4.チュートリアルは続く……そして
旧7・8です。
「装備するにはアイテムボックスから装備アイテムを選択して装備を選ぶか、取り出して普通に着替えるかのどちらかです。基本装備欄のようなものは無く装備に制限はありませんが、アイテムにはそれぞれ重量が設定されているので装備品の合計重量が自らの筋力以上になると移動速度低下などのペナルティが発生します。ほかにも種族的に装備するとペナルティが発生するものや持つことさえできないものもあるのでご注意ください」
事前準備の段階でその辺は確認している。
例えば種族を火人などにすると火炎系スキルには多大な補正が入るが、装備の素材によっては装備した時点で燃えて劣化するし何より本がロストするのは看過できない。
とりあえず、アイテムボックスに入っているものを確認する。
初級HPポーション ×5
初級MPポーション ×5
初心者テイマーの鞭
初心者司書のコート
初心者の靴
司書の目録(初)
まさに始めたばかりという感じの中身だが装備アイテムの性能はこんな感じ
初心者テイマーの鞭
耐久値 ∞
ダメージ量 5
重量 1
初心者司書のコート
耐久値 ∞
耐久力 +5
重量 1
初心者の靴
耐久値 ∞
俊敏力 +2
耐久力 +2
重量 1
司書の目録(初)
耐久値 ∞
重量 1
初心者装備らしく耐久値は無く整備の必要はないが、本来は耐久値が設定されていて使用していると耐久値が減り、その装備に対応したスキルで修理する必要がある。
司書の目録は文字通りでゲーム内で読んだ本のタイトルと在処を記録する。
どんな意味があるかは今のところ不明である。
そして装備してみたステータスがこちら
NAME「ウイング」
種族「人族」 種族特性「器用貧乏」
HP 100
MP 100
筋力 10
耐久力 10(+7)
俊敏力 10(+2)
知力 10
魔法力 10
戦闘職「テイマー」
生産職・特殊職「司書」
スキル
「調教術LV1」「隠密LV1」「闇魔法LV1」「言語LV1」「読書LV1」
装備品
初心者テイマーの鞭
初心者司書のコート
初心者の靴
司書の目録(初)
総重量 4
いつのまにかスキルのレベルも表示されていた。
もちろんすべて1である。
「装備できたようですので、スキル・アーツの説明に入ります」
さていよいよゲームっぽいことをやることになりそうだ。
「スキルにはパッシブスキルとアクティブスキルがあります。
パッシブスキルはスキルを所持しているだけで効果を発揮してくれます。例えば、「剛力」スキルはスキルのレベルに応じて筋力に補正が入ります。
他にも「発見」スキルは確率で隠れた採取ポイントやモンスターとの戦闘で相手の弱点等を示してくれたりします。
アクティブスキルにはアーツが存在しレベルアップに応じて使用できるアーツが増えていきます。例外として、特定のクエストやイベントなどでしか覚えられないアーツも存在します。
例えば、「剣術」スキルのレベル1では剣による斬撃「スラッシュ」のアーツが使えます。
アーツは声に出すか、念じれば発動します。
アーツの効果は千差万別なので使いながら覚えていきましょう。
派生スキル・アーツはスキル・アーツの特定の組み合わせで取得できるスキルで、ここでは説明を省きますが特定のスキル・アーツを所持していても不使用スキルなどに設定して1度も使用していなかったりすると発現しません。
スキルによってはどっちにも属するスキルも存在するので括りとしては曖昧です。
チュートリアルでは5つのスキルの内1つを練習することができます。どれにしますか?」
「読書で!」
「ど、読書でよろしいのでしょうか? 戦闘系などはいかがでしょうか?」
いままで淡々と説明していたナビさんがここで初めて動揺する。
「読書で(断言)」
俺としてはそれが使えないのは死活問題なので真っ先に確認しておきたい。
「そ、そうですか。読書を選択された場合どのような本を練習に使用するかある程度選べます。どのような本をご所望でしょうか?」
さて、そういわれると困る。特に何がいいとか決めていなかった。とりあえず、自分のもうひとつの職種であるテイマーに関する本にするか。
「モンスターの懐柔の仕方についての本はありますか?」
「調教術・テイマーに関する本はギルド登録する前ではお貸しできません。その代わり「ファースト付近の魔物の生態」という本なら可能です」
「じゃあ、それで」
「それでは「読書」スキルについて説明させていただきます。「読書」スキルはパッシブ・アクティブ両方に属しています。現在はアーツがないのでパッシブの効果について説明させていただきます。このゲームではスキルの習得及びレベルアップには決まった行動や使用回数に応じて熟練度が溜まり、一定値に達すると習得・レベルアップします。「読書」持ちのプレイヤーは本を読むことでも熟練度を上げることができるようになります。例えば、剣術の本を読めば、読んだ文字数に応じて剣術と読書スキルの熟練度が上がります。「読書」スキルを持っていなくても本を読むことができますし読書習得のための熟練度は上がりますが、剣術の熟練度は上がりません。それでは一度、本を読破してみてください」
本を受け取り読み始めるが、なかなかの分厚さなので普通に読んでいては時間がかかりすぎる。それではおそらくチュートリアルを終えて待っている春花に申し訳ない。
普段あまりしないが、ここはあれをやるとしよう。
そう思った俺はペラペラとページを飛ばし始める。
そして、1分少々で本を閉じる。
「読み終わったぞ」
「えっ!」
ナビさんの驚愕の声とともにインフォメーションが流れる。
≪読書スキルの熟練度が上がりました。≫
≪職業テイマー・司書にそれぞれ経験値が入ります。≫
≪一定数の文字量がある書物を5分以内に読み終わりました。読書スキルにアーツ「速読」が追加されます。≫
≪チュートリアル中にスキル・アーツを習得することに成功しました。称号「才能を示す者」
を取得しました。≫
「えーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ナビさんの絶叫が木霊した。