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闇に蠢く者達の叫び!(悲報)

う~む、同じサブタイトルなのに、どうしてこうも違うのか………?

シオン達はイルミナを伴い、法王国の大聖堂のある首都へとやってきた。

すでにイルミナはシオンの屋敷に住んでおり、冒険者として活動を始めていた。


「四大精霊はその魔力というか、そのオーラみたいな威圧感で目立つから認識阻害の魔法を掛けておくね」


シルフィードは転移する前にそう言うと、認識阻害の補助魔法を掛けていた。そのため、人通りの多い街中に転移しても誰も気が付いていない!


「ここが法王国の首都なのね。さすがにここまでは被害がないけど…………」


周りを見ると慌てて避難しようと、忙しく荷造りしている者も居れば、空に向かって祈りを捧げている者もいた。


「さて、ここからどうするの?」


ここまできて無計画なシオンだった。


「そうじゃのぅ?ただ人知れず火山を静めてもよいのじゃが丁度よい。イルミナを洗脳して、己の悪事を手伝わせた教皇にそのツケを払わせるのもよいじゃろう?」


ウンディーネは珍しく邪悪な笑みを浮かべた。


「うわぁ~ウンディーネのイタズラってシャレにならないんだよねー?」


こいつはヤバいぞ!?みたいな顔をノームはした。


「まぁまぁ、久しぶりに全員集まった合同作業じゃない♪派手にいきましょう!」


シルフィードは乗り気だった。

こうして四大精霊が全員で力を結集したミッションが開始される事になった。



─大聖堂にて─


大聖堂には、入りきらないほどの人々で溢れていた。


「祈るのです!神は今の法王国を、世界の情勢を憂いてお怒りです!しかし、慈悲深い神は大勢の人々の祈りに必ず答えてくれます!今こそ教典の原点に立ち返り、純粋な祈りを捧げるのです!」


大聖堂の広間にて、大勢の前で演説する教皇にの言葉に耳を傾けて懸命に祈る人々が多かった。もともと敬虔な信者の多い法王国にて、教皇の言葉を信じる者は多かった。

しかしそれは自分で考える事を放棄し、稀に自分達の考えで政策しようとした者達を廃してきた国に取って都合のよい習慣でもあったのだ。


教皇はこれを機に再度、己の地位を磐石なものにしようと考えていた。


『これは良い機会かも知れませんね。この天災を転機と考えて、私の地位を高めましょう!』


教皇の演説が続くなか、それは突然現れた!

大聖堂の室内が光輝き、人々を唖然とさせた。


「な、何が起こっているんだ!?」


ざわざわ………

ざわざわ………


『今回の聖なる山の噴火は、神の怒りではない!我ら四大精霊の怒りだと知れ!』


光の中から人々の脳に直接話掛ける者がいたのだ。


『我々、四大精霊は日々世界の均衡を守る為に自然界のバランスを守っていた。しかし、各四大精霊は魔王軍の手の者に封印されてしまった。リュミナス王国ではスタンピードが起こり、ガイア帝国では作物が育たなくなり飢饉が起きるようになった。亜人連合国では世界樹が枯れてきて、大地に活力が失われた………』


ゴクリッと喉を鳴らすものがいた。大勢の人々が一言も喋らずに、その声に耳を傾けていた。

四大精霊の声は、各自の力で大聖堂のみならず、法王国全体に聞こえていたのだ。


『そして、法王国は最悪だった』


!?


『イフリートが封印される前に自分の力を受け継いだ愛し子を世に誕生させた!しかし、そこの教皇はその愛し子を【洗脳】し、自分の思い通りに操る人形にしてしまった!そのせいでイフリートの救出は遅れてしまうわ、愛し子は正気に戻るも自責の念に駆られて、自分を追い詰めるわ、本当に最悪である!』


ざわざわ!!!

ざわざわ!!!


謎の声により人々は一斉に教皇に視線を集めた。


「み、皆さん!落ち着いて下さい!これは四大精霊などではありません!あ、悪魔が成り済ましているだけです!」


教皇は体裁を取るのも忘れて、必死に信徒達をなだめようとした。顔には酷い脂汗を描いており切羽詰まっていた。


「それに証拠などありません!悪魔の言葉に惑わさせてはいけませんよ!」


なんとか証拠などないと言って、この場を切り抜けようとするも、次の瞬間にそれは打ち砕かれた。


人々の脳内に、教皇が命じて教皇の統治に異を唱える者達を、冤罪を掛けて処刑するシーンが写し出されたのだ。それは、教皇の独り言により、教皇の命であることが察せられた。


「ば、バカな………………!?」


思い当たる教皇は驚愕して、膝を付いた。その映像はイルミナが見た記憶の映像であったのだ。


そして、大聖堂の高い天井付近に遂に、ウンディーネ達、四大精霊が現れた!


『さて、悪者の断罪はここまでにしようかのぅ?』


人々は息を飲んだ。四大精霊のプレッシャーに眼を奪われたのだ。肌で感じた圧は目の前の『存在』がこの世の者ではないと認めていた。


『今回だけは助けて上げます。しかし、この後の復興は罰だと思い、頑張って下さい』


シルフィードが静かに言い放つ。


『このあたいの子供にした侮辱は1度だけ許してやる!あたいも封印された負い目があるからな。ただし、1度だけだ!次は許さん!』


イフリートが怒りを滲ませた声で言った。

まぁ、本当は自分で封印しちゃったのだけど、それを正直に言う義理もない。


『では、火山を静めるのじゃ!』


ウンディーネ達は各自、東西南北に少し移動し詠唱を始めた。


『水よ!荒ぶる大地を静めたまえ』


『土よ!激しく動く力を受け止めたまえ』


『火よ!怒り狂う溶岩を動きを鈍らせたまえ』


『風よ!空高く舞う有害な物を彼方へ運びたまえ』



『『『今、我らの力が1つとならん!!!』』』


【エターナル・クリエイト】


それは四大精霊が1つに結集した時のみ扱うことが許させた女神の力の一端。

万物の創造する力であった。四大属性が1つとなったとき、光属性へと昇華され、『無』から万物を創造する力となるのだ。


その強大な力は大聖堂の『地下』へと流れて、法王国全土に広がり、四大精霊の力が流れた後には、荒れた大地が蘇えり、その力の奔流の流れの通りにいた野良の魔物達や火山に赴いた魔族の斥候を浄化したのだった。


そして火山の噴火も沈静化し、法王国は平穏を取り戻した。




「大変です!大聖堂に四大精霊が現れました!」


配下の言葉にノスフェラトウはすでにその力を感じていた。


「まさか、すでに全ての四大精霊が復活していたとは………」


ベルゼブブが手に入れたシルフィードまでもが、解放されているのであれば、ベルゼブブはすでにこの世にいまい。

流石のノスフェラトウも四大精霊全てを相手にはできない。


「四大精霊はまだここには気付いていまい。何重にも施された気配や魔力を遮断する結界が張られているからな」


ノスフェラトウも内心では焦っていた。万が一見つかれば、消されるかも知れないからだ。故に、自身の魔力や気配を極力抑えていた。


「流石に分が悪い。ここはやり過ごすしかあるまい」


配下の手前、余り弱気な発言は出来ないが、配下の者も四大精霊全てを相手に出来ぬとわかっていたため、ノスフェラトウの指示に従った。


しかし─


それは一瞬の出来事であった。地下の隠れ家に聖なる光の力が通っていったのは─


魔族の張った強力な結界を紙の様に貫き、地下を光属性の力が満たしていった。


「………はっ?」


「「「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!」」」


魔族やその他大勢の魔物達の断末魔の叫び声が木霊した後は、元々誰もいなかったように魔族や魔物は一瞬で浄化され静寂だけが残った。


こうしてシオン達は自身も知らぬ間に、世界の脅威を取り除く事に成功したのだった。

(哀れな)











まさかベルゼブブさん以上に悲惨な登場人物が出るとは思っていませんでした。

(合掌)


小説って面白いですよね!

同じ文章でも意味が違って感じ取られます。

前話は、決起する雄叫びの叫びでしたが、今回のは悲痛の叫びの意味を持たせました。



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― 新着の感想 ―
[一言] まさか、気配を消していたせいで、気付かれることすらなくやられてるとは。
[一言] ベルゼブブより尺が短かったな~❗ ベルゼブブ意外とノスなんちゃらよりも 作者的に生存させてもらえるほど 気に入ってはいたんだな~❗ 本当のラスボスのノスなんちゃらさんは 吸血鬼らしく日の目(…
[一言] 出オチで終わったなあ、魔族連中 ・・・却って自然のバランス悪くなるんじゃ?
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