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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
5/265

5.チュ-トリアル終了と妹との合流

旧9.10です。

「本を読み始めたかと思ったら急にぺらぺらしだしたから読み飛ばしているのかなと思ったけど、熟練度の上昇の仕方が読み飛ばした量じゃないし、ちゃんと読破した扱いになってるし、アーツの発現に称号取得って何やってるんですか!チュートリアル中の出来事だから私が全部、説明することになるじゃないですか」


 ナビさんが感情を爆発させてまくしたてる。

 ちょくちょく見え隠れしていたが本当にNPCなのかと疑いたくなるような感情表現だ。

 そんな考えが顔に出ていたのか、


「私、チュートリアル用NPCなのに感情AIを積まれた影響で仕事が増えたり、プレイヤーの方からのセクハラ発言やクレームでストレスを感じてしまい、疲れているんです。

そんな時にスキルの説明とか簡単に終わりそうなプレイヤーにあたってラッキーと思ってたらこれですよ。叫びたくもなりますよ」


 詳しく話を聞いてみるとナビさんは他のNPCと違い同時に複数のプレイヤーと対応できるようになっており、数えきれないプレイヤーを同時に対応していた。

 そうするとやはり暴言を吐いたり、危害を加えようとするプレイヤーも出てくるため感情AIを積んでいるナビさんはとても疲弊していた。

 そのため、特に対応することなく放置できるスキルの練習を選んだ俺は気にしなくてもいいなと思っていた所にこれである。

 それで思わず叫んでしまったというわけだ。


「あなたは特に危害を加えるようなことはしてないし、しっかりチュートリアルを聞いてくれていたし友好的な態度で接していただいていたので筋違いなのはわかっているのですが」


 と、しばらくナビさんの愚痴を聞いていたのだが、春花との約束があるので話を進めて貰う。


「すいません。知り合いとの約束があるのでそろそろ」

「はっ。し、失礼しました。それでは先ほどのインフォメーションの説明後、ギルド登録をすませたら、チュートリアルの終了になります」


 要約すると、アーツを覚えた理由はプレイヤーの中には本来、強化になるはずのスキルがかえって弱体化や無意味になるぐらいリアルスキルが優れている場合がある。

-

 その対策として、そのスキルに対してレベルアップやクエスト等で覚える以外に一定の行動でアーツが追加されるようにしていた。


 何故、公開していないかというと、この方法で覚えるアーツは取得条件が厳しい上に使うタイミングが限定的なものが多い為、普通の人が取得するためにはかなりの奇行をする必要がある。その為、この情報が最初に公開されているとスタートと同時に奇行に走るプレイヤーが続出するだろうと予測されたかららしい。

 称号についても同様である。


「それに隠し要素があったほうが面白いでしょう?」


 ナビさんはそんなことを言いながらウインクして見せる。


「最後に総合ギルドへの登録を行います。総合ギルドの登録をチュートリアル後にすると総合ギルドの出入り口で行列ができることが予想できるのでここで済ませてしまいます」

 すると、ナビさんの手の中に1枚のカードが現れる。


「登録といってもこのカードを渡すだけですけどね」


 カードを受け取るとともにインフォメーションがながれる。


 ≪ギルドカードがメニューに登録されました≫


 そうしてメニューを開くと一覧にギルドカードの文字が増えていた。



 ギルドカード


 総合ギルド   F

 所持金   0ラーン



「ギルドカードには登録しているギルドの現在のランクが表示されます。

ランクはFからAランクまであり、自分のランク以下のクエストを受注できます。

ですが、あまりにもランクがかけ離れたクエストに関しては貢献ポイントが増えなくなります。

基本的に総合ギルド以外のギルドへ登録したい場合は登録条件を確認して、その条件を満たして受付にいけば登録できるはずです。

これにてチュートリアルを終了となります。見苦しいところもお見せしましたが、ご清聴ありがとうございました」


 ナビさんがそういうといきなり視界が切り替わり、大きな建物の前に立っていた。


≪これにてチュートリアルを終了します。総合ギルド前に転送いたしました。

この先はあなたの思うままに行動して下さい。これからもabundant feasibility onlineをよろしくお願いします。


 最後にチュートリアル専用NPCの好感度を一定まで上げたので称号「ナビさんのお気に入り」を手に入れました≫


 そんなアナウンスとともに俺のチュートリアルは終了した。


……………………


「お兄ちゃーーーーーん!」


 総合ギルド前で立っていると後ろから声がかかる。

 振り返ると微妙に見覚えのある顔と違う顔があった。

 黒髪黒目で長いツインテールだったはずが青の髪に緑色の瞳、短めのポニーテールになっている。何よりでかくてふさふさのしっぽと耳がついている。

 しかし、俺と一つしか違わないとは思えないほどちんまいのは変わっていないようだ。


「時間かかりすぎだよ。なんのスキルを練習してたの?

……それと失礼なこと考えてるでしょ」


 どうやら、ナビさんの愚痴を聞いていたことでせっかく速読して時間短縮したのに意味がなかったようだ。

……それと勘は鋭いようで。

 ちなみに、俺の容姿は黒髪黒目で180以上の身長だったのを 

髪色は銀髪に、瞳の色はグレーにして、身長はいじっていない。


「まぁいいや。とりあえずフレンド登録しよう」


 そういって妹がメニューを操作していると不意にこちらのウインドウが開く。


≪プレイヤー「ハル」からフレンド申請がありました。承認しますか?

YES/NO≫


 もちろんYESを押した。


「現実世界でも聞いたけど、本当にゲームを遊べるステータス構成なんだよね?

一度確認させてよ。私のも見せるからさ」 


 そうして妹は俺にステータスを見せた。


NAME「ハル」

種族「獣人(妖狐)」 種族特性「妖気」「非力」

HP 75

MP 150(+20)

筋力 10

耐久力 5(+3)

俊敏力 15(+2)

知力 15(+2)

魔法力 15(+2)

戦闘職「妖術使い」LV1

生産職・特殊職「裁縫師」LV1

 スキル

「妖術LV1」「式神LV1」「火魔法LV1」「MP上昇LV1」「裁縫LV1」


装備品

初心者妖術使いの巻物

初心者妖術使いの着物

初心者の靴

裁縫道具(初)


総重量 4


称号

「ナビさんのお気に入り」


 獣人はベースになった動物によって初期ステータス、特性が違う、基本的に近接職寄りのステータスになるものが多い中で例外的に狐系の獣人は魔法職寄りのステータスになる。

 初期ステータスが高い為、当然デメリット特性が付く。

種族特性は「妖気」「非力」で効果は以下の通りである。


「妖気」 妖術・陰陽師系スキルに補正。


「非力」 職業レベル上昇時、ポイントを筋力に入れられない。


「妖気」はともかく「非力」のデメリットはなかなかである。

絶対に近接職には向かない。

 おそらくそのための「裁縫師」なのだろう。

 筋力依存で装備上限が決まるルール上、筋力固定ともいえるこの特性は後半に行くにつれて厳しくなる。そのために比較的制作物が軽いと思われる裁縫を鍛えるつもりなのだろう。

 現実でも裁縫が得意だからピッタリである。

 スキル構成も種族特性に合わせての取得だろう。


「えへへ、もう称号もらっちゃったんだよね。なんかチュートリアルのNPCと意気投合しちゃってチュートリアル終わったと同時にもらったんだ。それじゃあ次、お兄ちゃんの番だよ」


 そう促された俺は春花にステータスを見せる。


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― 新着の感想 ―
[一言] 文章が分かりやすかったです。 ステータスから、操作の説明、シリアスなのに、妹の行動で笑わせてくれる。すごくいい作品だと思います。
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