27.図書館の謎
≪テイマークエスト 孤児院の子守 をクリアしました。報酬 200ラーンをお受け取りください。≫
≪貢献ポイントが総合に2ポイント、テイマーに1ポイント溜まりました。≫
「いや~助かりました。受けてくれる人がいなかったので~、リエリアちゃんも大変だったと思うんです~。今後ともよろしくお願いします~」
「はい、ハーメルたちが疲れない頻度で受けていきたいと思います」
俺はテイマーギルドで孤児院クエストのクリア報告に来ていた。
テイマーギルドは他のギルドより暇なのだろうか? いつも支部長たるモーフラさんがカウンターで対応してくれる。総合ギルドでは職員でさえいつも忙しそうに歩き回っている。
顔に出ていたのかモーフラさんは少し怒ったように話し出す。
「あ~、今暇なのかなとか思いましたね~。そんなことないんですよ~。ただ~他のギルドと忙しい時間が違うだけで~」
そう言いつつ流している冷や汗については見なかったことにしておこう。
テイマーギルドを後にした俺は図書館に向かう。
前のように一時預かり所に従魔たちを預けてカウンターで受付の人と話す。
「昨日初めて利用したのですが、気になったことがあったので質問してもいいですか?」
「はい。なんでしょうか?」
俺は気になったことを聞いてみることにした。
「いくつかあるのですが1つ目は小説・物語エリアの本の最後のページにシミのような模様があると思うのですがあれはなんでしょうか?」
「あれですか。実は私どもにもわからないのですよ。どうやらここに所蔵された当初からあのような模様があったようでして。何を意味しているかこちらでも把握していないのですよ。」
うん?言語スキルがあればなにかしらの情報は出てきてもいいはずだ。
俺がそう聞いてみると。
「はは。何を言っているんですか。言語スキルなんてあるわけないじゃないですか。創造神インフ様が会話に不便だろうとこの世界に共通語を授けてくださったのに」
確かに設定では人に分類されるもの全てが共通語を使っているという事になっている。
つまり言語スキルはプレイヤーだけが持っているスキルという事だろうか。
……あの模様はプレイヤーに向けた運営からのメッセージという事か?
「そうですか。それならもう1つ質問があります。図書館の退館するときの方法はなんで魔法結界を使っているんですか?それなら入館でも同じ方法をとってもいいですよね?」
「そのことですか。それもわからないんですよね。ここだけの話、この図書館は創造神インフからの神託によって建てられたともいわれておりまして。それに対外的には悪い行動をとったときに検知すると言っていますが厳密に言えば違います。カウンターで受付している者に対してカウンターの前に立った者が本に対して何をしたかがわかるという結界なのですよ」
昨日は本が読めることに浮かれて気にしなかったが後からおかしいと思ったのだが・・・。
つまり結界に行動を監視されているという事か。
創造神が建てさせたという話と合わせるとここに何らかのメッセージが眠っているのは確定だな。
そして、あの模様が起点になっている可能性が高い。
ここの蔵書がいくらあるかわからないが1日でどうこうなることではないだろう。
俺は俺のペースで読み進めていくだけだな。
そう考えた俺はまた小説エリアに向かうのだった。
……………………。
読書に没頭していた俺にアナウンスが流れる。
≪司書のレベルが上がりました。≫
≪司書の目録(初)が記録限界に達しました。司書ギルドに提出してください。≫
そのアナウンスを聞いた俺は図書館を退館すると司書ギルドに向かう。
たまたまカーナさんがギルドに入っていくのが見えたので声をかける。
「カーナさん、今少しいいですか?」
「はい。なんでしょうか?」
カーナさんに司書の目録が一杯になったことを伝える。
「も、もうですか。わかりました。ランクアップ手続きをします。司書の目録とギルドカードを提出してください」
俺は言われたとおりに目録とギルドカードを差し出す。
それを確認したカーナさんが一つ頷き。
「問題ないようですね。では。イニシリー王国、「始まりの町」ファースト。司書ギルド副支部長カーナがプレイヤー、ウイングのEランク昇格を認めます」
≪ 司書ギルドのランクがEランクに昇格しました。ギルドカードをご確認ください。≫
ギルドカード
総合ギルド E 7P
テイマーギルド F 1P
司書ギルド E
所持金 5350ラーン
これであと一つ上がれば夜通し本を読めるようになるな。
俺がそんなことを考えていると。
「それと司書の目録を更新します」
≪司書の目録(初)が司書の目録(中)に更新されました。≫
「司書ギルドのランクアップは他のギルドと基準が異なります。司書の目録がランクアップの時の目安になるものです。違反せずに司書の目録(初)を記録限界まで埋めて初めてEランクに上がる資格が得られ、司書の目録(中)はギルドランクがEからCランク用のものです。なので3分の1ほど埋まったらまた来てください。その時はDランクへの手続きをしますので」
俺は説明に頷くとカーナさんにお礼を言い、一時預かり所にいる2匹を引き取る。
きりもいいからこの辺でログアウトするかな。