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壊滅

GWも半ばなので、夜更かしさんは少ないようですね(^^)

私も眠いです(´-`).。oO

 セト達が去ってからと言うもの、マルスは父サウスにあるお願いをした。


「木の剣が欲しい?」

 そう、マルスが父サウスにお願いしたのは、素振りをする為の剣だ。


 但し、真剣を振り回しては危ないと言うことは理解しているので、木の剣が欲しいと頼んだのだ。


「お前も男の子だもんな。」

 そう言って、父サウスは木を削って、マルスが振るのに丁度いいサイズの木剣を作ってあげた。


 それからと言うもの、マルスは早朝に素振りをするのが日課になった。


 朝、日が昇ると同時に目を覚まし、木剣を手に外に出て、ひたすら木剣を振り続ける。


「……998、999、1000! 終わったーー!」

 マルスは、ブルーバードの人達が言った通りのことをこなすと決めたのだ。


 素振りを終えたマルスは、家に入り、両親と朝ごはんを食べる。


「朝から頑張ってるな。」

「うん! 僕が、お父さんとお母さんを守ってあげるね」

「カッコイイねマルスちゃんは! 大好きよ。」

 両親は、満面の笑みでマルスの頭を撫でた。


 朝食を終えてからは、ランニングを開始する。


 この村は、一周がだいたい2キロあるので、5周すれば10キロになる。


 普通の3歳児が走る距離ではないのだろうが、そんな常識を知らないマルスは、言われた通りに10キロを走破する。


 ランニングを終えると、もう昼食の時間になってしまったので、お昼を食べ、食休みを終えたマルスは、次に腕立て伏せを始める。


 腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットなどの筋力トレーニングをこなす。


 子供のマルスが、それだけのトレーニングをこなせるのには訳があった。


 影ながらマルスの父サウスが、マルスに回復魔法や支援魔法を掛けていたからだ。


 マルスに気付かれないように、サウスはマルスをサポートしていたのだ。


 その親バカっぷりに、母マライカは呆れながらも、微笑ましく見守っていた。


 そんな日々が1年続き、素振りもランニングも、最初の頃よりもかなり早く終わるようになる。


 既にサウスの魔法は不要なくらいまで、マルスの身体能力は向上していたが、マルスが更にトレーニングの質と量を高めた為、サウスの支援魔法は継続して行われている。



 そして、今日もマルスが自宅の外で素振りをしていた。


「あらあら、随分と気合が入っているのねぇ。」

「お早うございます。うん。強くなってお父さんとお母さん、村のみんなを守れるようになりたいんだぁ。」

「小さいのに偉いのね。なら少し手解きしてあげましょうか?」

「おばさん、剣が使えるの?」

「おば……ええ、少しだけね。どうかしら?」

 マルスは、今迄誰の指導も受けたことがなかったため、剣の指導をお願いした。


 マルスは、ヘラのことをおばさんと呼んだが、ヘラはまだ22歳であり、見た目は非常に若く美しいため、過去におばさんと言われたことは一度も無く、かなりショックを受けていたのだったが、そのことを子供のマルスが知る由もない。


「うんうん。筋がいいわね。」

「本当!?」

「ええ。剣筋も綺麗だし。凄い剣士になれそうね。」

「ありがとうございます!」

「いいのよ。久し振りに楽しかったわ。そう言えば名乗っていなかったわね。私はヘラよ。」

「マルスです。」

 この時より、マルスの素振りの際に、ヘラが指導に来るのが日課となった。

 

  ▽

更に、3年の月日が流れた。


 マルスの住む、ティターン村を眺める複数の目があった。


「今日は、あの村で暴れてやるか。」

「ニンゲン、喰エル。」

()()()()()()の力に恐怖するがよい。」

 魔王ベヒモスは、マンモスの様な姿をしており、二本の足で立っている。


「暴れて来い!」

 魔王ベヒモスの指示で、モンスターが次々とティターン村へと向かうのだった。


  ▽


 現在のマルスは6歳となり、身体が大きく成長していた。


 剣の扱いについては、ヘラの指導の下、確実に腕を上げ、今では動きながら剣を振るのも様になっている。


「うんうん。いい感じよ。」

 まだ身体が出来上がっていないため、勝負をしたら兵士が勝つだろうが、剣術のレベルはそこらの兵士より上となっている。


 ヘラは、マルスが余りにも飲み込みが早い為、練習にも熱が入ってしまった。


 今となっては、素振り1000回こなした後に、ヘラに剣技を習うのが日課だ。


 「今日はここまでにしましょう。また明日ね。マルス。」

 今日の稽古を終え、ヘラは村から少し離れた場所にある自宅へと帰って行った。


 「もう少し走っておこうかな。」

 ヘラと別れたマルスは、木剣を片付けいつも通り村の外周を走り出す。


 しばらくして、村の外周を走り回っていたマルスはある異変に気がつく。


(ん? 土煙が上がってる?)


 マルスの目には、森の方から村に向かってくるような土煙が見えていた。


 その時、村の高台から鐘の音が鳴り響く。


「え? これって、緊急時に鳴るって言う鐘の音?」


 マルスは、両親から鐘の音が聞こえたら直ぐに家に帰って来るように言われていた。


 マルスの現在地は、家の真反対であり、家に帰るには一番遠い場所に居た。


 「早く家に帰らないと!」


 しかし、そんなマルスの耳が人の叫び声を捉えた。


「モンスターだーー! 今すぐ逃げろーー!」

 (も、モンスターだって!?)


 叫び声を上げた人が肉眼で見えた頃には、その後ろにウルフやベアーと言ったモンスターが押し寄せて来ているのが分かった。


「おいおいこんな田舎の村に、あんなにモンスターが来るなんて!?」

「兎に角、ここで食い止めるしかないだろ!」

 村に駐留していた兵士達は、村の守護をするために武器を構える。


 マルスは、この場に居ては危険と判断し、直ぐに両親の居る自宅へと駆け出す。


 自宅へ近付くと、村の中は地獄絵図へと変わっていた。


 村のあちこちで、村人がモンスターに襲われていたのだ。


 (襲撃して来たのは、あっち側だけじゃ無かったってこと!?)


 周りを気にしていたマルスは、突如横へと吹き飛ばされた。


 マルスは、痛みに耐えながら衝撃を加えられた方向を見ると、そこには一匹のウルフがいたのだ。


 ウルフの口には、凶暴な牙があり、涎が地面へと滴り落ちる。


 (こ、怖い。 身体が動かない。)


 ウルフが、マルスへと駆け出し飛び掛かる。


 マルスは、腕を顔の前で交差し、恐怖で目を閉じてしまう。


 しかし、いつまで経ってもマルスに痛みはやって来なかった。


「……あれ?」

「大丈夫か?」

 村に居た兵士がマルスを助けたのだ。


「あ、ありがとうございます。」

「いいってこと、うあーー!?」

 マルスは、助けてくれた兵士のおじさんにお礼を言い、兵士のおじさんが答えようとしていたところを、横から血だらけのウルフが噛み付いた。


「お、おじさーーん!?」

 ウルフに喉元を喰い千切られた兵士のおじさんは、そのままピクリとも動かない。


 マルスは、咄嗟におじさんが手放した鉄の剣を手に取った。


「うわあーー!」

 まだ兵士のおじさんの喉元に噛み付いていたウルフの胴体に剣を振り下ろし、ウルフの胴体を真っ二つにする。


 「よくもおじさんを!」


 マルスは、兵士のおじさんが手傷を負わせてくれていたことや、ウルフが兵士のおじさんを食べるのに気が向いていたお陰で、何とかウルフを倒すことが出来た。


 鉄の剣は、子供のマルスが持つには重たかったが、他に武器を持っていなかったので、マルスは鉄の剣を引き摺りながら家へと戻る。


 マルスが家に辿り着くと、家の玄関は無残に破壊されていた。


「お父さん!? お母さん!?」

 マルスは、勢い良く家の中へと飛び込み、両親を探す。


 そんなマルスの目に飛び込んできたのは、身体を切り裂かれた父サウスの姿と、今まさに四本の腕を持つ熊のモンスターに食べられている母マライカの姿だった。


「うぁーー!」

 マルスは、怒りで身体がざわつき、無意識のうちに飛び掛っていた。


 鉄の剣を振り下ろそうとしていたマルスの身体は、家の壁へと吹き飛ばされる。


「くっ!?」

 四本の腕を持つモンスター、アームグリズリーが腕を軽く振り、マルスを吹き飛ばしたのだ。


「くぅそぉーー。」

 たったの一撃で、マルスは死にかけていた。


 モンスターが、ゆっくりとマルスへ歩み寄る。


 マルスは、今度こそ死を覚悟した。


 幼くして両親を失ってしまったマルス。


 マルスは、両親や村のみんなを守りたいと思い、身体を鍛えて来たのに、何にも出来なかったと悔しさが込み上げてくる。


「グハハハハ。美味ソウナ肉ダ。我ガ主人(あるじ)、ベヒモス様へト献上シヨウ。」


(言葉を話した!? ベヒモスって誰なんだ? そいつの所為で僕の両親やみんなが殺されたのか!?)


 モンスターの腕が僕へと振り下ろされようとしていたその瞬間、モンスターは火達磨となった。


「え?」

 (一体何が起こったんだ?)


「もう少し早く来ていれば。すまないな。」

 声の方を向くと、そこには一人の男性が立っていた。


 その言葉を最後に、マルスは意識を失った。

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