クズは生きているだけで害悪である!
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そして─
シオンの両親の番になった。シオンの両親は最後に尋問される事になっていた。
「こ、国王様!私どもは何も悪い事などやっておりませぬ。どうか、再考をお願いします!?」
ブゥータ伯爵のように、丸々と肥った身体を震わせ、必死に懇願していた。無論、母親の方もである。
「シルクード子爵よ。貴公だけはとある条件次第では減刑を考えている」
!?
「本当でございますか!?」
「ああ、嘘はいわん。ただし、これからの返事はよく考えて発言せよ。間違えた回答をすれば死罪である!」
国王様はまず、シルクード領からの嘆願書を取り出した。
「まず、シルクード領は高過ぎる税率の取り立ての為に民は困窮し、餓死者まで出ていた。何度か民から嘆願書が届いていたが、私の所までくる前に握り潰されていた。貴様が、街の執政官と癒着し、賄賂を贈っていたからだ」
国王様は数多くある嘆願書をシルクード子爵に叩き付けた。騎士に取り押さえられているシルクード子爵は動けず呻くだけであった。
「続けるぞ?更に、国に納めるべき民の税を自身の夜会などの為に私的に使った事も分かっている。その他、困窮した自領の民を違法な奴隷として売買した事も度しがたい!よって極刑に処するほどの大罪であるぞ!」
クズ両親は極刑と聞いて、先程より必死に懇願した。
「国王様!実は私達が王都で忙しく自領に戻れない為に、私の娘がシルクード領を領主代行として働いております!きっと娘が独断で行った事でございます!」
「そうです!娘を領主代行に任命したのが間違いでした。その罪は私達にありますが、実際に悪政を行ったのは娘のシオンです!どうか、その事を再考して頂きたく!」
クズ両親は全ての圧政をシオンのせいにし、実行犯に1番の罪があるようにしようとしていた。自分達は知らなかった。悪くないと、弁明している。その姿を離れた場所から見ていたシオンは軽くため息を付いた。
「…………何も感じないわ」
シオンの呟きは、隣にいたメイドのアンさんに聞こえて、アンさんはシオンを優しく抱き締めるのであった。
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国王は冷めた目で目の前のシルクード子爵を見ていた。
『こやつの父と祖父はスタンピード(魔物の氾濫)の時に命を掛けて戦ったというのに、こいつは何なんだ?どうしてあの英雄から、こんなクズが産まれて、さらにクズのこいつから何故、【天使】が産まれるのだろうか?』
クズ両親の弁明は聞くに絶えず、国王は話を打ち切った。
「そうか、もうよい。貴様の話はわかった。つまり、お前の娘が全て悪いというのだな?それによってお前の娘シオンが死罪になっても良いというのだな?」
「ははっ!娘の犯した過ちが大きいのであれば仕方がありません!」
「そうであるか………」
国王の思案する姿に、自分の弁明が通じたのかと頭を上げるが─
「そうそう、王妃とレイラ公爵夫人が着ていたドレスの布地を作った者を紹介しよう」
突然、まったく意図せぬ回答に、はっ?という顔になるシルクード子爵。それは、遠巻きからこの断罪ショーを見ている貴族達もだった。
突然に何の話だ?と怪訝な顔をするが、そこにシオンがやって来た。
「紹介しよう。シルクード領主代行、シオン・シルクード令嬢である」
はっ?
どうしてお前がここにいる!?と言う顔で、シオンに顔を向ける。
「皆に紹介しよう!わずか五歳にしてそこにいるシルクード子爵に代わり、領主代行をしているシオン嬢だ。そしてたった数ヶ月でシルクード領を建て直し、税収を30倍にもした敏腕経営者でもある!」
!?
何も知らない貴族達は驚いた!娘に領主代行を任命したという言葉から、すでに成人している者だと思っていたのだ。
「困窮した領地を救うために、固有魔法『緑聖魔術』を使い荒れ果てた土地を、緑豊かな土地に変える事が出来たのだ」
おおっ!?
「あの歳で魔術が使えるのか?」
「いや、固有魔法の使い手というのが凄い」
「土地を豊かにする魔法なんて知らないぞ!?」
会場の貴族達はすでにシルクード子爵に興味はなく、シオンの『価値』に付いて精査していた。
「シルクード子爵よ。ここに最後の証拠がある。貴様の裏帳簿だ。ここにはシオン君が産まれる前から不正が行われていた事がわかる。残念だよ。あの英雄の息子を極刑に処する事になるとは…………貴様がせめて娘を守ると言えば減刑に応じたのだがな?」
クズ両親は真っ青な顔が、更に悪くなり真っ白になっていた。
しかし、これで終わりではなかった。
この後、思いも寄らない行動に出たのだ。
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