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変わり始める

「それでは、今日は支援魔法を掛ける訓練です。自分の魔法の効果範囲や、数値の上昇率をしっかり把握して下さい。」

 現在、マルスは、エイル先生による職業別授業に参加している。


 各々、エイル先生の指示に従い、ペアの者に支援魔法を施し、支援魔法を掛けられた者が、少しずつ術者から距離を取っていき、支援魔法の効果範囲を確認していた。


「それじゃ、エイル先生に掛けますね。」

「はい。いつでもいいですよ。」

 マルスのペア役は、エイル先生だ。


 マルスのペアを巡って、女性達で取っ組み合いの喧嘩が発生してしまったのだ。


 そんなマルスと組んでは、女性達に目で殺されると思った男性陣は、誰もマルスと組もうとはしなかった。


 その為、マルスのペアの相手は、エイル先生に落ち着いたのだった。


 それに関しても、女性達はエイル先生に文句を言い出した為、エイル先生が目の笑っていない表情を浮かべ、あまりの威圧感に女性達は小動物の様に怯えてしまった。


「【支援魔法大天使の羽(ガブリエル)】。」

 マルスがエイル先生に施したのは、速力を強化する最上級魔法である。


「それじゃあ、離れて行くわね。」

 エイル先生は、マルスの支援魔法により移動速度が上昇していた為、素早い身のこなしで、マルスから離れて行く。


(おお!? 昔と比べて、だいぶ遠くでも支援魔法の効果が続く様になったな!)

 マルスは、ゼウス達に鍛えられていた頃よりも、大幅に成長していることに喜んでいた。



「……流石ね。この距離でも支援魔法の効果が持続するなんて。」

 エイル先生は、訓練場の端に辿り着いても、マルスの支援魔法の効果が続いていることに驚く。


 マルスの支援魔法の効果範囲は異常であり、他のメンバーに至っては、数メートルや、よくて数十メートルしか効果範囲は無かった。


 この効果範囲が狭いことが、白魔道士が使えないと言われる原因である。


 この程度の効果範囲しかない場合は、必ずモンスターの近くに身を置かなければならなくなる。


 しかし、白魔道士は、前衛職と違って能力値が低い為、モンスターに近付き過ぎると、対処出来なくなる。


 よって、白魔道士が、戦場で支援魔法を仲間に施すことはないのである。


 しかし、魔力が上がり、支援魔法の扱いが上達すれば、それだけ効果範囲を伸ばすことが可能だ。


 だから、白魔道士達のレベルアップが大事になってくるのだ。


 その後も、各々支援魔法を掛け合って、自分の魔法範囲を確認する面々。


「そう言えば、マルス様は軍の白魔道士達を指導されているんですよね?」

 パティが、休憩時間にマルスに問い掛ける。


(あれ? パティに、この話をしたっけ?)

 マルスは、白魔道士の訓練をしていることについて、クレイ達には説明したが、他の者にこの話はしていなかった。


 その為、マルスは何故パティがそのことを知っているのか不思議だった。


 パティは、マルスファンクラブのメンバーから、マルスが白魔道士の指導をしているとの情報を入手していたのだった。


「ん? そうだよ。」

「さっすが、マルス様です! もう、軍の兵士を指導する立場になられるなんて!」

 パティは、頬を上気させ興奮気味にそう口にする。


「どんな訓練をさせているの?」

 リンは、マルスが白魔道士の部隊に、どのような訓練を施しているのか、興味があった。


 リンの質問に対し、マルスは部隊にやってもらっている訓練内容を説明する。


 マルスが話している言葉を見逃すまいと、マルスファンクラブの面々が聞き耳を立てていたのだが、マルスの説明する訓練内容を想像して、顔を青くさせる。


 いや、一部の者達は、目が輝いており、『マルス様にしごかれたい』などと、危ない発言をしている者達がいたのだった。


 マルスの話を聞いていたのは、マルスファンクラブだけでなく、エイル先生も聞いていた。


「その訓練、面白そうね。」

 なんと、エイル先生は、マルスの訓練に興味を持ってしまう。


 そこからのエイル先生の判断は早かった。


 学校に提出していた、職業別訓練の構想を無視して、マルス式訓練法を採用してしまったのだ。


「さっ! 先ずは、回復魔法を使用しながら、常に全力疾走よ!」

 エイル先生は、ノリノリでマルスの訓練を始め、マルスを含む生徒達は、直ちに回復魔法を施しながら、足を動かしてスタートする。


 勿論、マルスは回復魔法だけでなく、速力を強化する最上級魔法を自分に施して、更に厳しい訓練を行っていた。


 マルスが、回復魔法だけでなく、支援魔法も併用していると、エイル先生や生徒達は気が付いたが、流石にそこまでの技術を生徒達は持ち合わせていない為、マルスと同じことは出来なかった。



 その後、マルスは白魔道士部隊の訓練と同じ状況を目にする。


 訓練場のあちこちに倒れて、苦しそうにしている生徒達の姿があった。


「少しずつ慣れるから、頑張って。」

 マルスの応援という支援魔法を受けた、マルスファンクラブの者達は、瞳に炎が宿り、疲れが吹っ飛んだかのように、勢い良く起き上がる。


 こうして、軍の白魔道士達だけじゃなく、学校の白魔道士達も、変わり出したのだった。






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