王都襲撃〜英雄は希望〜
やっと、英雄達が参戦します!
ーー王城ーー
「まさか王都にモンスターの大群が攻めてくるとは。」
報告を聞いたオケアノス国王の表情は固い。
「直ちに軍を指揮して、東門へ向かいます。」
「うむ。モンスターは任せる。」
軍のトップであるテュールは、国王にそう告げると、足早に立去る。
「民の避難誘導を直ちに行え! それから、冒険者ギルドにも東門の防衛に向かう様依頼するんだ! 他の門を警戒中の者にも警戒を強化する様伝達を行え!」
国王は、傍らで控えていた大臣らに矢継ぎ早に指示を出し、大臣らも直ぐに行動を開始する。
「ヘラ。」
「ええ。行くわよゼウス。」
ゼウスとヘラは、東門へ向かおうと動き出す。
「待って!」
マルスは、直ぐにこの場から駆け出そうとしている二人を呼び止める。
「何で止めるんだよマルス。」
「俺の転移魔法で一気に移動した方が速いよ。」
王都の東門なら、走って行くよりもマルスの転移魔法で直ぐに行ける。
(今頃、門の兵士達が頑張ってモンスターを食い止めている筈だ。速く行かないと!)
「私も行きます!」
「俺も連れて行ってくれ。」
「私も行きます!」
イリス、オグマ、ディアナも戦場へ向かうと名乗り出る。
皆、式典の為に正装をしていたが、直ぐに戦闘できる装備に切り替える。
「分かった! 直ぐに転移しますので、集まって下さい!」
マルスの周りにみんなが直ぐに駆け寄ったことから、マルスは転移魔法を発動した。
ーー王都東門ーー
マルスが転移発動を発動する少し前、既に門兵達とモンスター達は衝突していた。
ライオット兵隊長を筆頭に、門兵達はモンスターの大群を前に、逃げ出すこともせずに立ち向かっていた。
「門を閉めてはいるが、敵の攻撃を受け続ければ破壊されてしまう! 門に近付けさせるなよ!」
ライオット達が門を死守する様に布陣しているため、モンスター達は門に辿り着くことが出来ない。
門兵に向かわずに、王都を取り囲む様に築き上げられていた外壁によじ登ろうとするモンスターは、門の上にいる兵達の弓矢や、石、魔法などによって、撃ち落とされて行く。
「くっ!?」
「くそっ!? 敵の強さが上がってんぞ!」
「ガット!? ヒューイ援護に回れ!」
敵の猛攻を何とか耐えていた門兵達だが、ガットが敵に押されている状況を見た、ライオットがヒューイに援護の指示を出す。
ライオット兵隊長らが、モンスターの大群を前に何とか門を死守出来ていたのは、大群の先頭にいたモンスターらが、所謂雑魚モンスターだったからだ。
しかし、雑魚モンスターがライオット兵隊長らによって殲滅されたことにより、後ろに控えていたモンスターが、ライオット兵隊長らの下に辿り着いてしまったのだ。
ライオット兵隊長自身も、敵の強さが上がったことで、討伐速度が遅れて行く。
門兵らの身体にも傷が増え始め、遂に門を守る様に配置していた布陣が突破されてしまう。
ガットが、敵の攻撃を受けて吹き飛ばされてしまったのだ。
「ガット!?」
「ヒューイ持ち場を離れるな!」
ライオット兵隊長は、持ち場を放棄してガットへ駆け寄ろうとしていたヒューイに怒鳴りつける。
仲間を助けたい気持ちは、勿論ライオットにもあるが、それでも誰か一人でも持ち場を離れてしまったら、一瞬にしてモンスターに蹂躙されてしまうことが目に見えていたからだ。
怒鳴られたヒューイも、自分が離れたら一他の仲間を危険に晒すことを理解していた為、ライオット兵隊長の言葉に、渋々従うしかなかった。
そんな倒れているガットへと、迫るのはオークキングだ。
オークキングが、倒れているガット目掛けて槍を振り上げる。
「うわぁーー!」
ガットは、自分の死を覚悟した。
ザシュッ!
血飛沫が飛び散る。
そして、オークキングの首が胴体とさよならし、空を舞って地面へと落ちて行く。
「え?」
ガットは、自分を殺そうとしていた存在の首が、いきなり刎ね飛ばされたことに驚く。
首を失ったオークキングの直ぐ脇には、マルスが剣を振り切った状態で立っていた。
「【結界魔法:大天使の守護】!」
マルスの結界魔法により、門兵達を結界内に入れ、モンスター達と分断する。
「大丈夫ですか?」
マルスは、倒れていた兵士に手を差し伸べた。
「あ、ああ。ありがとう。」
ガットは、マルスが差し出した手を握り返して、立ち上がる。
「皆さん怪我をされているようなので、治療しますね。【回復魔法:全体回復】!」
(この人達が粘ってくれていなければ、今頃王都にモンスターが溢れかえっていたことだろう。)
マルスの回復魔法により、ガットを始めとした兵士達の傷が癒される。
「助かった。応援はどれくらい来ているのか分かるか?」
ライオットは、回復してくれたマルスに礼を言うと共に、どの程度の規模が応援に駆け付けてくれたのかが気になっていた。
「えっと、俺を含めて6人です。」
(応援に来てるのは、俺とイリス、ゼウスさんにヘラさん、オグマさんにディアナさんを入れて6人だ。)
「は? たった6人だと! まさか、他の門にも奴らが。」
ライオット兵隊長は、まさか応援に駆け付けてくれたのが6人しかいないとは思っても見なかった。
大群が迫っていると報告して、これだけしか応援が来ないと言うことは、他の門も襲撃されているのだと考えてしまった。
「他の門のことはまだ分かりません。ここには、後からテュールさんが軍を率いて来る筈です。俺達は、先に応援に来たので。」
「そうなのか? しかし、たった6人増えたくらいじゃ、この大群を相手に長くは持たないぞ。6人が英雄なら、話は別だがな。」
ライオット兵隊長は、流石に勝機は無いと、諦めの表情を浮かべる。
「それなら問題ないですよ。ここに来たのは、その英雄なんですから。」
マルスは、自信満々に答えた。
(俺達は、英雄勲章を貰ったばかりで知らない人も多いだろうが、ここにはこの国で知らない者はいない程の偉大な英雄がいるのだから。)
「「【火魔法:地獄の炎】!!」」
そのタイミングを待っていたかのように、門兵達を取り囲んでいたモンスター達を、イリスとゼウスの最上級魔法が消し飛ばす。
勿論、ゼウスは、マルスの結界を破壊せず、モンスターを殲滅出来る程度まで、威力を調整して放っていた。
黒王の名は伊達では無い。
更に、ディアナは門をよじ登ろうとしていたモンスターを射抜いて行き、オグマとヘラは近場にいる強力なモンスターを優先して片付けて行く。
「な、何て強力な魔法だ!?」
「モンスターが一瞬で倒されて行くぞ!?」
「つ、強い!? 一体誰なんだ!?」
その様子を、結界内から見えていた兵士達が驚きの声を上げる。
「あ、あの方々は!? まさか、剣姫ヘラ様と黒王ゼウス様!」
ライオット兵隊長は、二人の英雄に気が付いて、その名を口にする。
他の兵士達も、剣姫ヘラと黒王ゼウスの姿を目にして、目を輝かせる。
自分達の目の前に、偉大な英雄がいることに興奮してしまうのは、仕方のないことだろう。
「勝利の希望が見えたぞ! 英雄様と共に戦うぞ!」
「「「うおおぉぉーー!」」」
ライオット兵隊長が剣を天高く掲げると、他の兵士達も雄叫びをあげながら、各々の武器を高く掲げる。
「流石、ゼウスさんにヘラさんだ。この場に居るだけで、みんなに希望を与えてくれた。」
マルスは、二人のことを誇らしく思ったのだった。
新たに【ブクマ】と言う名の支援魔法を発動していただいた方、ありがとうございます( ^ω^ )!




