最終決戦
マルスは、支援魔法皆んなで掴む勝利により、神々の力の力を遥かに凌駕したマルスは、魔王ベヒモスへ向かって突き進む。
「雑魚が雑魚から力を得たところで、我の敵では無い!」
魔王ベヒモスが、自身へと迫って来ていたマルスへと拳を繰り出す。
先程までのマルスであれば、対処出来なかった攻撃である。
しかし、マルスは魔王ベヒモスの拳を難無く回避する。
そして、そのままカウンターの一撃をお見舞いする。
「ぐっ!?」
マルスのカウンターが、魔王ベヒモスの腕を斬り裂き、魔王ベヒモスは呻き声を上げる。
魔王ベヒモスの硬い外皮を突破し、マルスの攻撃が魔王ベヒモスへとダメージを与えたのだ。
「確かに、お前は強い。人一人では大した力は無いかもう知れない。でも、仲間がいればその力は何倍にもなるんだ。」
マルスが、鋭い目付きで魔王ベヒモスを射抜く。
「チッ! この程度の傷で調子に乗るな! 【デストロイヤー】!」
魔王ベヒモスは、口を大きく開き、収束した魔力を撃ち出す。
「【結界魔法:守護神】。」
マルスの前に、特大の結界が展開される。
魔王ベヒモスの破壊光線と、マルスの守護神が衝突する。
「ぐはっはっはっは! そんな結界など、一瞬で消し飛ばしてくれるわ!」
魔王ベヒモスは、自身の攻撃に絶対の自信を持っていた。
「さっきまでの結界だと思うなよ!」
マルスの言葉を証明するかの様に、マルスの展開した守護神は、ヒビ一つ入ることなく、破壊光線を防いでいたのである。
「何だと!? 我の攻撃を受けたのだぞ!?」
魔王ベヒモスは、目を大きく見開き、驚愕を露わにする。
マルスは、その隙に転移魔法を発動し、魔王ベヒモスの背後へと移動し、攻撃を繰り出していた。
「【力の剣:建御雷神】!」
「しまっ!?」
魔王ベヒモスは、正面にいたマルスが消えた瞬間に、背後へと振り返り、両腕を交差して、マルスの攻撃に備えたのである。
魔王ベヒモスの両腕に、マルスの建御雷神が振り下ろされ、魔王ベヒモスの両腕を切断する。
「GAーー!?」
魔王ベヒモスは、両腕を頭上に掲げながら、余りの痛みに、大きく叫び声を上げた。
「もらった!」
マルスは、建御雷神で振り下ろした剣を腰だめに構え、鋭い突きを繰り出す。
マルスの繰り出した突きが、魔王ベヒモスの胴体を貫き、魔王ベヒモスの顔が下を向いたまま動かなくなる。
「……死んだか?」
マルスは、剣を突き刺したまま、動かなくなった魔王ベヒモスの様子を窺う。
「ふん! 【破壊の爪】!」
死んだ様に見せかけていた魔王ベヒモスは、両腕を再生させ、両手に備わっている鋭い爪で、マルスの頭部と腹部を狙った。
「チッ!?」
マルスは、魔王ベヒモスの胴体を貫いている剣を引き抜こうとするが、引き抜くことが出来ず、剣を手放してその場を飛び退く。
しかし、剣を引き抜こうとした遅れによって、マルスの頬を薄く引き裂くと共に、腹部を守る鎧を切り裂き、マルスの腹部からは、血が止めどなく流れ出ていた。
「まさか、我の腕を斬り落とすとは。少々貴様を侮り過ぎていたようだ。だが、貴様の大事な武器は、我の手にあるぞ?」
魔王ベヒモスは、マルスの剣を片手に持ち、笑みを浮かべていた。
「【回復魔法:医学の神】。」
マルスは、神級の回復魔法を自信に施し、腹部と頬の出血を止める。
魔王ベヒモスは、マルスの剣を振り回しながら、マルスを攻め立てる。
マルスは、最大の攻撃手段である剣を取られた為、回避に専念するが、徐々に身体の傷が増えて行く。
「武器が無ければこの程度か! 死ね!」
魔王ベヒモスがマルスへと肉薄する。
「【雷魔法:雷神の鉄槌】!」
特大の雷が、天より落下し、魔王ベヒモスの身体を貫く。
「マルスは私が守る!」
既に満身創痍なイリスが、力を振り絞って神級魔法を発動させ、マルスのピンチを救ったのである。
「マルスこれを!」
そして、魔王ベヒモスが一瞬動きを止めている隙に、ヘラが自身の愛剣をマルスへと投擲する。
ヘラの投擲した剣をキャッチしたマルス。
そして、魔王ベヒモスを仕留める最後の攻撃を繰り出す。
「終わりだ! 【力の剣:建御雷神】!」
マルスの剣が、縦に振り下ろされる。
「アァーー!?」
魔王ベヒモスの身体は、マルスの建御雷神によって、一刀両断された。
「今度こそ死んだか。……俺達の勝ちだ!」
マルスは、高々と剣を天へと突き上げ勝利の勝鬨を上げる。
「「「「「おぉーー!!」」」」」
その声に触発された様に、会場中でマルスの勝利を信じていた者達が一斉に勝利の雄叫びを上げたのだった。
こうして、魔王ベヒモスによる王都襲撃は、魔王ベヒモスを討ち取って終息を迎えた。
会場に、白魔道士部隊が駆け付け、負傷者の救護が行われる。
マルスは、イリス、クレイ、フレイヤ、ミネルヴァ、ヘラ、ゼウスの下へと駆け寄っていた。
「……勝ったよ。イリス、ありがとう。イリスの魔法に助けられた。ヘラさん、剣をありがとうございました。」
マルスは、イリスとヘラにお礼を述べ、ヘラへと剣を返す。
「親の仇が取れたわね。マルス。」
「ああ。みんなのお陰だ。」
マルス達は、それぞれ労いの言葉を掛け合い、生きていることを喜びあった。
「あれ? そう言えば、エオスは何処に行ったんだ?」
マルスは周囲を探すが、何処にも姿が見当たらない。
マルスは、あれだけの大怪我をしていれば、自力でこの場から動けたとは思えなった。
「……ここに居ないってことは、怪我は大丈夫だったのね。」
ヘラは、長年探していた息子であるエオスと折角再開出来たのに、また居なくなってしまったことで、残念そうな表情を浮かべるが、エオスが無事だったことに安堵していた。
「生きてるって分かっただけでも満足さ。」
ゼウスも、死んだと思っていたエオスが生きていたことに喜んでいた。
「……あれが俺の両親なのか。」
そんなマルス達のやり取りを、エオスは上空から眺めていた。
「……帰りますよ。エオス。」
エオスを抱き抱えていたルシファーは、最後にマルスの姿を見てから、エオスと共に姿を消したのだった。
遂に魔王ベヒモスを討ち取りました!




