表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/197

イリスを助け出せ!

遅くなりましたが、本日分となります!

 イリスを人質に取られていることで、マルスはバラキエルから魔法の使用を禁止され、最大のピンチを迎えていた。


「それと、俺への攻撃も勿論禁止だ。下民が高貴なる存在の俺に触れることは許さん。」

「くっ!」

(攻撃するなだと!? こんなの試合じゃない。)

 バラキエルの言葉に従うしか無いマルスは、苦虫を噛み潰した表情を浮かべた。


 マルス優勢で進んでいた試合だったが、マルスが魔法を一切使用せず、攻撃も禁じられた為、バラキエルの魔法を回避することしか出来なくなる。


「いつまで逃げ切れるかな?」

「くそっ!?」

(攻撃出来ないなら、何とか避け続けて、奴のMP切れを狙うしかない。)

 マルスが、完全な防戦一方となる試合が展開される。



 その様子を見て、直ぐに不審に感じた者達がいた。


「なぁ、なんでマルスは魔法を使わないんだ?」

 クレイは、マルスの動きが急に変わったことを不審に思い、ミネルヴァとフレイヤに意見を求める。


「魔法無しでも勝てるからとか?」

「でも、最初は魔法を使っていたし、攻撃もしていましたよ。先程、二人が何か話していたように感じたのですが。」

 クレイは、フレイヤの言葉に同意する。


 明らかに、試合の流れが変わったのだ。


 クレイは、マルスに何か起きたと考えを巡らせる。


「あれ? そう言えば、誰かイリスを見たか?」

「私は見てないよ。」

「私も見ていませんね。」

 クレイ達は、いつも一緒にいるイリスが、この訓練場に姿が無いことに気が付く。


 クレイ達が何処を見渡しても、イリスを発見することは出来なかった。


「イリスは、マルスと一緒に行動しているもんだと思っていたんだが、違ったのか?」

「す、すいません!?」

 クレイ達が頭を抱えていると、イリスにバラキエルの手紙を手渡したシャールが、クレイ達の下へ、息を切らして辿り着く。


「俺達に何か用か?」

 クレイは、面識の無いシャールがいきなり話し掛けて来たことから、用件を尋ねた。


「こ、この手紙を。」

 シャールがクレイ達に手渡したのは、マルスがバラキエルから受け取った手紙だ。


「……まさか、イリスが人質に?」

「それなら、マルスのあの様子も納得行くわね。」

「許せません。」

 クレイ達は、バラキエルに対する怒りが込み上げて来る。


「探し出すぞ!」

 クレイの言葉に、フレイヤとミネルヴァは、力強く頷いて応える。


 クレイは、マルスの視界に入るように、観客席を移動する。


「くそっ!? 流石に、魔法無しで避け続けるのにも、楽じゃ無いな。ん、クレイ?」

 バラキエルからの魔法を、回避していたマルスの目が、クレイの姿を捉えた。


(クレイの横に立っているのは、 手紙を持って来たシャールさん。 イリスのことが伝わったんだな。頼むクレイ。)


 お互いの考えを理解したマルスとクレイは、頷き合っう。


(クレイ達なら、必ずイリスを助け出してくれる。 それまで耐え抜いて見せる!)

 マルスは、絶望的な状況の中、仲間を信じ耐え抜くことを誓うのだった。



 クレイは、マルスが全力で戦える為に、直ぐにイリスを探しに向かう。


「人を攫ったなら、何処に向かうかだな。」

「人が来なそうな場所じゃないかな? 寮に連れて行ったら、誰かに目撃されるだろうし。」

「でしたら、普段から人の出入りが無い場所が怪しいですね。」

「私が、バラキエル様からマルス様への手紙を預かった時、マルス様は校舎裏に居るとバラキエル様は知って居ました。もしかしたら、マルス様は校舎裏でイリス様と待ち合わせをしていたのかも知れません。」

「となると、校舎裏でイリスが攫われた可能性が高い訳だな。」

 三人とシャールは、走りながら意見を交わし合い、イリスの居場所を考えるのだった。



  ▽


 とある薄暗い場所において、イリスの腕は拘束されていた。


「なぁ、少しくらい可愛がってもいいだろ?」


「馬鹿野郎、バラキエルに殺されたいのか?」


「どうせ王女様の記憶は、後で消すって言ってたんだし、お前が黙ってれば大丈夫だろ?」


 バラキエルの側近である、上級戦士のワッドと上級剣士のバインは、バラキエルからイリスを見張るよう命令されていたのだが、容姿端麗なイリスを前にして、ワッドは邪な考えが膨らんでいた。


「……うっ。ここは?」

 丁度、そのタイミングでイリスが目を覚ます。


 周囲を見回したイリスは、二人の存在に気付くと共に、自分の腕に手錠をされ、身体を縄で拘束されていることを理解する。


「何だよ、もう起きちまったのか。」

「貴方方は、自分が何をしているのか理解しているのですか!?」

 イリスは、自分を攫うのに加担した二人に問い掛けた。


「勿論、理解していますよ。それよりも、貴方の方が自分の置かれている立場を理解していないんじゃないのか?」

 ワッドは、厭らしい笑みを浮かべてイリスへと近付いて行く。


 イリスは、身の危険を感じて身体を動かそうとするが、身体を拘束されている為、逃げることが出来ない。


「それ以上近付くなら、魔法で攻撃します。」

 イリスは、ワッドに対し警告を発するが、ワッドは意に介さずに、イリスへと距離を詰める。


「警告はしました。 【氷魔法:氷柱(クルスタロ)】!」

 イリスが魔法を唱えたが、魔法が発動することは無かった。


「くっくっくっく。」

「ど、どうして!?」

「お前の腕に取り付けられているのは、相手の魔法を禁ずる物だ! 今のお前には、何もすることは出来ないんだよ!」

 ワッドの言うように、イリスの腕に取り付けられている手錠は、本来は、犯罪を行った魔道士を拘束する為に、用いる物なのだが、それをイリスの腕に取り助けたのだ。


「何の抵抗も出来ないだろ? 残念だったな。」

 ゲスの笑みを浮かべるワッド。


 ワッドの言葉に、イリスの表情は見る見る内に青褪めて行く。


「さて、バラキエルがマルスとか言う奴を倒す前に、俺も楽しませてもらおうか。」

 イリスへの距離を、更に詰めるワッド。


「マルスとバラキエルが戦っているのですか? ど、どういうことですか!?」

 イリスは、何とか時間を稼ごうと、ワッドに話しかける。


「お前を誑かしている、偽りの英雄が許せねぇとか言ってたな。」

「そんな!? ……マルスは、絶対に負けません。」

(私は、マルスを巻き込んでしまったのね。でも、マルスならあんな奴に負ける筈無い。)

 イリスは、マルスを今回の件に巻き込んでしまったことを悔やむ。


 そして、マルスの力を信じているので、マルスがバラキエルなどに負ける訳が無いと思っていた。


「あ? 負けるに決まってんだろ?」

「え?」

「お前が人質として、ここにいるんだ。マルスって奴は手も足も出ねぇだろうよ。くっくっくっく。」

「……マルス。」

 先程までの威勢を無くしたイリスは、力無く俯いてしまう。


「今度は、お喋りじゃ無くて、()()()を出してくれよ。」

 ワッドの手が、イリスへと伸びて行く。


(誰か、助けて!)

 イリスは、逃れられない状況に恐怖し、目を閉じる。


 ドガーーン!!


 突如、轟音と衝撃が巻き起こり、イリス達の居る部屋の扉が吹き飛ぶ。


「「何だ!?」」

 ワッドとバインは、直ぐに警戒態勢を取り、破壊された入り口に目を向ける。


「おっ!? ここが正解だったみたいだな。」

「一発で当てられたのは、ラッキーだったよ。」

「……許しません。」

 クレイ達は、戦闘準備に入っているワッドとバイン、拘束されているイリスを目にした。


「何だテメェら!?」

「今は取り込み中だ。大人しくしていてもらう。」

 ワッドとバインは、乱入して来た3人を無力化する為に、動き出す。


「「「邪魔だ!!!」」」

 クレイ達の圧倒的な力を前に、ワッドとバインは瞬殺されてしまう。


 3学年の中でも、それなりに実力のあった二人は、クレイ達の力を見くびっていたのだ。


 二人がイリスを人質にしていれば、クレイ達も簡単に手出し出来ない状況となったが、ワッド達は自分の力を過信していた為、クレイ達に向かって行ってしまったのだった。


「雑魚が。」

 クレイは、付近に落ちていた縄で、二人を締め上げ、イリスを拘束している手錠の鍵を見つけて、フレイヤへと手渡す。


「大丈夫イリス!?」

 フレイヤとミネルヴァは、イリスへと駆け寄ると、直ぐにイリスの拘束を解除した。


「……みんな。ありがとう。」

 イリスは、目に涙を浮かべながらフレイヤへと抱き着く。


「どうしてここが分かったの?」

 イリスは、何故クレイ達がこの場所へ辿り着けたのか疑問だった。


「人目に付かなそうなの場所なら、ここでは無いかと。」

 フレイヤが、イリスの疑問に答える。


 イリスが囚われていたのは、校舎裏に位置しており、老朽化の為、使われなくなった倉庫である。


 校舎裏から、人目に付かないで人を運び入れるのに打ってつけの場所だ。


 クレイ達は、マルスが校舎裏にいたことをシャールから聞いていた為、そこから答えに辿り着くことが出来たのだ。


「話は後だ。俺が、コイツらを先生に引き渡してくるから、イリスはマルスのいる訓練場へ急いで向かってくれ。 いくらマルスでも、そろそろヤバいかも知れない。」

「え!? わ、分かったわ!」

 イリスは、フレイヤ達と全速力で訓練場へと向かうのだった。

いよいよ、マルスの反撃が始まります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ