第十八話
皆様ごきげんよう。
はい。
本日は私は、衝撃的な光景を目の当たりにしております。
はい。
いつものようにオーレリア様の花畑を鑑賞していたのですが、そこに突如として大量の妖精が発生いたしました。
光の中きらきらとあらわれたその光景は、この世のものとは思えないほど美しい光景でした。
はい。
ですが想像してみてください。
静かな庭。
爽やかな風。
心地よい麗らかな日差し。
なんだかとってもいい気分。
そんな時に突如として妖精の大量発生を見た私は驚きのあまり悲鳴を上げました。
はい。
仕方ないと思います。
ですが、次の瞬間その悲鳴は歓喜へと変わります。
『教えに来てあげたよ!』
『レスターが当て馬令息を脱却したよ!』
『なんと男気を見せてオーレリアに告白したよ!』
『オーレリアも好きだって!』
『ずっと日記つけていたでしょ!』
『だから教えに来てあげたよ!』
大量に舞い踊る妖精たちは歓喜の声を上げ、私も一緒に歓喜の声を上げました。
だって仕方ないではないですか。
オーレリア様とレスター様がうまくいくなんてなんて幸せなことなのでしょう!
あれ?
そこで私は思わず妖精さんに尋ねます。
「あの、どうして見えるのですか?」
妖精さんはにこにこと笑いながらおっしゃいました。
『だって、いつも見てたでしょ?』
『だから知りたいだろうなって!でも、僕たちキミのことも好きだよ!』
『面白いもん。』
え?
私は面白いでしょうか。
まぁですが、妖精さんが見えるのは楽しいです。できるならこのまま見えていたいです。なので、ちょっとばかしお願いをしてみます。
「あの、なら、、、このまま貴方方の姿を見えるままでは、、、いれないでしょうか?」
妖精さん達は円陣を組んで考えていらっしゃいますが、一瞬で話し合いは終わったようです。
早いです。
『いいよ!』
『面白そうだから!』
『だからたまにその観察日記見せてね!』
まあなんて嬉しいことでしょうか。
観察日記を誰かに読んでいただけるのもうれしいです。
出来るならば、喜びを共感できる方が欲しかったのです。
「喜んで!よろしくお願いいたしますわ!」
『いえーい。』
『よろしくねぇ。』
妖精さん方はくるくると回られてとてもかわいらしいです。
私はそんな様子を微笑ましく見ていたのですが、次の瞬間、妖精さんが大量に群がる場所を見つけて二度見してしまいました。
ええ?
妖精だるまのようですわ。
ですがお顔は見えます。
あら、妖精に囲まれているのはアレクシス様とヨハン様ではないですか。
あ、あれは絶望のまなざしですわ。
妖精さん達、オーレリア様のことを二人にも伝えてしまったのですね。
そうですか。
あー。お二人とも目が死んだ魚のようになっています。
あ、マリア様がそれを目撃しています。
死んだ魚のような目の二人が大量の妖精に囲まれている図はかなりシュールです。
ええ。
シュールすぎます。
マリア様は二度見をしてから、そっと立ち去られました。
賢明な判断です。
もはや乙女ゲームはどこへやら。
ではみなさまごきげんよう!




