カニングトン鉱山
余談ですが、カニングトン鉱山は、実在する鉱山となります。
鉱山のある場所は、オーストラリア、クイーンズランド州。
鉛、亜鉛、銀などがゲット出来るようですね。
銀鉱山としては、世界最大規模を誇り、世界第4位の銀生産国オーストラリアの主要な鉱山みたいですね。
作中では、ミスリル鉱石ゲットポイント!
マルス達が馬車に揺られて辿り着いたのは、ミスリル鉱石が採取出来る、カニングトン鉱山。
地下深くまで掘られており、最奥地がどうなっているのか、未だ謎に包まれた場所である。
一説には、強力なモンスターが住み着いているとされているが、辿り着いたものはいない。
そんなカニングトン鉱山に棲息するモンスターは、岩石系のモンスターが多い。
どのモンスターも高い防御力を有しており、一体を倒すのにもたついていると、次々と迫るモンスターに囲まれてしまい、ジ・エンドとなるのだ。
その為、カニングトン鉱山は冒険者殺しとしても有名な場所である。
そんな場所において、現在マルス達は交戦中だ。
「そっち行ったぞ!」
「任せろ!」
マルスが弾いたモンスターが、ゴロゴロと転がりながら、クレイの方へと飛ばされる。
現在マルス達の周りには、丸いフォルムに、身体が岩で出来たモンスター、ビッグロックが多数襲いかかっている。
「はーー! 【騎士技:騎士一閃】!」
クレイの攻撃により、ビッグロックは岩の身体を両断させる。
「纏めて氷漬けよ! 【氷魔法:氷結】!」
イリスの黒魔法により、複数のビッグロックが氷漬けとなる。
「終わりです! 【剣技:豪剣】!」
「砕いちゃうよーー! 【拳技:|剛拳《パワーナックル】!」
氷漬けとなったビッグロックの身体を、フレイヤとミネルヴァが打ち砕く。
砕かれたビッグロックは、身体が粉々に飛散した。
「これで最期だ!」
マルスが最期の一体を倒し終え、マルス達の周りには、ビッグロックの砕けた身体が散乱していた。
「だいぶ倒したな。レベル上がったんじゃねぇか?」
「そうだな。でも、コイツらそんなに強く無いし、かなりの数を倒さないと、コイツらじゃレベルは上がらなそうだな。」
クレイの言葉に、マルスが答える。
マルスの言うように、ビッグロックは防御力が高いだけの雑魚モンスターだ。
今のマルス達がレベルを上げるならば、効率の良いモンスターとは言え無い。
その後もマルス達の鉱山探索は続き、しばらくするとミネルヴァが声をあげた。
「あった! これじゃ無いかな!?」
ミネルヴァの手には、銀色に輝く鉱石が握り締められていた。
「それは銀だと思うわよ。」
「銀ですね。」
「それは銀だな。」
イリス、フレイヤ、クレイの三人が、ミネルヴァの手に持つ物の正体を、銀だと断言する。
「そんなーー。でも、銀でもお金になるもんねーー。」
ミネルヴァは、ホクホク顔で銀を腰布に仕舞い込む。
「なぁ、ミネルヴァって確か田舎の出だったよね?」
「ん? そうだよ。兄弟も多くてね。私が稼がないとなんだ。」
ミネルヴァがお金を欲しがっているのは、そう言う理由があってのことだ。
(それならなんで冒険者学校に入ったんだ?)
そのことについて、マルスがミネルヴァに尋ねる。
「私の職業が最上級職業だって分かったら、国から学校費用いらないから、冒険者学校に入る様に言われたのよ。その間の家の援助もしてくれるって言うし。」
(な、なんていい待遇を受けているんだ!? 俺なんて学校費用を自分で稼いでいるって言うのに! 差別だ! 職業差別だ!)
マルスはミネルヴァの言葉に、ハートブレイクされてしまい、蹲ってしまう。
「え!? マルスどうしたの?」
イリスがいきなり、マルスが蹲ったことに驚き、マルスに駆け寄る。
「……職業差別だ。みんな平等にすべきだ。頑張って学費払ってるのに。」
マルスが、ブツブツと独り言を発し始めた。
「こ、混乱の状態異常にかかっているわ!? だ、誰か回復を!」
「いやいや、落ち着けよイリス。これは状態異常だけど、ちょっと違うだろ。それに、回復役はその混乱中のマルスだろ。」
突然のマルスの暴走に、イリスは混乱して謎めいた発言をし、クレイに冷静に突っ込まれた。
「そ、そうよね。ねぇマルス。最上級職業に選ばれる人は、1年に一人いないくらい少ないと言われているの。それくらい最上級職業は強力な存在よ。国としては、そんな人達に力を伸ばして欲しいと考えてのことなの。……ほら、他の上級職の人は、皆んな学費を納めているでしょ?」
イリスの必死の説明に、マルスは顔を上げてイリスを見つめる。
「ここには、最上級が四人もいるけどね。」
「た、たまたよ?」
「なんてね。依頼をこなして成長出来るし、学費も問題無く払えてるから、気にして無いんだけどね。」
「心配して損した!」
マルスは、ヘラとゼウスに鍛えてもらい、自分で稼いで何とかやり繰り出来ているが、裕福じゃ無い家庭に生まれた子は、学校に通い難いシステムだ。
マルスは、この国の冒険者学校のシステムに、改善の余地が必要と思いつつ、自分が考えることでは無いと、思考を止める。
気を取り直した一行は、更に下へと降りて行き、遂に目的のミスリル鉱石を発見する。
ミスリル鉱石は、銀と黄緑色の輝きを放っていた。
ミスリル鉱石には、魔力が宿っていると言われており、そのため魔力伝導率が高いのだ。
マルス達が辿り着いた場所では、いくつかのミスリルを採取することに成功した。
「どれくらい必要なんだろうな?」
「俺達人数分の武器となると、結構必要になりそうだよな。」
マルス達の採取した量で全く足りない。
マルス達が今後の方針を決めかねていると、ドスンドスンと、大きな音が近付いて来た。
現れたのは、土色の身体をした二本の足と手を持つモンスター、ゴーレムだ。
その内の一体は、土色の身体ではなく、ミスリル鉱石のような銀と黄緑色の身体をしたモンスターが含まれていた。
「あれは……ミスリルゴーレムって奴か?」
マルスは、モンスターの特徴から、ヘラとゼウスの所で聞かされたモンスター名を口にする。
ミスリルゴーレムのHP、攻撃力、防御力は、通常のゴーレムを遥かに凌ぐ。
その為、ミスリルゴーレム討伐の依頼は、Aクラス扱いとなっている。
マルス達は、過去にハイペリオンやギガントゾンビなどの危険なモンスターを討伐しているが、油断出来ない相手である。
だが、ミスリルゴーレムの身体は、ミスリル鉱石で出来ている。
つまり、ミスリルゴーレムを倒せば、ミスリル鉱石が大量に手に入るのだ。
「絶対ミスリルゴーレムを逃すなよ!」
ゴーレム達は、マルス達を狩ろうと襲ったのに、まさか逆に狩られる立場だとは思いもしなかったのだった。