未来への第一歩
更新が遅れてすいませんでした。
今回で、白魔道士部隊の訓練話は、一旦終わりにしたいと思います。
キングゴブリンの首がずり落ちる少し前のこと。
マルスは、ルベルからの話を聞いてから、支援魔法大天使の羽を発動し、速力を強化して、全速力で部隊の救援に向かっていた。
(頼む! 間に合ってくれ!)
マルスは、ブラストの率いていた部隊の無事を信じて、全速力で駆けて行く。
幸い、全速力で走るマルスの前に、ゴブリンが現れることは無かった。
マルスとブラストの部隊が、洞窟内のゴブリンを見逃すことなく仕留めていた為だ。
(見えた! 不味い!?)
何とかブラストの部隊がいる場所が見える位置まで辿り着いたマルス。
全力で駆けるマルスの目の前では、キングゴブリンが攻撃を繰り出すところだった。
「【転移魔法:瞬間移動】!」
間に合わないと瞬時に判断し、転移魔法で一気にキングゴブリンへと距離を詰めたマルスは、支援魔法全大天使で、全能力を強化した。
「はっ!」
マルスの背後からの一撃により、キングゴブリンの首は斬り落とされる。
疲労困憊だった部隊の者達は、敵の親玉が突如倒れたことに驚くが、次の瞬間には、助けが来た事に歓声が上がる。
キングゴブリンがやられたことに気が付いたゴブリンソルジャー達は、親分がやられたことから逃げ出そうとしていた。
「逃がさない。」
マルスは、ゴブリンソルジャー達を瞬殺する。
「つ、つえぇーー。」
「流石、マルスだ。」
「助かったーー。」
「死ぬかと思ったぜ。」
地面に座り込んだ者達は、マルスの強さを改めて実感した者や、強敵を相手に生き延びたことを喜んでいた。
「直ぐに治療します。【回復魔法:全体回復】。」
マルスは、ここまでの戦闘で負傷していた者達の傷を癒す。
マルスは、地に伏しているブラストに近付き、抱き起す。
「大丈夫ですか?」
「う、うう。……マルス様。は!? き、キングゴブリンは!?」
「倒しました。もう大丈夫です。」
「さ、流石マルス様ですね。」
「まさか、キングまでいるとは予想していませんでした。皆さんを危険に晒してしまい。申し訳ありません。」
マルスは、今回のゴブリン討伐で、部隊の者達に実践を経て、戦闘することの自信を少しでも身につけさせようと考えていたのだが、逆に恐怖を与える結果になってしまったと反省していた。
「ま、マルス様が謝ることではありません。それに、誰も犠牲者は出ていません。キングゴブリンを相手にして、我々は生き残ったんです。生き残れたのもマルス様の訓練があってのこと。それに、ゴブリンの上位種を討伐出来たことは、我々の自信に繋がりました。何れは、我々だけでキングゴブリンも倒して見せますよ。」
ブラストは、本心から答えた。
「そう言っていただけると、助かります。」
マルスは、その言葉に救われた気分となる。
「みんなーー、無事かーー!?」
そこへ、ルベルがマルスが率いていた部隊と共に駆け付ける。
「ええ。全員無事です。」
「良かった。本当に良かった。」
ルベルは、助けを呼びに行ったことから、置いて来た仲間が無事と知り、涙を流して安堵する。
こうして、ゴブリン討伐を終えたマルス達は、王都へと帰還したのだった。
▽
王の間において、マルスは今回のゴブリン討伐の結果を国王とテュールに報告した。
「まさか、白魔道士部隊がゴブリンの上位種を討伐する程の力があったとはな。」
「ええ。それに、キングゴブリンを相手に耐え抜いたと言うのも、今まででは考えられない話です。」
国王とテュールは、マルスの報告を聞いて、白魔道士部隊の成長を驚いていた。
「今回は、白魔道士部隊を危険に晒してしまい、申し訳ありませんでした。」
マルスは深々と頭を下げて、国王とテュールに謝罪する。
モンスター討伐では、イレギュラーが起きることは多くあるが、部隊の指導を任された身のマルスとしては、今回のことを重く受け止めていた。
「なに、モンスター討伐では良くあることだ。」
「部隊も無事であったのなら、咎めることはせん。」
国王とテュールは、他の部隊がモンスター討伐に向かった際も、イレギュラーが発生したとの報告を度々受けていた為、今回の件を気にした様子はなかった。
「……ですが。」
マルスとしては、自分が部隊を二つに分けなければ、片方の部隊を危険に晒すことは無かったと、未だに考えてしまう。
「それに、イレギュラーがあったとは言え、部隊に犠牲を出すことなく帰還したのだ。マルスは良くやっている。」
「今後も、白魔道士部隊の指導をよろしく頼むぞ。」
「はい。」
マルスは、二人の優しさに感謝しつつ、今後は同じ失敗をしないと固く誓う。
▽
「久し振りにレベルが上がったな。」
「力が漲ってるって感じだな。」
白魔道士部隊の者達は、今回のゴブリン討伐で、自分のレベルが上がったことを喜び合っていた。
「まぁ、キングゴブリンが出て来た時は、マジで駄目かと思ったけどな。」
「ああ。今の俺達には、まだ早い敵だったな。」
「だな。だけど、俺達だって、鍛えればマルス様みたいに、キングゴブリンだって倒せる日が来るかも知れないんだぜ?」
「そうだな。一人でキングゴブリンを討伐した日には、前衛職の奴らも目ん玉飛び出して驚くだろうな。」
白魔道士達は、未来の成長した自分達を想像して和気藹々としていた。
「……でも、今回は死人が出なかったから良かったが、もしアイツが間に合って無かったら、俺達死んでたんだぜ?」
今回のモンスター討伐で、死ぬような状況に陥ったことで、マルスに不信感を持つ者も少なからずいた。
「他の部隊がモンスター討伐に行ったら、戦死したって話も珍しくはない。寧ろ、モンスター討伐に行って全員生還する方が難しいんだ。マルス様を非難することは出来ないだろ?」
「……まぁ、そうだけどさ。」
マルスのことを悪く言った者も、そのことは重々承知していた。
「イレギュラーがあったが、それでも俺達は生き残れたんだ。死にたくなければ、死ぬ気で訓練して強くなれ。」
ブラストは、マルスから部隊を預けられてたにも関わらず、最初に気絶させられたことを反省していた。
その為、もっと強くなろうと、誰よりも熱い思いが生まれていた。
「……うい。」
不満を口にした者は、ブラストの気迫に押され、納得する。
「さぁ、今日の訓練を始めるぞ!」
ブラストは、大声を出して部隊に指示を出し、マルス式訓練を始めた。
今回の白魔道士部隊による活躍は、白魔道士の職業に選ばれた者達の、未来を変える第一歩となったのだった。
次回は、少し時を進めて、ダンジョンに向かいたいと思います!




