密談………そして未来の悪役令嬢登場!
片手間で始めた小説が人気が出てきたので、更新頻度を上げていきます。
王都の貴族街のある屋敷で、ギルド長が門を叩いた。
「これは、これは。ご無沙汰しております。ギルド長殿!」
ギルド長を出迎えたのは、この屋敷を預かる執事長であった。
「先日は、質の良い解熱剤を送って頂きありがとうございました。フレイヤお嬢様の体調がすぐに良くなりましたよ」
「それは良かった。ちょうど質の良い薬草類の安定供給に力を入れている者がいたのでな」
「ほう?それはそれは」
執事長の目の色が変わった。
「この度の訪問はその者の事でしょうか?」
「詳しい話は当主とする。どうせ御主も同席するのだろう?」
執事長はまた、穏やかな顔に戻り応接室へと案内するのだった。
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「良く来てくれた!先日は助かった。礼を言う!」
応接室へ入ると、この屋敷の当主がギルド長へ頭を下げた。
「ギルバード殿、公爵家の当主が平民のワシに頭を下げるな。また他のクズ貴族に嫌味を言われるぞ?」
「これは異な事を。かつてスタンピードから王国を救った英雄殿が何を仰いますか。それに、恩を受けた者に礼を言わないのは家名に傷が付きます」
「それは言わんでくれ。あの戦いで大切な盟友を失くしたのでな」
ギルド長は貴族嫌いではあったが、この公爵家の当主だけは例外的に付き合いがあった。
「それにしても、相変わらずじゃのぅ?では、本題に入ろうか。これから話す事は王国の未来にも関わることじゃと心して欲しい」
!?
「それほど重要な案件という事ですか………」
「うむ、実は─」
ギルド長の話は信じられないものであった。正直、想像以上だった。
「信じられない。四大精霊と契約をした五歳の少女。そして人間ばなれしている魔力に、植物を操る能力で領地を救ったとは………」
「しかし、その両親がクズでな。出来れば不正の証拠を掴み失脚させたいのじゃ。御主なら後見人として信用できるしのぅ」
ギルバードは腕を組み思案した。そこにギルド長が提案した。
「1度来てみないか?シルクード領へ。そこに行けばワシの話が真実じゃとわかるぞ」
「確かに、行ってみればわかりますが、流石に片道一週間の辺境には時間的に無理ですよ。代理を行かせるなら出来ますが…………」
『ほう?我が主殿が困っておると言うのに力を貸さんというのかぇ?』
!?
「誰だ!?」
突然の声に驚くと、ギルド長の隣に蒼髪の美しい女性が現れた。
「フフフッ、妾はウンディーネと申す」
!?
「なっ!?」
「我が主殿は頑張り屋でのぅ?まだ五歳だと言うのに寝る間を惜しんで万民の為に頑張っておる。その主殿の為に力を貸さんのかぇ?少し仕置きが必要かのぅ?」
ウンディーネが手に魔力を込める所で、ギルド長が止めた。
「まさか着いてきているとは思いませんでしたぞ?ただギルバード殿も高位貴族として忙しいのじゃ。許して欲しい」
「ふんっ、主以外の人間の都合など知らぬ。それに、時間が無いのであれば『転移』を使えばよい」
!?
「「転移!!!」」
二人は驚きの声を上げた。
「ウンディーネ様はあの伝説の『転移』魔法が使えるのですか!?」
「なんじゃ?人間達には使えない魔法になっておったのかぇ?無論、使えるわ」
ギルド長と公爵はお互いに顔を見て再度尋ねた。
「因みに、何人ぐらい同時に転移出来るのですか?」
「ふむ、軽く千人単位で移動は可能じゃな?主殿と契約を結んだおかげで魔力もたっぷりあるしのぅ?」
唖然…………
二人は余りの事に付いていけず呆けたが、すぐに我に返ると動き出した。
「では、一瞬でシルクードの領地に行けるのですね!」
「うむ、そうじゃ」
「どうして最初に言ってくれなかったのですか?」
「流石の妾も行ったことのない場所には転移出来んのじゃ」
なるほど………
「それでは、さっそく今から行けますか?」
公爵は執事長に出掛ける支度をさせた。
「それより、気になっておったのじゃが、この屋敷に『呪術』に掛かった者がおるのぅ?誰ぞ体調の悪い者がおらんかぇ?」
!?
「呪術ですか?」
公爵も知らない事実に驚いた!
「何か良くない『気』を感じるのじゃ。少し屋敷を見て廻ってもよいか?」
「ぜひ!お願い致します!」
ウンディーネ達が応接室しから出ようとした時、部屋のドアが開いた。
「………お父様?」
ギルバード公爵と同じ赤い髪の少女が入って来た。
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