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人気者マルス

ゼウスとの試合を終えたマルスのお話です!

 ゼウスとの戦闘を終えたマルスは、生徒達に囲まれていた。


 マルスを取り囲んでいるのは、冒険者学校に在学中の女性達だ。


(どうしてこうなった? み、身動きが取れない!)


「マルス君付き合って!」


「抜け駆けしないでよ! マルス君は、私と付き合うのよ!」


「マルス様は、私のよ!」


「マルス様!」


「私の神に触れるな雌ブタども!」


 マルスは、目をハートにさせた女性達によって、身動きを取ることすら出来ない。


 一部の生徒は、マルスを神の様に狂信的に崇めていた。


 女性達の中には、元々マルスのルックスに惚れている者達が多かったのだが、マルスが白魔道士であることを、マルスの入校時の挨拶で知ってしまい、中々踏み出せないでいたのだ。


 女性達は、マルスの職業が下級職業の白魔道士であったために、将来的に不安を感じてしまっていた。


 それでも、密かにマルスファンクラブは存在していた。


 勿論、マルスはそんなことは知る由も無いが。


 しかし、マルスの学年対抗戦での活躍を目にして、白魔道士であろうと、マルスなら将来性有りと判断し、再び女性達の中で、マルスファンが増え始めた。


 更に、魔王を討伐したとして、国からも認められる存在となったマルスの人気は、うなぎのぼりとなる。


 それだけではなく、英雄である剣姫ヘラと黒王ゼウスとも関係のある人物と知れ渡り、遂に、マルスファンが暴走してしまったのだ。


 そんな暴走している女性達に囲まれて、揉みくちゃにされているマルスを、イリス達は外から眺めていた。


「マルスって、こんなに人気があったのね。」


「そうですね。マルスの人気は凄いです。」


「優良物件だよね。ファンクラブとか出来てたし。」


 普段からマルスと行動を共にしているだけあって、イリス達は、その輪に加わることは無かった。


「へぇ。マルスのファンクラブ何てのもあるんだ。知らなかったわ。」


「私も初耳です。」


「勿論、イリスとフレイヤ、クレイのファンクラブもあるよ。」


 マルスだけでは無く、今年の1学年には過去に例のない程の、最上級職業が集まっているのだ。


 人気が集まるのは、仕方のないことである。


「ま、まさか私達のファンクラブまであるなんて。」


「マルスの様には、なりたくないですね。」


 イリスとフレイヤは、顔を引きつらせながら、マルスの様に取り囲まれるのを警戒し、周りをキョロキョロと見回すのだった。


「ミネルヴァのファンクラブだってあるじゃん。」

 自分のことだけ語らなかったミネルヴァに、クレイが言い返す。


「え? 私はそんなの知らないよ!」

 ミネルヴァは、自分のファンクラブが出来ているとは思っても見なかったので、自分のことは調査していなかったのだ。


(おおーーい!? みんなで楽しそうに話してないで、こっちを何とかしてくれよ!?)

 マルスは、ちょこちょこ飛び跳ねながら、イリス達に目を向ける。


(ちょっと!? どこ触ってるんですか!? 今俺の胸板を触られたんだけど!? 俺は身の危険を感じていた。)


 マルスは、助けを求めてイリス達を見るが、全く救援要請に気づく様子はない。


(近くで見てないで、助けてくれよ! ……こうなったら、アレしかない!)


「【転移魔法:瞬間移動(ゲート)】。」

 マルスは、囲まれていた状況から逃げ出す為に、転移魔法を発動した。


「ちょっと!? みんな助けてくれよ!」


「うわっ!? びっくりした!」

 マルスが転移したのは、マルスのことを助けてくれなかったイリス達の側だ。


 いきなり近くで声を掛けた為、イリスは肩を跳ね上げて驚いていた。


「マルス、転移魔法で逃げて来ましたね。」


「人気者は大変だねぇ。」

 フレイヤは、マルスの脱出方法を瞬時に見破り、ミネルヴァは、苦労しているマルスを揶揄(からか)っている。


「あそこにいたら、圧迫死するよ。どうして俺だけこんな目に。」


「え? 自覚無いの?」

 マルスは囲まれた時に乱れた服を直しながら、愚痴を零す。


 そんなマルスに、イリスは呆れた顔をしていた。


(あれ? 俺、何かしてたの?)


「白魔道士で有りながら、学校一の強さを見せ付けただけじゃなく、魔王まで討伐したんだから、女の子に囲まれるのも当然でしょ? マルスは、見た目も良いんだから。」


「……そうなの?」


(確かに、学年代表戦で優勝したし、魔王も倒したのは事実だが、俺の見た目は良いのだろうか?)


 イリスにそんな風に言われたマルスの頬は、ほんのり赤く染まっていた。


(そ、そんなことより、男の俺から見たって、クレイはカッコイイと思う。それに、俺と違って最上級職業のパラディンだし。イリス達だって、最上級職業ってだけじゃなく、他の女性達よりも魅力的だと思う。)


「そうなの。マルスはこの後、国から魔王討伐の勲章も貰うんだから、今より更に苦労しそうね。」


(そ、そんなぁーー!? )


「なら、イリス達だってそうなるだろ? みんな綺麗なんだから。」

 イリス達も魔王討伐の際に、居たのだから国民の前に姿を晒せば注目されるだろう。


「ふぇっ?」


「……。」


「おお!? お世辞でも嬉しいこと言ってくれるねぇ。」


 イリスは、マルスの突然の発言に、急激に体温が上昇してしまい、頬を赤く染める。


 フレイヤも、いきなりだったので、反応することが出来なかった。


 ミネルヴァも、マルスに容姿を褒められたので、笑顔で答える。


(三人共、どこか反応がぎこちないような? 俺また何かやらかしたのか?)


 その後、三人が正気を取り戻すまで、しばらく時間が掛かったのだった。




「いやーー、マルスは人気者だな。」

 ゼウスは、へらへらしながらマルスと肩を組む。


「ゼウスさんだって、人気者じゃないですか?」


「そりゃーー、そこそこ魔王を倒して、名が売れているからな。その内慣れるさ。」


(これに慣れるのか? 俺には無理そうです。)


「マルスの周りは素敵な女性が多いわね。マルスは誰とくっ付くのかしらね。」

 ヘラは、マルスにだけ聞こえる声で話し掛け、イリス達へと目を向ける。


「うえぇ!?」

 マルスは、ヘラの発言に動揺して声が裏返る。


(ヘラさんは、いきなり何を言い出すんだ!?)


 マルスの狼狽え様に、ゼウスとヘラは笑い出す。


 その後も、ゼウスとヘラにからかわれ続けたマルス。


 そして、マルス達の勲章授与当日を迎えたのだった。

本日もありがとうございました( ^ω^ )


次回は、勲章授与のお話です!

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