表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
32/266

28.店主再び

 

 再びログインした俺はいきなり空腹感に見舞われた。

 ……そういえば店主のスープを飲んで以来、ゲーム内では何も食っていない気がする。

 な、何か食べなければ餓死してしまう。

 最初の死亡理由が餓死とか嫌すぎる。


 俺は記憶を頼りに以前クエストを受けたお店を探す。

 何とかたどり着いたと思ったらすごい混んでいた。

 そう言えばゲーム内で言えば夕飯時か。

 俺は満腹度をチェックする。

 

 満腹度  20/100


 かなりやばそうだ。しかし移動するよりここで待っていた方が確実か、いやもう少し先へ行ってみるか。

 俺が悩んでいると。


「なんじゃ、いつかのテイマーじゃないか。また顔色が悪いのう」


 店主が手を動かしたまま声をかけてくる。

 また心配させてしまった。


「ここで夕飯をいただこうと思っていたんですが、混んでいるようなので別の店に行こうか悩み中です」

「そんな顔色で次の店まで持つのか?ちょっと待っていなさい」


 そう言って奥に引っ込む。


「これでも食ってろ」


  パン  何の変哲もないパン。品質は普通。


満腹度  20回復


 また助けられてしまった。

 俺は感謝していただく。

 何の変哲もないパンという説明に違わない本当に普通のパンだ。

 しかし空腹感のおかげですごくおいしく感じる。

 ……何か恩返しをしないと俺の気が済みそうにないな。

 俺は店主に声をかける。


「すいません。前回のお礼も含めて何かお手伝いできることはありませんか?」

「前回はクエストじゃったろう。それに今回のお礼も不要じゃ」


 そこまで言って店主は少し思案顔になった。


「あんたは料理はできるのか?」


 そんなことを聞いてくる。


「はい、スキルとしては持っていませんが、それなりにやってきました」

「そうか。お主はプレイヤーであったな。よし、なら下ごしらえでも手伝ってもらおうかな。」

「わかりました。道具は自前のものがあるので大丈夫です」

「そうか。なら早速この野菜から千切りにしてもらおうかな」


 そこから地獄の千切り祭りが始まるのだった。


 ……………………。


 ≪習得度が一定に達したため、スキル「料理」を習得しました。≫


 はは、気分的にはもう腕が上がらない。

 こんなに千切りばかりすることになろうとは思わなかった。

 確かにそういうのを自動的にやってくれる道具は無いのだろうが、全部手作業でやるのはしんどいな。

 おかげで料理がスキルとして発現したがまったくありがたみがない。


「おう、お主が助けてくれたおかげでいつもよりだいぶ助かったぞ」

 

 店主は相変わらず定まらない言葉遣いでそんなことを言ってくる。

 いつも1人でこれだけの仕事量をこなしているのなら、戦闘職顔負けの体力持ちだろう。


「ほれ、この前と同じになっちまうがこれでも食ってろ」


 店主は前回と同じ賄いスープを出してくれる。

さっきのパンで補給した満腹度を千切り地獄によって失ったので、ありがたくいただくことにする。


「筋がいいからたまに手伝いにでも来てくれよ。また来るとよいのじゃ」


 ……本当にその言葉遣いのふらつきが無ければ完璧なんだがな。

 お店を出た俺はいつものごとく図書館を利用する。


 ……………………。


≪司書のレベルが上がりました。≫


 図書館で本を読み始めてから司書のレベルが上がりやすくなった気がする。

 資料室の本はあくまで資料扱いという事だろうか?

 それならもう少し読書スキルにも恩恵があってもいいと思うのだが。

 そう言えば最近ステータスを確認した覚えがないな。料理スキルを確認するついでに見てみるか。


NAME「ウイング」

種族「人族」 種族特性「器用貧乏」

 HP 100

 MP 250

筋力 10

耐久力 10(+7)

俊敏力 15(+2)

知力 45      15UP

魔法力 10


 SP  15P


戦闘職「テイマー」LV2

生産職・特殊職「司書」LV7  3UP

 スキル

「調教術LV1」「隠密LV1」「闇魔法LV1」「言語LV1」「読書LV2」 「魔物知識LV1」「種族知識LV1」「掃除LV1」「医療知識LV1」「気候知識LV1」NEW「料理LV1」

装備品

初心者テイマーの鞭

初心者司書のコート

初心者の靴

司書の目録(中) NEW


総重量 4


称号

 「才能を示す者」「ナビさんのお気に入り」「用意周到」


かなりSPをため込んでいたので必要そうなところに振り分ける。


 HP 150  50UP

 MP 300  50UP

 俊敏力 20  5UP


 さて次にスキルの確認だ。


「料理」LV1  アクティブ・パッシブスキル

・作った料理にバフ・デバフが付くことがある。   

・作ったアイテムの満腹度回復の数値を上方補正。効果はスキルレベル依存

アーツ 

LV1  皿洗い  消費MP5 ・・・指定した食器を新品のようにピカピカにする。リキャスト無し。


 どうやら料理スキルがなくても料理自体はできる様だ。

 だが料理スキルの恩恵はかなりのものだ。

 料理をするなら必須のスキルと言えるな。


 ステータスの方は今回のポイント割り振りで少し戦闘に役立つところに振ったが、まだまだ低い。

 司書ばかりレベルアップしているから知力特化になってきているな。

 そろそろ戦闘した方がいいだろうか。

 ハーメルたちも一度も戦闘していないから全然強くなっていかないし、一応戦闘系のクエストも受けられるようにはなっている。


 ……いや、委員長との約束を考えれば別に焦ってレベルアップする必要はないか。

 委員長と一緒にレベルアップしていってもいいわけだし、司書のレベルアップのおかげで初期ステータスより若干高いしな。

 俺はそう思い直し読書に戻る。

 しばらくして時間になったので退館し、ログアウトするのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 馬鹿なのかアホなのかわからん輩や(笑)
2020/02/18 21:52 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ