困惑のマルス
なんとか、二十話まで修正しました(; ̄ェ ̄)
風邪気味で、本日一日寝ているかも知れません
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現在、訓練場において、職業別の授業が行われている。
魔力を練り出して、最大魔力での回復魔法を使用する訓練だ。
白魔道士達に、一番求められているのは回復だ。
その回復魔法の練度を高めることは、白魔道士達にとって、非常に重要なことである。
そして、授業に取り組む白魔道士達の表情は、皆真剣である。
マルスが白魔道士でありながら、魔王討伐と言う、偉業を成し遂げたことが、かなり影響していると言える。
自分もやってやろう! 魔王は倒せなくても、もっと前で味方をサポート出来るようになろうと、意気込んでいるのだ。
「ねぇマルス君。私どうかしら?」
「マルス君、こっち来てぇ?」
「マルス様、今日も素敵です!」
「マルス君!」
現在の職業別授業を受けている大半は、女性だ。
皆、少しでもマルスと関わろうとマルスへと声を掛ける。
中には、マルスに身体を密着させて来る者もいるくらいだ。
「みんな順番に見に行くから、少し待ってて。」
マルスは、そんな女性達に囲まれて、悪戦苦闘していたのだった。
マルスに媚を売る女性が多い中、他の者達よりも努力しているのが、マルスと同じSクラスのリンとパティの二人だ。
「パティ、集中力が乱れているわよ!」
「分かってるわよ!」
リンとパティは、親友であり、お互いに競い合うライバル関係にある。
「二人共、今日も頑張ってるね。」
そんな二人に、マルスが声を掛ける。
マルスも、勿論自分を鍛えることを怠ってはいないが、エイル先生から他の生徒の指導も頼まれたので、マルスは一人一人に的確なアドバイスを送っているのだ。
「はい! マルス様に今日も声を掛けていただけたわ!」
「私達も、もっと前に出て戦える様になりたいですから。」
現在の白魔道士の戦闘スタイルは、完全に後方に位置している。
それも、敵の攻撃が届かない様な場所だ。
負傷した仲間が自ら白魔道士の場所まで後退するか、仲間が負傷した仲間を後方まで運んでいるのだ。
戦闘的なステータスが低い白魔道士では、敵の攻撃範囲に入るのは、危険過ぎるのだ。
その為、モンスターと戦う際に、遠く離れている白魔道士は、仲間に支援魔法を施すことは出来ない。
仮に、戦闘前に支援魔法を施したとしても、レベルの低い白魔道士では、直ぐにMPが底をついてしまう。
MP切れの白魔道士など、ただのお荷物でしかないのだ。
(前線で戦うには、みんののレベルを上げていかないとだな。)
攻撃力の低い白魔道士が、安全にレベルを上げる方法としては、最弱モンスターを狩り続けることだ。
若しくは、強力な仲間に手伝ってもらい、モンスターを瀕死に追い込み、トドメを刺すしか無い。
「前に出て戦える様になるには、結界魔法の発動速度と強度が大事になるから、そっちの練習もしてみよう。」
マルスの提案を受け、早速リンとパティは、結界魔法の訓練を開始する。
二人は、前面に結界を展開した。
「さっき言い忘れたけど、結界魔法を展開するポイントとしては、前面の攻撃だけなら、今みたいに前面に結界を展開すればいいけど、上空や左右後ろの攻撃にも対処出来る様に、練習を積んでおいた方がいい。前面ばかり練習していると、他の場所に展開する時に反応が遅れちゃうんだ。だから、色々な方向で展開練習をした方がいいよ。」
マルスの指導を受けた、リンとパティは、前面以外にも結界魔法を展開する練習を開始したのだった。
「二人共、結界の展開がスムーズになって来たね。」
「えへへ。ありがとうございます!」
「マルス君の教え方が上手いからだよ。」
マルスに褒められてた二人は、笑顔で答える。
「そう言えば、マルス様って付き合ってる方は、いるんですか?」
パティは、いきなり話題を変えて、マルスの恋愛事情を尋ねる。
「付き合ってる人? いないよ。」
マルスは、パティの質問に即答する。
「なら! 私が立候補していいですか!」
「ちょっとパティ!? 抜け駆けは許されないわよ!」
パティの突然の発言に、リンは一瞬驚くも、直ぐにパティに摑みかかる。
(えっと、何の立候補?)
「二人共授業に集中しなさい。」
マルスが困惑していると、エイル先生が静かに怒る。
「「は、はい!」」
エイル先生に注意された二人は、マルスの下からそそくさと離れて行ったのだった。
そして、職業別の授業を終えたマルスは、Sクラスの教室へと戻った。
「今日も、酷い目に遭ったよ。」
マルスは、教室へ戻ると、職業別授業で女性達に取り囲まれた話をクレイにした。
「……羨ましい。 俺なんて、むさ苦しい男連中ばっかなんだぞ!」
白魔道士と違い、クレイと同じ騎士系統の職業の者には、男性が多い。
その為、クレイは、マルスと違って男性達に取り囲まれているのだ。
勿論、騎士にも女性はいる。
そして、女性騎士達はクレイに憧れているが、女性騎士は、身体つきが良く、女性としての可愛らしさとは程遠い為、自分に自信が持てず、クレイに近付けないのでいたのだ。
「クレイも苦労しているんだな。」
マルスは、クレイが男達に囲まれているのを想像して、苦笑いを浮かべた。
「私達も苦労してるのよ。」
マルスとクレイの話を聞いていた、イリス達が会話に参加する。
「イリス達も囲まれちゃうの?」
「……ええ。」
「私もです。」
「私なんて、みんなが勝負を挑んで来るんだよ! もう、ヘトヘトだよ。」
イリスとフレイヤは端的に答え、ミネルヴァは疲れ切った表情をしていた。
「どうしたのイリス?」
マルスは、イリスが答えるのに、間があったことが気になり尋ねる。
「最近、しつこく言い寄ってくる人がいるのよ、断っているのだけれど、中々引き下がってくれなくて。」
「そんな奴がいるのか?」
(イリスも苦労しているんだな。)
イリスは、本当に困っていると言った表情を浮かべていた。
「魔法でぶっ飛ばして、私より弱い奴は、知りませんとか言ってやればいいんじゃないか?」
クレイが過激な提案をするが、イリスは首を左右に振る。
「私もそうしようとしたわよ。でも、君を怪我させる訳には行かないって、直ぐ逃げちゃうのよ。」
「それは困っちゃうね。」
イリスも、クレイの意見の様に、相手を叩きのめして、もう近付けさせない様にと考えていたのだが、相手はそんな誘いに乗ってこないのである。
「なら、誰か恋人でも作ればいいんじゃね? 俺なんてどうよ?」
クレイは、自分を指差してイリスにアピールする。
(ん? なんだろう? この胸のざわつく様な感じは。)
マルスは、自分の中で生まれている感情を理解出来ていなかった。
「こ、恋人を作る!?」
クレイの言葉を真に受けたのか、イリスは顔を赤くしてもじもじしていた。
イリスは、この国の王女であるため、そう易々とは交際など出来ない。
出会う男達は、皆、女王のイリスとして接する者ばかりだったからだ。
その為、イリスの恋愛経験はゼロだ。
「クレイは、チャラそうだから駄目よ。イリスとなら、マルスがお似合いよ。」
ミネルヴァが、イリスに合うのはマルスだと口にする。
「お、俺!? 」
マルスは、急なことに動揺してしまう。
「ちょっと待て!? 俺のどこがチャラいんだよ!?」
「見た目と行動よ。自分が一番よく分かってるんじゃないの?」
「なんだと!?」
クレイとミネルヴァの言い争いが始まる。
「まぁ、恋人のフリでもしていれば、諦めるのではないでしょうか?」
フレイヤが的確なことを発言する。
「確かにそうだな。 でも、具体的にはどうするんだ?」
フレイヤの言葉に、ミネルヴァと取っ組み合いをしているクレイが尋ねる。
「そうですね。とりあえず、一緒に買い物している姿などを見せるのはどうでしょうか?」
フレイヤの提案に一同納得してしまう。
「でも、それだと王女であるイリスが交際しているって広まって、大事にならないか?」
「それなら問題ないわ。私の相手は、私が決める様にと、両親から言われているわ。」
オケアノス国王も、政治的な結婚では無く、恋愛結婚であり、自分の娘も好きな人と結ばれて欲しいと願っているのだ。
「そ、そうなんだ。国王様達は、本当にイリスのことが大切なんだな。」
「本当に、両親には感謝しているわ。」
話が盛り上がって来たところで、エイル先生が教室に入って来た為、話を中断したマルス達。
そして、学校が終わり、ミネルヴァが良い店を見つけたので、夕飯を外で食べようと提案した為、待ち合わせの店に向かったマルス。
マルスの服装は、いつも通りの冒険者スタイルだ。
店の前には、既にイリスが私服姿で待っていた。
イリスの服装は、いつも見慣れている冒険者スタイルではなく、ワンピース姿であり、とても絵になる。
イリスの前を通る男性達は、全員が振り返る程、魅力的だった。
「イリスもそう言う格好になるんだね。」
「へ、変かな?」
「い、いや、凄い似合ってるよ。新鮮だね。」
「そう? あ、ありがとう。……マルスは、いつも通りの服装なのね。」
「こういう服はあるんだけど、普段街中を歩くようなオシャレな服は。持って無いんだよね。」
マルスは、イリスがお洒落な服で来ていたので、自分も合わせた方が良かったと後悔する。
「イリス様とマルス様でしょうか?」
「はい。そうですけど。」
「お食事の用意が整いましたので、中へどうぞ。」
店の店員男性が、マルスとイリスを店内へ誘導しようとする。
「いえ、まだ連れがいますので。」
「ミネルヴァ様から、お二人でお食事を楽しむ様にと、伝言を預かっております。」
男性店員の言葉に、マルスとイリスの思考は停止する。
「「ええーー!?」」
こうして、マルスとイリスの二人で、ディナーを過ごすこととなったのだった。
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