破滅への道
昨日は、本作初のレビューをいただき、多くの方に読んでいただけました( ^ω^ )!
今回は、時間がなかったので短めの回になります(>人<;)
パーティー戦で午前中の試合は終了し、クラス対抗のチーム戦は、昼食を挟んでから行われる。
個別に食事を摂られると、集合に手間取ってしまうことから、全員教室で昼食を食べることになっている。
その為、マルス達はSクラスの教室で現在食事中だ。
勿論、食事中の話題は、マルス達で持ちきりだった。
個人戦とパーティー戦で1学年が両方優勝したのは、オケアノス冒険者学校始まって以来の快挙である。
1学年での個人戦優勝は、オグマを含め過去に数人いたらしいが、パーティー戦では大抵3学年が優勝していたらしい。
この勢いでチーム戦も優勝しようと意気込んでいた。
「マルス君だけじゃなく、他のみんなも本当に凄かったわ。」
エイル先生は、満面の笑みでマルス達を褒め称える。
「本当だよ。白魔道士でもあれだけ強くなれるんだな。」
「流石、最上級職業だ!」
「俺らも負けてられねぇな!」
エイル先生だけじゃなく、クラスメイト達も、同じクラスメイトが優勝したことを喜んでいた。
……ただ一人を除いて。
「調子に乗りやがって。マジでうぜぇ。俺が出てても楽勝だったんだよ。」
アザゼルだけは、教室の隅で一人、マルス達の活躍を妬んでいたのだった。
▽
午後からのチーム戦は、冒険者学校の広い敷地にある戦場フィールドを使って行われ、観客席も外に設置されており、試合観戦がしやすいように設計されている。
観客席は、戦場フィールドが広く、また森エリアや山エリアなどの視界が悪いエリアも含む為、全ての戦場を見ることは難しい。
チーム戦は、1学年の全6クラスが一斉に戦うことになっており、クラスの像を破壊されたら敗北となる。
最後まで像が壊されなかったクラスが勝利する仕組みだ。
「それじゃあ、みんなの勝利を観客席で祈ってるわ。」
エイル先生に送り出された俺達は、指定されたエリアへと移動する。
チーム戦の配置は、事前に打ち合わせしていた通り、像を守るマルスチーム、相手の像を破壊する、アザゼルチーム、イリス(フレイヤ、ミネルヴァ)チーム、クレイチームに分かれた。
試合の合図である、火魔法が空へと打ち上げられたのを確認したマルス達。
「ここは絶対に守り抜くから、みんな頼んだよ!」
マルスは、結界魔法がある為、像を守護するのには自信があった。
「任せとけ!」
「頼んだわよ。」
クレイとイリスから返事を受け取り、像の破壊チームへと声援を送ったマルス達は、周囲の警戒を強めるのだった。
アザゼルチームが正面、イリスが右、クレイが左に進路を取り、他クラスの像の破壊に向かって、進行を開始する。
▽
アザゼルチームは、上級槍術士のアザゼル、上級黒魔道士ギー、上級剣士アル、上級拳法家レン、上級白魔道士パティだ。
大活躍したかったアザゼルは、一人でも多く、一つでも多くの像を破壊したいが為に、走るペースを上げる。
当然、パーティーメンバーの魔導士二人は速力が低い為に、その速度に付いて行くことが出来ない。
「ちょっとアザゼル!? 飛ばし過ぎだぞ!」
「みんなが付いてこれてないじゃないか!?」
アザゼルの速度に付いて行く、二人がアザゼルへと文句を言うが、アザゼルはそれを無視して更に速度を上げてしまい、二人を置き去りにして、一人で突き進む。
暫く突き進んだアザゼルは、別クラスの団体を発見した。
その数50人と、いくらSクラスと言えど、一人では無謀な程の大集団だ。
この大集団を成しているクラスは、1クラスのメンバーだ。
1クラスは、Sクラスの像を破壊する為に、クラスの半分の人数を割いて、Sクラスの陣地を目指していた。
「ん? あそこにいるのは、Sクラスの奴だぞ!」
「一人でこっちに走って来てるな。」
アザゼルが単独で駆けていることから、何か罠があるのでは無いかと、1クラスのメンバーに不安が走る。
「何が狙いか分からないが、兎に角、遠距離攻撃で倒しちまえ!」
「そうだ! こっちには黒魔道士や上級黒魔道士がいるんだ!」
「弓術士も忘れんなよ!」
1クラスのメンバーは、アザゼル目掛けて遠距離攻撃の準備を開始する。
「俺に仲間なんて必要無い。ここで活躍して、俺の本当の力を見せてやる。」
アザゼルの手には、怪しげな液体が入った瓶が握られていた。
アザゼルは、観客席で出会った青年のことを思い出す。
(これを飲めば、本当の俺の力が。)
アザゼルは、瓶の蓋を開け、喉をゴクゴクと鳴らしながら液体を飲み干す。
その瞬間、アザゼルは、今迄の人生で味わったことも無い程の痛みに襲われる。
「があぁぁぁああぁぁっぁっぁぁぁ!」
両腕で自分の身体を抱締め、痛みに耐えながら絶叫を上げるアザゼル。
丁度そのタイミングで、1クラスの放った魔法や矢が、アザゼルの方へと着弾する。
「これで一人撃破だな!」
「罠かと思ったが、只の馬鹿だったみたいだな。」
1クラスの面々は、Sクラスのメンバーを一人倒したと喜びあう。
しかし、突如アザゼルが居た方から巨大な炎が飛来し、1クラスのメンバーを吹き飛ばす。
その威力は絶大で、直撃した者は、物言わぬ肉塊へと姿を変えてしまった。
直撃していない者でも、近くにいた者は炎の高温に肌を焼かれ、重症のダメージを負っている。
勿論、この行事は学校行事の為、相手を殺すことは許されない。
重症でも、優秀な回復魔法を使える白の賢者エイルがいることから、大抵の怪我は治るのだが、死んでしまった人間を生き返らせることは出来ない。
「……力だ。力が漲って来る!」
着弾した魔法によって舞い上がっていた土煙が晴れた先にいたのは、アザゼルではなかった。
いや、アザゼルなのだが、その姿はあまりにも人の形からかけ離れていた。
頭の上には山羊の角が生えており、背中には巨大な翼、下半身は二本の足で立っているが山羊のものとなっている。
この世に、悪魔アザゼルが降臨した瞬間だった。
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