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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
2.迷宮都市(初級ダンジョン編)
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47.ちょっと休憩

 短めです。


 初級ダンジョンを出た俺はその足で乗合馬車があるところに向かう。

 目的は1度ファーストに戻るためだ。

 理由は最近まともに読書できていなかったのでガッツリ本を読みたいのだ。


 クローレンの話の内容から推測するに、俺が図書館で読んだ小説以外にこの辺りに無い本がまだまだ沢山ありそうだ。しかし、先に行くためにはそれなりに戦えるようになってないと厳しいだろう。

 その為にずっと初級ダンジョンに挑んでいたわけだ。

 本当は10階層に着いてから戻るつもりだったが、イベントの話からすると強くない方が都合が良さそうなので先に戻ることにした。

 弱い方が都合がいいという免罪符を手に入れたので欲望に忠実になろう。

 

 俺が乗合馬車の発停所に着くとちょうど出発するための準備をしているところだった。

 馬の世話をしている人に声をかける。


「すいません。ファースト行きの乗合馬車で合っていますか? 合っているなら乗せてもらってもいいですか?」

「ああ、ファースト行きの乗合馬車で合っているよ。料金は1回1000ラーンだ」


 ファーストにいたときなら高いと思っただろうが迷宮都市での稼ぎを考えるとそこまでではない。


「わかりました。ありがとうございます」


 俺は料金を払い馬車に乗る。エラゼムは見た目大柄だがダンジョン都市で運用されている馬車である為、車内のスペースは広くある程度の重量に耐えられるようになっているようだ。

 馬車にもちゃんと乗れている。というか従魔OKで助かった。


「それでは出発します。動き出しは揺れますので立ち上がらないようにしてください」


 しばらくして馬車が動き出した。出口の門を抜け外に出る。

 なかなかのスピードで馬車は進んでいく。ちなみにこの馬だが厳密にはランニングホースと呼ばれるモンスターの一種だ。外を走るのに護衛をつけなくていいのはファーストとラビンスの間にいるモンスターはこのランニングホースが引く馬車に追いつけないからだ。

 舗装されてない道をゴトゴト揺れながら馬車は進んでいく。

 

「ファーストに到着しましたよ。またのご利用をお待ちしております」


 馬車が停車し声がかかったので下車する。

 現実世界では1週間くらいだがゲーム内だと半月以上離れていたことになる。

 そうでもないはずだが久しぶりな気がしてしまう。

 そろそろ時間になってきたので一度ログアウトする。



「あーーーーー。ネズミさんだーーーー」

「トリさんもいるーーー」

「なんかでっかいのもふえてるーーー」

「カッケーーーー!」

「お久しぶりです。ウイングさん」


 再びログインした俺は孤児院に来ていた。

 理由は図書館に行っている間、子供たちの相手をするという名目で預けるためだ。

 ちゃんとモーフラさんの所に行ってクエストを受けた。その時に従魔だけ置いていくのもありか聞いてみたところ。


「大丈夫なはずですよ~。要するにリエリアが仕事している時の子供たちの面倒を見てくれればいいので~。リエリアがいいというなら~問題ないですよ~」


「と、モーフラさんに言われてきたのですが、大丈夫ですか?」

「はい。子供たちもまた遊べるのを楽しみにいていたのでありがたいです」


 本当は無料でやってもいいのだが、それをしてしまうとしっかりクエストを受けてきた人が困ると思ったのでこのような形にした。


「わかりました。……ハーメル、ヌエは子供たちが遠くに行かないように相手をしてくれ。エラゼムも子供たちと遊んでやってくれ」

「チュウーーーーーー」

「クーーーーーーーー」

「……」


 ハーメルたちを孤児院に置いてきた俺は早速図書館に向かう。

 今のハーメルなら子供たちから必死にならなくても逃げられるだろう。

 さて今度は伝記辺りから攻めてみるかな?

 俺は図書館の奥へ進んでいくのだった。


≪熟練度が一定に達したため、スキル「読書」スキルがレベルアップしました。≫

≪司書のレベルが上がりました。≫


 久しぶりに司書と読書のレベルアップが来た。どうやら読書の方に新しいアーツが増えたようだ。


アーツ 

LV4 転写  消費MP100 ・・・ 本・書物の内容を画像として保管できる。保存できる枚数は知力の数値÷10。端数は切り捨て。


 実はこのゲーム、スクリーンショットを撮ることはできるのだが、著作権の影響かいくつかのものはスクリーンショットを撮った段階でモザイクが入るようになっている。本などはその最たるものだ。

 その為、普通は自分の記憶を頼りにするか、わざわざ紙を手に入れてメモする必要がある。

 当然そのメモを撮ってもモザイクは入る。

 しかし、このスキルを使えばお手軽に記録しておけるという事だ。以前のシークレットクエストの前にあればだいぶ楽だったな。

 俺は苦笑しながら読書に戻る。


 そろそろログイン時間が厳しくなってきたのでハーメルたちを迎えに行くために図書館を出る。

 もしかしたら1回のログイン丸々読書に費やしたのは初めてかもしれない。

 それだけ読書に飢えていたという事だろう。

 しばらくはファーストの図書館で読書するので1回のログイン全ての時間を読書に費やすこともできるだろう。

 だが、さすがにずっとハーメルたちを放置するのは気が引ける。

 そんなことを思いながら孤児院に向かう。


「またねーーーー」

「かたぐるま、たのしかったーーーー」

「ねずみさんつかまえられなかった」


 子供たちの元気な声に手を振りながら孤児院を離れログアウトするのだった。




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