形勢逆転
マルスが、バラキエルの死雷を前に、諦めかけた時、突如目の前が吹き飛ばされた。
マルスは、自分に掛かっていた重圧が無くなり、安堵し、止めていた息を吐き出す。
「ゼウスさん! ヘラさん!」
(二人が来てくれるのがもう少し遅れていたら、危ないところだった。)
マルスは、自分を助けてくれた者達の名を叫ぶ。
「まさか、悪魔化するとはな。」
「うん。前に戦ったアザゼルよりも強いと思う。」
マルスは、以前戦ったことのアザゼルと比較して、実際に戦った経験から、バラキエルの方が強いと判断した。
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「チッ! 邪魔が入ったか。 まさか黒王ゼウスと剣姫ヘラが、この城に居たとは驚きだ。」
(悪魔化した俺に、これ程のダメージを負わせるか。)
バラキエルは、ゼウスとヘラを睨み付ける。
「どうやら、狙いは俺とイリスみたいなんだ。」
「二人を?」
「なら、ここで確実に仕留めるわよ!」
「そうだな。息子と義理の娘になる子を守るのは、親の務めだ。」
ゼウスとヘラは、バラキエルへと敵意を漲らせ、戦闘態勢を取る。
「喰らえ! 【雷魔法:黒雷光】!」
バラキエルは、ゼウスとヘラの二人に向けて魔法を放つ。
ヘラは、高速で移動して、バラキエルの魔法を回避し、バラキエルへと距離を詰めて行く。
「【氷魔法:氷地獄】!」
ゼウスは、自身へと迫る黒雷光を、氷漬けにする。
バラキエルの下まで辿り着いたヘラは、目にも留まらぬ動きで、次々と剣で斬り付ける。
「【剣技:豪破裂斬】!」
ヘラは、斬撃の合間に剣技を発動し、バラキエルへと襲い掛かる。
「チッ!? 【風魔法:強風】!」
バラキエルは、攻撃が当たる直前に風魔法を発動した。
ヘラの剣技は、バラキエルの巻き起こした風により、若干ヘラの身体が戻されてしまい、バラキエルの身体の表面を斬り付ける程度となってしまう。
しかし、その隙を見逃すことなく、ゼウスは魔法を発動する。
「【火魔法:太陽の光】!」
圧縮された灼熱の魔法が、バラキエルへと放たれる。
「舐めるなーー! 【雷魔法:死雷】!」
ゼウスの存在に気付いたバラキエルは、直ぐ魔法で応戦する。
ゼウスとバラキエルの放った魔法がぶつかり合い、周囲を照らすと共に、轟音を撒き散らす。
「俺の太陽の光を相殺するとは。」
「英雄の力は、こんなものだったのか?」
バラキエルは、挑発するような笑みを浮かべていた。
実際、バラキエルは、全力でゼウスとヘラと戦っているのだが、挑発することで、隙を作ろうとしていたのだ。
「そんな安い挑発には乗らないぞ。」
「こちらは四人いますからね。一人の貴方に勝ち目はありません。」
そんなバラキエルの挑発を、ゼウスとヘラは意にも介さない。
バラキエル自身、四人相手では分が悪いことは百も承知だった。
だからこそ、バラキエルはこの場で一番弱い人間から殺そうと動き出す。
イリスは、自分に向かってくるバラキエルに身構える。
「【火魔法:地獄の炎】!」
イリスは、最上級魔法以外では、バラキエルにダメージを与えることすら出来ないと判断し、火属性の最上級魔法を発動する。
「おっと!?」
しかし、バラキエルはイリスに高速で接近しながらも、地獄の炎を回避した。
「くっ!?」
2発、3発と地獄の炎を放つイリスだっただが、一発も命中させることが出来ず、バラキエルの接近を許してしまう。
「先ずは、イリス! お前からだ!」
バラキエルは、イリスへと手をかざし、魔法を発動しようとしていた。
「【力の剣:建御雷神】!」
イリスへと伸ばしていたバラキエルの腕を、マルスの剣が両断する。
「がぁーー!?」
バラキエルは、大きく後退し、自分の切られた腕の断面を抑え付ける。
マルスが直接バラキエルに向かっていたのなら、バラキエルは、マルスの動きを目で見て対処することが出来ただろう。
しかし、マルスは転移魔法を駆使して、バラキエルの少し前方に転移し、察知される前に、攻撃を繰り出したのだった。
「貴様ーー!?」
バラキエルは、自分の腕を斬り落としたマルスを、血走った目で睨み付け、雄叫びを上げる。
「油断し過ぎだぜ! 【雷魔法:雷神の鉄槌】!」
バラキエルの上空に位置取ったゼウスが、神級魔法を放つ。
「しまった!?」
バラキエルは、完全に周囲への警戒を怠っており、ゼウスの魔法が発動されてから、気が付いた。
その為、バラキエルがゼウスの魔法に対処する間は無かった。
「【火魔法:死炎】!」
誰もがバラキエルに、ゼウスの放った雷神の鉄槌が直撃すると確信していたのだが、全てを呑み込む様な暗黒の炎が、突如飛来し、バラキエルに直撃する筈だった、雷神の鉄槌を弾き飛ばしてしまったのだ。
余りにも突然の出来事に、その場に居た者達は、動き出すことが出来なかった。
「間一髪でしたね。」
マルスとイリスは、この声に聞き覚えがあった。
しかし、マルスとイリスは、この声の持ち主は、死んでいる筈だと、その考えを否定する。
だが、マルスとイリスの期待を裏切って、姿を現したのは、山羊の角と下半身を持ち、その背に漆黒の翼を生やしたもの、そう悪魔化したアザゼルだったのだ。
登場人物紹介の回に、フレイヤとミネルヴァのイラストも追加しました(^^)!




