルクード子爵を睨み付けた。


「「ひいぃぃぃぃいいいい!!!」」


クズ両親達は恐怖から失禁し、涙と涎で酷い有り様であった。


『もう一度言う。妾はウンディーネである。四大精霊の一人であり、このシオンを主と認め契約している者だ』


!?


「「「なっ!!!?」」」


国王や公爵以外の貴族達は驚愕した。四大精霊の出現もそうだが、その強大な精霊と契約を結ぶ事が出来る者がいるとは…………


『恥さらしの者共め!最初は我が契約者であるシオンに全ての罪を着せようとし、それが叶わぬと親の特権を行使して助けろとは、厚顔無恥にも程があるわ!』


クズ両親はアワアワと口をパクパクするだけで言葉にならない。


『貴様らに罵倒され、僅か五歳の少女がどんな気持ちだったか貴様に分かるか?僅か三歳の時には貴様らを注意して、まっとうに働くように諭し、五歳になり煩しくなると、たった一人で領地へ戻らせ領主代行を押し付けるなどと……………呆れ果てて言葉がでぬわ!』


周りの貴族達からも、余りの酷さに厳しい目が注がれる。


『ここにいる者共に言っておくぞ。妾には貴族だろうと平民であろうと変わらん。だが我が主殿が望んでいるので、この国に攻め入る国があれば手を貸すし、水不足の時は雨を降らせよう。しかし、主殿………シオンと、シオンの後見人である国王、公爵に仇なす者は排除するので、改めてシオンの様に国の為に身を粉にして働くがよい!』


このウンディーネの言葉は衝撃であった。四大精霊が王家に力を貸すと言っているのだ。そして敵対するものは排除すると。

国王の絶対なる自信の正体がわかり戦慄した。絶対に逆らってはいけないと。


『それと、ここにいるクズ共の不正の証拠は妾が集めた。水の流れる所であれば何処でも忍び込めるのでな?』


!?


ガタガタ………

ガタガタ………


何人かの遠巻きにいた貴族の顔色が悪くなった。


「ウンディーネ殿、そこまでで結構です。後は我が国の問題ですから」


『ふん、貴様が腑抜けておるからここまで事態が深刻化したのじゃ。対処できぬ問題は他者を頼れ。一人では国は運営できぬぞ』


「!?…………ご忠告、痛み入ります。肝に命じます!」


国王様はシルクード子爵を始め、他の悪事を働いた者達を騎士達に地下牢へ連れていかせ、後日刑を執行すると言った。


こうして、国を揺るがす断罪パーティーは終了したのだった。





『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 全部美味しいところを持っていきましたね。水戸黄門のようでした。
[一言] ディーネが出てきてしまいました。前世の記憶があるとはいえ5歳児ですからね。これで国の内外に四大精霊の契約者居て精霊が国を助けることが知れ渡ることになるでしょう。シオンは子爵領を正式に治めるこ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ