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解決

2019.9.2 2,000PT突破しました!

ブクマや評価をしてくださった方、ありがとうございます!

「や、やれ! 早く奴らを殺すんだ!」

 アストは、雇った者達に指示すると、自らは後ろへと下がってしまう。



「お前ら! 憲兵達の力を見せ付けてやれ!」



「「「「おう!」」」」

 ユースティアの号令で、憲兵達から雄叫びが上がる。




「ユースティア様に良い所をお見せするんだ!」



「抜け駆けするな!」



「俺が一番手柄を上げてやる!」



 駆け出して行く憲兵の男達の声が聞こえたマルスは、苦笑いを浮かべた。



(皆さん、頑張る理由が不純では?)




 キン!



 マルスの側に居た、ユースティアが敵の剣戟を受け止めた。



 ユースティアに攻撃を繰り出したのは、バルドル確保の時に見かけた、キールという男だった。



「またお前か。」



「これも仕事ですからね。」



 ユースティアとキールは、お互いに間合いを取る。



「マルス。私への援護は無用だ。周りの奴らをフォローしてくれ。」



「了解しました!」

 マルスは、ユースティアの言葉に従い、周りへの応援に向かう。



 憲兵達は、活躍してユースティアに良い所を見せようとしているようだが、アストが雇っていた連中も、それなりの強さを有しており、一筋縄にはいかなかった。



 各々苦戦している状況を確認したマルスは、この場にいる憲兵達に意識を集中する。



「【支援魔法|超越する身体《フィジカルバース

 ト》】!」

 マルスは、憲兵達の全能力を強化する。



「こ、これは!」



「身体から力が溢れてくる!?」



「俺の隠された力が、今目覚めたようだ!」



「俺の真の力を見せてやる!」



 憲兵達は、マルスの支援魔法を受けたというのに、勘違いしている連中が多数。



「なんだこいつら!?」



「急に動きが良くなってやがる!」



「それに、パワーもさっきより跳ね上がってる!」


「まさか、さっきまで手加減していたのか!?」



 先程まで押されていた憲兵達が盛り返したことで、雇われた者達は動揺を露わにする。


「私もやるわよ。【氷魔法:氷地獄(コキュートス)】!」

 イリスの最上級魔法により、敵は次々と氷の像へと姿を変えて行く。




「厄介な力だ。」



「私を相手に、周りを見るとは余裕ではないか!」

 キールがマルスの支援魔法の効果を見ていると、ユースティアがキールへと斬りかかる。



 ユースティアとキールの勝負は、互角と言ったところで、お互いの身体にはいくつもの傷跡が付いていた。



「いえいえ。それ程余裕は無いですよ。ここでやられる訳にはいきません。……退散させてもらいます。」



「何?」



「【土魔法:砂嵐(サンドストーム)】。」

 キールは、砂嵐によってユースティアの視界を奪う。



「チッ! 逃げられたか。」

 砂嵐が止んだ後には、キールの姿は無くなっていた。



「大丈夫ですかユースティアさん!?」

 周りの憲兵のフォローをしていたマルスがユースティアへと駆け寄る。



「ああ。だが、取り逃がしてしまった。」



「【回復魔法:大回復(ハイヒール)】。……兎に角、今はアストの確保です。」



「すまない。」

 ユースティアは、取り逃がしたことへの謝罪と回復に対する礼を口にする。



 その頃には、憲兵達が他の者達を倒し終えていた。



「ば、馬鹿な!? あれだけいた連中を倒しただと!?」

 アストは、自分が大金を叩いて雇い入れた男達が、こうもあっさり憲兵にやられてしまうとは想像もしていなかった。



「身柄を拘束させてもらう。」



「く、来るなぁーー!?」

 アストは、地面を這い蹲りながらユースティアから離れて行く。



 こうして、無事にアストを拘束したマルスとユースティアは、アストの屋敷を捜索し、毒物を散布した村や、今後の散布予定地が印された地図やヘルモーズ商会との金銭のやり取り等々、次々と証拠の品を発見したのである。



 しばらくして、ヘルモーズ商会に向かっていたホーライが、捉えたヘルモーズを連行して領主の館に現れた。



 アストが捕まったと知ったヘルモーズは、諦めが付いたのか、今回の悪事について素直に語り出したのだった。



「これで解決だな。」



「そうね。」



 マルスは、捉えたアストやヘルモーズ、雇われた男達を含めて、ユースティア達と共に転移魔法で、王都へと送り届けた。



「いやーー、無事に襲撃事件を解決出来て良かったよ。」

 マルス達は、国王への報告を終えて、王都内を歩いていた。


「本当よね。あのままだったら、どれほど被害が拡大していたことか。」

 イリスは、民を守れたことに、心から安堵していた。


「何か忘れていませんか?」


「確かに何か忘れているような気がする。」

 フレイヤと言葉に、ミネルヴァも同意する。


「なんだっけか?」


「あっ!?」

 クレイの発言で、マルスは大事なことを思い出す。


「クレイの親父さんに、メタルカブトを買い取ってもらうんだった!」


「「「「あっ!?」」」」


 この後、マルスの転移魔法で再びアストライオスへと転移したマルス達は、クレイの父親であるパラースの下へと向かった。





「いやーー、助かりましたよ。皆さんのお陰で、うちの信用を取り戻すことが出来ましたし、こんなに大量のメタルカブトを売っていただけるとは!」

 パラースは、メタルカブトの購入に多額の金をマルス達に支払った。


 しかし、そのお金を遥かに上回る売り上げを想像し、パラースの笑顔はキラキラと輝いていた。


 パラースの喜んでいる姿を目の当たりにしたマルス達は、パラースの存在を忘れていたことを言い出すことは出来なかったのだった。

アストライオスのお話は、ここで終わります!

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