アザゼル戦終結へ
アザゼル戦は、この回で最後となります!
アザゼルの放った地獄の炎が、マルス達へと迫る。
しかし、それは突如発生した結界によって阻まれた。
マルスが、最上級支援魔法と最上級結界魔法を発動して、何とか防ぐことが出来たアザゼルの黒魔法。
それを防いだエイル先生の実力は、かなりのものだろう。
エイル先生から声を掛けられたマルスは、エイル先生にお礼を述べた。
「まさか、アザゼル君が悪魔化するなんて。」
(悪魔化? エイル先生は、アザゼルのこの状況のことを知っているのか?)
「先生、悪魔化って何ですか?」
「悪魔化っていうのは、人がモンスターの様な異形な姿になることよ。悪魔化する原因は不明だけど、悪魔化した者は、とても強力な存在となるわ。こっちが相当な戦力を揃えないと太刀打ち出来ないくらいにね。」
マルスの問いに、エイル先生は答える。
(過去にも悪魔化した人が居たってことか。 原因は不明って言ってたけど、さっきアザゼルは、誰かから飲み物かなんかを貰ったって言っていたが、それが悪魔化の原因なのか? )
「……俺の魔法を防ぐとは、流石最上級職業ですね。エイル先生。」
アザゼルは、自分の攻撃が防がれたと言うのに、慌てた様子は無かった。
「アザゼル君。何でこんなことをしたの!?」
エイル先生は、自分の教え子が悪魔化したことを悲しんでおり、そうなった原因を知りたかった。
「何で? ふっ。俺は力を欲していただけだ。折角、上級職に選ばれたと言うのに、最弱の職業である白魔道士に負けたんだ。……屈辱だったよ。俺はこの力を世界に知らしめてやるんだ。」
アザゼルは貴族の家に生まれ、両親はアザゼルが上級職業と知り喜んだ。
そして、アザゼルは幼き頃より父親から厳しい訓練を施されたのだ。
『強くなれ。』
身体にいくつも痣を作り、親から殴られ、蹴られ、魔法を当てられ、アザゼルの身体に傷が付かなかった日は無い。
毎日の様に、言われ続けた言葉だ。
アザゼルの父親は、上級職業としてこの世に生を受け、多くの功績を打ち立て、貴族入りを果たした。
しかし、貴族入りしたとしても、まだまだ貴族としては下の存在。
アザゼルの父親は、更に上を目指そうと自分の息子を鍛え続けたのだ。
泣こうが、体調不良だろうが関係無く、鍛え続けた。
こうした幼少期を過ごしたからこそ、アザゼルの心に闇が住み着き、成長していたのだ。
そして、謎の液体を体内に取り入れたことにより、その闇が爆発し、悪魔化したのである。
「そ、そんなことのためにみんなを殺したっていうの!?」
「……そんなこと、だと。黙れ。黙れ。黙れ! 【雷魔法:紅い稲妻】!」
アザゼルは目を血走らせ、紅色の稲妻をエイル先生へと落とす。
「!? 【結界魔法:守護神】!」
エイル先生は、瞬時に魔法を発動して紅い稲妻を防ぐ。
「くっくっくっくっ。貴様も所詮は、白魔法しか使えない外れ職業だ! 貴様に俺を倒す力は無い!」
アザゼルは、攻撃魔法を放てないエイル先生を挑発する。
「【火魔法:大爆発】!」
「【風魔法:強風】!」
「【雷魔法:雷】!」
イリスの放った火魔法を、風魔法が更に増幅させ、更に雷がそれを覆い、威力を跳ね上げる。
黒の賢者であるイリスと、上級黒魔道士二人の魔法が同時に放たれ、強力巨大となった魔法がアザゼルを襲う。
「雑魚どもが。【雷魔法:蒼雷円】!」
アザゼルは、自身を中心に最上級魔法を発動し、青光りした雷が円状に広がり、イリス達の魔法をも消滅させてしまう。
イリス達の魔法を消滅させても、その威力は収まらず、魔法はイリス達に及ぼうとしていた。
「「「「【結界魔法:聖域結界】!」」」」
エイル先生と共に、生徒の救援に来ていた上級白魔道士達が一斉に上級結界魔法を発動する。
アザゼルの放った蒼雷円は、複数展開された結界魔法を前に霧散する。
個々の力では、圧倒的にアザゼルに劣っていても、力を合わせれば、アザゼルの魔法にも対抗出来るのだ。
「【足技:真空蹴り】!」
「【剣技:紫電突き】!」
ミネルヴァが上空から真空蹴りを放ち、フレイヤは雷を纏った剣で突きを繰り出した。
「がはっ!?」
しかし、アザゼルはミネルヴァの真空蹴りを避けるのでは無く、足を掴んで地面へと打ち付けて投げ捨てる。
更に、フレイヤの紫雷突きも、アザゼルは手で掴んでしまう。
「え!?」
フレイヤは、まさか突き出した剣が掴まれると思っても見なかった。
アザゼルは、そのまま反対の手に持つ槍で、フレイヤを貫こうとする。
フレイヤは咄嗟の判断で、剣から手を離して後退した為、アザゼルの槍に身体を貫かれることはなかった。
「接近戦なら勝てるとでも思ったか?」
アザゼルは.ミネルヴァとフレイヤを嘲笑う。
アザゼルを他のメンバーが抑えている内に、マルスは収納箱から魔力回復薬を取り出し、一気に飲み干してMPを回復させる。
丁度その時、増援部隊が辿り着く。
「まさか悪魔化した者が出ようとは。」
「テュールさん!」
増援として辿り着いたのは、この国の軍のトップに君臨しているテュールだ。
イリスは、幼きころよりテュールから魔法の指導を受けており、テュールの実力を一番理解している。
その為、イリスはテュールがいれば何とかしてくれると思った。
テュールは、50歳と身体の最盛期はとっくに終えているが、黒の賢者の職業に選ばれた男で、魔法の腕と頭脳は軍の頂点に位置している。
「アザゼル!? お、お前が悪魔化したのか!?」
(ん? この人、アザゼルと似ているような。)
マルスは、アザゼルに近付こうとする男性を見て、そう感じた。
「ん? このうざってぇ声は、クソ親父か? 俺に殺されに来てくれたのか?」
「ほ、本当にアザゼルなんだな。……この馬鹿息子が! 大人しくしていろ! お前は俺の手で始末してやる。」
アザゼルの父は、剣を握りしめてアザゼルへと近付く。
(アザゼルが、大人しくなっている?)
アザゼルは、自分の父親が剣を持って近付いて来るのに、全く反応を示さず、俯いたままだ。
「さぁ、頭を下げて首を差し出せ! お前の仕出かしたことを終わらせるのが親の勤めだ。」
アザゼルの父親は、天高く剣を掲げた。
「……やっと殺せる!」
アザゼルは、俯いたまま槍を前に突き刺し、父親の腹を貫く。
「ぐはっ!? あ、アザゼル、なに、を?」
腹を貫かれたことにより、腕に力が入らず、剣を落としてしまう。
「毎日、毎日、毎日、毎日、よくも俺を甚振ってくれたな! 俺がどれだけお前を殺したいと思っていたことか、お前は知らないだろうな!」
腹に貫通させている槍を、アザゼルはグリグリと捻り混む。
槍を持つ手と反対の手で、父親の腕を掴むと、火の下級魔法である火を放って、皮膚を焼く。
父親が喚き叫ぶ度に、アザゼルは気分が高揚するのを感じていた。
アザゼルは、その後も反対の腕、足、右脇腹、左脇腹と、次々と燃やしていく。
助けに入ろうにも、魔法ではアザゼルの父を巻き込んでしまう為、テュールも魔法を放つことが出来なかった。
接近戦を得意とする上級剣士達がアザゼルへと向かおうとすると、アザゼルが蒼雷円を放って近付けさせない。
「終わりだ。【火魔法:地獄の炎】!」
アザゼルは、父親の頭を掴んで全身を燃やし尽くし、後には何も残らなかった。
アザゼルは、自分を苦しめていた存在をこの手で殺すことが出来たことに満足していた。
「お前も終わりだ! 【雷魔法:雷神の鉄槌】!」
アザゼルの隙をついて、テュールが放ったのは雷の神級魔法だ。
特大の雷が、轟音と衝撃をもたらしながらアザゼルへと落ち、全身を撃ち抜く。
「が、がはっ!?」
アザゼルは、膨大なHPと強固な防御力を有しており、テュールの神級魔法を耐え抜いた。
「こんなところで死んでたまるか! 俺はもっと強くなるんだ!」
アザゼルは背中の翼を羽ばたかせ、空へと浮上する。
「逃すか! 【支援魔法:大天使の頭脳】! テュールさん!」
ここにアザゼルを逃したら、今後どんなことになるか分かったもんじゃない!
マルスは、自分では上空にいるアザゼルへと攻撃する手段がない為、黒の賢者であるテュールに最上級支援魔法を施したのだ。
「うむ。【雷魔法:雷神の鉄槌】!」
上空を飛んでいるアザゼルへと、先程よりも更に巨大となった、超特大の雷がアザゼルへと落ちる。
雷神の鉄槌がそのまま地面に落ちると、地面を穿ち、特大のクレーターを作り上げた。
「……やった、のか?」
マルス達がクレーターに辿り着いた時、アザゼルの亡骸は発見することが出来なかった。
(あの威力だ。 身体が消滅していてもおかしくないだろう。)
怪我人の治療と死者の回収を全員で行い、今回の大会はここで終了となったのだった。
次回は、少しほのぼの行きたいなぁ〜と考えております(^◇^;)
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