断罪のお時間ですよ!
誤字報告ありがとうございます!
王族主催の夜会の日になりました。
この日は大勢の貴族達が、王城へ招かれて入口は長蛇の列になっていました。
大勢の貴族達は、滅多にない王族主催の大きな夜会に浮き足立っていた。下級貴族はこれを機に、上級貴族への顔繋ぎを目論み、上級貴族は新たな取引や交流を広げようと挨拶に忙しかった。
そして─
「皆の者!よく集まってくれた!今回の夜会は今までにない『最高の夜会』になる事を約束しよう!」
今までにないくらいの自信に満ちた国王の言葉に大勢の貴族が驚いた。今までこのように言い切るような事は無かったからだ。
「まずは、今までに無かった珍しい料理を用意した。舌の肥えた貴公らも満足する味だろう。そして、とある者が開発した新たな『布地』である。これは超高級素材で出来た布地で、その生地で仕上げたドレスを着る事が今後の貴族のステータスになることは間違いない!」
王様が話を区切り、視線を従者に向けると、二階の王族専用の入口からレイラ公爵夫人と、王妃様が一緒に現れた。
全ての貴族達は二人に目を奪われた。レイラ公爵夫人や王妃様が綺麗だったこともあるが、それ以上に、二人が着ていたイブニングドレスに目を奪われたのだ。レイラ夫人のドレスは、薄い藍色の光沢のある生地にレースを施してあり、光によって色が変わって見えた。身に付けたシンプルなストールが露出を抑え、大きな金色の『琥珀』のネックレスを一段と引き立ていた。
王妃様は、薄い黄色のドレスの裾にフリルを軽くあしらってあり、こちらも光によって色が変わるように見えた。右胸の薔薇のコサージュと、ルビーのイヤリングがドレスに見事に映えていた。
モデルの様にゆっくりと降りてくる二人に夜会の参加者達は目が離せなかった。
「さて、貴公らの顔を見ればこのドレスの素晴らしさに目を奪われた事がわかる。これを開発した者を呼んである。夜会の最後に紹介しよう」
おおおぉぉぉ!!!!!
紹介するという事は、金さえ払えばこの素晴らしいドレスを買う事が出来るということだろう。
大勢の貴族達から、喜びの声が上がった。
「さて、夜会の最後にサプライズを用意している。最後まで楽しんでいって欲しい!」
国王様の言葉が終わると、大勢の(貴族の女性)人がレイラ夫人と王妃様に集まった。
「レイラ夫人!お元気になられて良かったですわ!それで、このドレスは…………」
「王妃様、本日もお美しくて。本日のドレスはどこで─」
挨拶もそこそこに、女性達は二人のドレスに夢中であった。許しを得て、ドレスに触った者は、余りの手触りに歓喜した。
「なんて滑らかな手触りに、美しさを持った生地なのかしら!?」
パートナーをそっちのけで、夢中になっていた。そしてパートナーである男性陣も─
「なんだ!この料理は!?旨すぎる!」
「うまい!」
「変わった料理だがうまいぞ!?」
男性陣は料理に夢中だった。無論、シオンが前世で食べていた料理の一部をこの世界の調味料でアレンジして作ったものである。
こうして、楽しい夜会はいつも以上に早く時間が経ち─
「さて、もうすぐ楽しい夜会もお開きになる。その前にサプライズをしようと思う。名前を呼ばれた者は前に出るように!」
王様は順番に、各貴族の名前を呼んでいった。
ざわざわ
ざわざわ
「一体なんでしょうな?」
「なんで、あの者が呼ばれて私は呼ばれないのだ!」
これから何が始まるのか知らない者達は、名前を呼ばれなかった事に腹を立てている者もいた。
「これは………まさか?」
名前を呼ばれた者を見渡し、何かに気付きそうになった知恵のある貴族もいたが、もう遅かった。
「さて、今宵の夜会は楽しんで貰えただろうか?」
国王の言葉に大絶賛するクズ両親がいた。
「うむ、それほど喜んで貰えるとは最後の晩餐は大成功であったな!」
?
国王の言葉にすぐに反応できるものは居なかった。国王様は手を上げるとすぐに近衛騎士団が大勢入ってきて、名前を呼ばれた貴族達を床へ押し倒し拘束した。
「なっ!?」
「無礼者!何をするか!」
「放せーーー!!!!」
遠巻きに見ていた貴族達も、真っ青になり何が起きているのか動けなかった。まぁ、入口も近衛騎士団が固めているので脱出できないのだが。
「国王!!!これはどういう了見だ!国王とて許しませぬぞ!!!」
押さえ付けられながらも、暴言を吐く貴族に国王は言った。
「黙れ!これは粛清である!!!拘束されている者は不正を働いた罪人である!」
国王の言葉に、拘束されていない貴族の一部の顔色が悪くなった。
「な、何を証拠に………」
「まず、ブゥータ伯爵は、我が国の国防を担う貴族でありながら、騎士団の装備品を他国や盗賊に横流しして、不正に利益を得ていた。それに気付いた当時の副隊長であるガイル殿に罪を着せ追い出した!許しがたい所業である!」
!?
国王様の手には、ブゥータ伯爵が屋敷で厳重に隠していた転売の売上を示した裏帳簿が握られており、丸々と太ったブゥータ伯爵はぶるぶる震えて縮こまった。
「次に、コアクトウ侯爵!まさか貴公が、我が弟であるレッド・ハート公爵家に、呪術を施し呪い殺そうとしていた元凶だとは…………信じがたいことであったぞ!」
コアクトウ侯爵は、静かに落ち着いた口調で言った。
「国王様、これは何かの間違いでございます。何故、私が幼馴染であり、親友であるギルバード公爵を呪う必要があるのですか?」
そう、ギルバード公爵とは幼馴染であり、良き相談相手であったコアクトウ侯爵を疑うという事はギルバードは考えもしなかった。
しかし、直接呪術を受けたレイラ夫人にはわかったのだ。誰が呪術を仕掛けたのか。呪術とは怨みが大きければ大きいほど威力を増すが、個性も出るのだ。呪いはコアクトウ侯爵の姿を形作ったのでわかったのである。
「すでに貴様の屋敷の地下に、大規模な呪術を行う部屋を見つけてある!言い訳は出来んぞ!」
!?
「なっ!バカな!?どうやってあの場所を?」
流石に呪術を行った場所が割れていると言い訳は出来ない。コアクトウ侯爵は力なく項垂れた。
(ちなみにギルバード公爵を呪ったのは初恋のレイラ夫人を奪われたと逆恨みしたからである。実にしょうもない理由であった)
そして次々に、悪徳貴族達の罪が暴かれていった。
そして─
ちょっと長くなったので続きます!
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