精霊様でした!(挿絵あり)
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小さな泉から水が盛り上がり、水が人の形に変化していった。
『珍しい魔力を感じてみれば、まだ幼子のようじゃのぅ?妾はこの辺りを縄張りにしておるウンディーネと言う者じゃ』
!?
「う、ウンディーネ!?あの四大精霊の………?」
『うむ、人間達からはそう呼ばれておるのぅ。それよりそこの幼子よ、名前を教えてくれぬか?』
「はい、私は森の外の領地を治めるシルクード家長女シオン・シルクードと申します」
『うむ、幼子にしては礼儀正しく良い子であるな』
シオンとウンディーネのやり取りを伺いながら、ガイルは小さな声でレオンに話し掛けた。
「レオン、もし万が一の時はシオン嬢ちゃんを連れて全力で逃げるぞ」
「………ええ、我々が束になっても勝てる相手ではありませんからね」
油断なく見つめる外野を余所に、シオンはウンディーネに話し掛けた。
「それでウンディーネ様、私に何か御用でしょうか?」
『うむ、濃密な魔力を感じてのぅ?何者かと思いやってきてみたのじゃが、予想以上の者であったわ。御主は神の祝福を受けておるようじゃ』
「神の祝福?」
『我ら精霊に好かれる性質の持ち主を指す。しかも植物を成長させる魔法など、地の精霊ノームか、その眷属のドライアドぐらいしか知らぬぞ?素晴らしい能力じゃ』
「ありがとうございます」
シオンは誉められたので素直に御礼をいった。
『そこでじゃ、妾は御主に興味がわいた。妾と契約せぬか?』
!?
「なっ!?四大精霊と契約だと!」
周りの人達が驚きの声を上げる。シオンは凄い事なのか、よくわからず首を傾げた。
「それってどういうこと?」
『そうじゃのぅ?契約すると妾が御主に力を貸す事が出来るようになるのぅ』
う~む?どうやら凄い力を持っていそうだし、契約しても良いかも知れないね。でも─
「契約って危険はないのですか?」
『契約の時に魔力を貰うだけじゃ。御主の魔力量なら問題ない』
「私は普通に成長して、将来は家族に看取られて死ぬのが夢なんです。契約した事により不老になったりしませんか?」
『なんとも子供とは思えぬ夢じゃのぅ…………コホン、大丈夫じゃ。健康になるぐらいじゃ』
「1度契約すると解除はできるのですか?」
『基本的には死ぬまで無理じゃな。余程の特別な条件の元でなければ解除は不可能じゃ』
「では、最後に契約をすると私にはメリットがありますが、ウンディーネ様にはなんのメリットがあるんですか?」
『妾達が表世界で活動するには魔力が必要じゃ。自分のテリトリー内では活動出来るが、その外では長時間活動できないのじゃ。契約すると妾は何処にでも行けるようになるのがメリットじゃな』
「そっかー、こんな森の中じゃ寂しいですもんね」
『寂しい………か、そんな事を言われたのは初めてじゃのぅ。どうじゃ、契約者になってくれぬか?』
シオンは了承するのだった。
「わかりました。よろしくお願い致します!」
『うむ、では契約の証に血を一滴頂くぞ?』
指先をチクリッとして、ウンディーネに与えるとウンディーネの身体が光輝き、その後にはより人間に近い身体をした蒼髪の美女なウンディーネがいた。
「これは本当に予想外じゃ。これからよろしくお願いするぞぇ。主殿」
こうして、一回目の探索で産業に使える素材集めより四大精霊と契約した事が成果となったのだった。
「こちらこそよろしくお願い致します!ウンディーネ様!」
「様はいらぬ。呼び捨てでよいぞ」
「それではディーネさんでどうでしょうか?年上の方を呼び捨てにするのは抵抗があるので」
「うむ、それでよい!」
そしてシオン達は素材採取の事情を話した。
「もし私が居なくなっても、シルクード領の民達が暮らしていける様に何かしらの産業を開発したいのです」
ふむ……………
「取り敢えずは、薬草類の栽培から始めて、次に布地産業をやりたいと思い、綿花を探していました。機織りを導入して布地を作り、そして衣類を作って販売する。幸い、領内には針子の経験者が多かったので布地の生産が出来れば、連鎖的に職が増えます」
「これは驚いた。本当に幼子かのぅ?立派な大人の淑女と話しているのかと思ったぞ」
ウンディーネが少し思案すると、シオンに提案した。
「綿花はないが、『森の守護者』という『芋虫』ならどうじゃ?あやつも糸を出すぞ?」
「う~ん、1度見てみないと布地に使えるかわからないかな?」
こうして1度、領内に戻り屋敷で詳しい話をする事になりました。
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