表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/197

マルス生誕

令和になってからの初作品となります( ^ω^ )!

600,000PV突破しました!


皆様から、【支援魔法:ポイント付与】していただけるよう、頑張りたいと思います( ̄^ ̄)ゞ


2019.6.20 感想にて、一人称と三人称の視点が分かりにくいといただき、全ての修正が完了しました!

 山々に囲まれた小さな村、その一軒で新たな生命が生まれた。


「おぎゃーー、おぎゃーー。」

「おおーー!! 遂に生まれたか!?」

「ふぅーー、やっと会えた。私の赤ちゃん。」

 綻びのある古い衣服を身に纏う若い男女の村人が、生まれたばかりの我が子を愛おしそうに見つめる。


「立派な男の子だ!」

「そうね。男の子だからマルスね。」

 赤ちゃんの両親は、男の子の時と女の子の時の2パターンの名前を考えていた。


 生まれたのが男の子だったので、子供の名前はマルスと決まった。


 この物語の主人公、マルスが誕生した瞬間である。


【ステータス】

 名前:マルス、年齢:0才、職業:白魔道士、レベル:1、HP19、MP14、攻撃力9、防御力9、速力14、魔力18、命中力9、運力7


  ▽


「ほらほら、こっちだぞーー。」

「頑張ってマルスちゃん!」

 父親と母親は、両手を広げてマルスへ呼び掛ける。


 マルスは、四つん這いでハイハイしながら母親の下へと辿り着く。


「マルスちゃん、良い子ねぇーー!」

「く!? な、何故俺の所へ来ないんだ!?」

 母親のマライカは顔をニヤけさせ、父親のサウスは両膝を床に落とし、拳で床を打ち付ける。


 余程、自分の所に来てくれなかったのが悔しかったのだろう。


(パパが元気なさそう、次はパパの方に行こう)

 子供ながらにマルスは、両親の表情から感情を理解し、そのようなことを考えていた。


  ▽


「「おっ、おっ、おっ、おっ、おーー!」」

 両親の目の前では、生後10ヶ月になったマルスが足をプルプルさせながら、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。


 今のマルスは、銀髪に赤ちゃんらしさのある少し丸みのある顔立ちをしている。


「頑張れマルス! お父さんが応援してるぞ! 【支援魔法:力強化(パワーアップ)】!」

 そう言う、サウスの手から放たれた光がマルスの身体を包み込む。


「立った! マルスが立ったぞ!」

「ちょっとあなた!? 今、支援魔法使ったでしょ! 全くもーー。頑張ったわねマルスちゃん!」


 サウスが放ったのは、支援魔法の力強化(パワーアップ)だ。


 サウスの支援魔法が有ったとは言え、息子の立ち上がる姿を目にした、両親は興奮気味に大喜びする。


「おぉーー。」

 マルスがハイタッチを求めると、両親もそれに応じてハイタッチで返す。


「今日はご馳走にしよう!」

「そうねあなた!」

 両親の愛情たっぷりに、マルスは日々成長して行く。


  ▽


 更に、2年と少しの月日が流れ、マルスは3歳となった。


「行ってくーーね。」

「あんまり遠くへ行っちゃダメよ。」

「あーーい。」

 舌足らずなマルスは、扉を開けて外へと駆け出す。


「マーくんおはよう!」

「おはようクーちゃん! 駆けっこしよう!」


 マルスと同い年の友達クーは、村の中を駆け回る。


 その様子を村の人達は、微笑ましく見守っていた。


「あっちに行ってみようよ!」

 マルスとクーの二人は、村の外れまで来ていた。


 ここまで来ると、人は滅多に来ることはない。


 人が来ることがない場所なのに、剣や斧を手に持つ、如何にも悪そうな人相の男達が数名、輪になっていた。


 マルスとクーは、子供ながらに危険を感じ取り、その男達の様子を物陰から眺めていた。


「マーくん。あの人達怖いね。」

「クーちゃん。しー!」

 マルスは、男達の会話を聞き取ろうと、耳を澄ませた。


『手筈通りに、この村の四方に火を放ち、退路を絶ってから略奪と行こうや!』

 男達のリーダーと思わしき男が、部下達に指示を出す。


(大変だ! 村のみんなに知らせないと!)

 マルスは、クーと手を繋ぐと直ぐに村の方へと駆け出した。


  ▽


「な、なんだって!?」

 マルスが最初に見つけた村人に、先程見た光景と、話していた内容を伝えたのだ。


「で、でも、本当なのかい?」

「本当だよぉ!! 早く何とかしないと!」


 村人は子供の話なので、嘘かも知れないと思い、行動を起こせずにいた。


(なんで信じてくれないの? ど、どうしたらいいの?)


 マルスが必死に訴え続けるが、時間だけが経過して行く。


 マルスがもうダメかも知れないと諦めかけた時である。


「その話は本当か坊主?」

 鎧姿に剣を携えた十数名の男達がマルスへと近付き、声を掛けた。


 たまたま通りかかった際に、マルスの口から不穏な言葉が聞こえた為、真偽を確かめに来たのである。


「うん。本当なんだよ! このままじゃ村が!」


 男達は、マルスの顔や目から、本当のことを言っていると判断した。


「分かった。後は俺らに任せとけ。」

「あんたら、冒険者か? こ、こんな子供の言うことですよ?」

「この子が嘘を言っているようには見えません。違ったら違ったでいいじゃないですか。」

 村人は、子供の戯言ではと言うが、鎧姿の男はそれでも構わないと答える。


「俺は、オケアノス王国で冒険者をしているセトだ。良く知らせてくれたね。後は、俺達に任せてくれ。」

「うん。」

 セトと名乗ったのは、20歳くらいの美青年で、青髪に中肉中背の男性だ。


「冒険者のセト!? ブルーバードってパーティーで活躍してる有名人じゃないか!?」

 村人は、セトの名前に聞き覚えがあったようだ。


「各員、四方に配置。敵を見つけ次第排除しろ!」

「「了解!!」」

 セトの指示で、鎧姿の男達が村の四方へと駆け出した。


 その後、セトに男達を見つけた場所を案内するように頼まれたマルスは、セトを連れて行く。


「この先だよ。」

 マルスは、小声でセトに角の先を指差す。


 セトが家の角からマルスの指差す先を覗くと、先程男達に指示を出していたリーダーが残っていた。


(奴は、指名手配されていた盗賊ギルだな。)


 セトは、盗賊ギルの前に姿を晒す。


「なっ!? 何故こんなところに人が来やがる!?」

「俺はブルーバード、魔法剣士セトだ。貴様、盗賊のギルだな。大人しく捕まるか? それとも……。」


 喋っているセトへと、盗賊ギルが斧を片手に迫る。


「死ねや!」

 盗賊ギルの振り下ろす斧が、セトへと振り下ろされる。


「あ、危ない!?」

 マルスは、セトに危険が迫っていると物陰から飛び出したのだが。


「【風魔法:風刃(ウイングカッター)】!」

 セトは、バックステップで距離を取ると、盗賊ギルへと手を翳し、掌からいくつもの風の刃を放ち、盗賊ギルの身体を切り刻む。


「があぁあ!?」

 身体を切り刻まれた盗賊ギルは、辛うじて生きているが、そのまま気を失って地面に倒れた。


「か、カッコイイ!!」

 マルスは、セトのその姿に憧れを抱いたのだった。


 四方に散っていた盗賊の一味も、ブルーバードのメンバー達の活躍により直ぐに捕縛された。


「君が知らせてくれたお陰だね。えっと。」

「マルスです。」

「マルス君か。君は村のヒーローだね。」

「セト兄ちゃんみたいに、強くて格好良くなれますか?」

「ん? 俺みたいに? ……そうだなぁ。」

 セトは、子供であるマルスに何て答えを返そうか真剣に悩む。


「毎日素振り1000本だな。」

「いやいや、毎日10キロの走り込みだろ?」

「筋肉が全てだ。腕立て、腹筋、背筋、スクワットだ!」

「魔法だろ?」

「ガキには早いって。そもそも職業も分かんねぇだろ。」

「違えねぇ。」

「モンスターを倒して、レベル上げんのが一番だろ?」

「だから、ガキには早えって!」

 セトの後ろに控えていた、他のメンバーが好き勝手に発言する。


 この世界では、モンスターを倒すと経験値が得られ、それによりレベルが上昇するのだ。


 レベルが上昇すると各ステータスが上昇する。


 勿論、ステータスの上昇値に個人差があるが、レアな職業程、伸び率が高いのが世の中の常識となっている。


 トレーニングでもステータス値は上昇するが、レベルが上がった際の数値と比べると微々たるもの。


 しかし、トレーニングを怠ると、ステータスは少しずつ減少してしまうのだ。


「マルスは、何で盗賊が何かしようとしていると大人に話そうと思ったんだい?」

「え? 村のみんなを守りたくて。」

「それだよ。その心があれば十分、強くて格好よくなれるさ。」

 そう言って、セト達は村を後にしたのだった。

2019.5.14

誤字があるとの報告で、訂正していますが、見落としがあると思います(>人<;)

誤字報告して下さると、非常に助かります_| ̄|○



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ