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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
3/268

3.初ログインとチュートリアル開始

旧5.6です。

「遅刻ーーーーー」


 今日も春花が階段から駆け下りてくる。


「お兄ちゃんはいつも通りだね。私なんて楽しみすぎて寝れなかったよ!」


 いつもより時間がかかってるなと思ったら昨日楽しみすぎて寝れなかったようだ。


「俺の場合は、ゲーム自体が目的じゃないからな」

「そうだったね。でも、ちゃんとゲームとしても楽しんだほうがいいよ! そういえばステータスとか聞かなかったけどちゃんと戦えるよね?」


 そんなことを言ってくる。


「攻略とかは考えてないが、一応進めるようには選んだぞ」

「一応進めるという言葉にそこはかとない不安を感じるんだけど・・・とりあえずログインしたら一度合流するのはOKだよね」

「チュートリアルを終えたら、終わった場所の近くで待機だったか」

「そうだよ!多分友達は待ちきれないで先に行っちゃうだろうから先にお兄ちゃんと合流するよ」

「大丈夫か?友達を追いかけたほうがいいんじゃないか?」

「大丈夫だよ。私はワイワイやりたいだけだし、一緒に攻略するわけじゃないからね」

「そうなのか。そういえば瑠璃さんは自分で重度のゲーマーと言っていたか」


 妹はそこまでゲーム大好きというわけではなく楽しい物好きというだけなのでゲームに対するスタンスが違うのだろう。


「それじゃ、あとはゲーム内でね♪」


 放課後、直帰した俺はすぐさまゲームを起動した。

 というのも帰りのホームルームも終わろうかというときに既に校門からダッシュで出ていく妹の姿を視界の端にとらえたからだ。

 さすがに走りはしないがあんまり待たせるのもかわいそうなのですぐに始めることにしたのである。

 

 起動すると再び浮遊感に襲われる。

 ≪abundant feasibility onlineを起動しますか?≫

 とウインドウが出てきたので「はい」と答える。

 まばゆい光に包まれると、今回はホテルエントランスではなくいかにもファンタジーの舞台というべき中世のヨーロッパのような街並みが続いていた。

 町で喋っている人たちは本当にNPCなのかと疑うようないきいきとした生活風景がそこにはあった。

 しばらく呆けていると目の前にウインドウが表示される。


 ≪この度はabundant feasibility onlineをプレイしていただき誠にありがとうございます。初ログイン特典として職業に応じた初期装備と、いくつかのアイテムを配布させていただきます。

 チュートリアル終了までは既定のNPC以外との会話はできません。

 チュートリアル終了と同時に他者に認知されるようになります。

 これよりチュートリアルを開始させていただきます。≫


 ウインドウが閉じると同時に目の前にピー○ーパンに出てくる妖精のようなものがいることに気づく。


「はじめまして。私チュートリアル専用NPC「ナビ」と申します。これよりこの世界についての説明を始めさせていただきます。」


 そうしてこの世界の世界観の説明から始まった。


 この世界アバンデントはとても不安定な世界でさまざまな種族、生物が暮らしている。そのため国や集落が乱立し、小競り合いが絶え間なく起こっていた。

 その現状を憂えた創造神インフは地球世界の神に依頼し、この世界の安定のため旅人を招き人々の交流を活発にしてお互いの理解を深めてもらうことにした。ここは「イニシリー王国」にある「始まりの町」ファーストという町であること。

 その所以は総合ギルドの本部があることに由来する。まずプレイヤーにはこの総合ギルドに登録してもらうことになる。


 ギルドに登録するとさまざまなクエストを受けることができ、クエストをクリアすると貢献ポイントが溜まる。貢献ポイントが一定数溜まるとギルドランクが上がり受けられるクエストが増えたり、職業ギルドなどに登録できるようになる。

 チュートリアルでは総合ギルドへの登録まで行うことを説明された。


 「続いて、このゲームにおけるルール、禁止行為、違反に対する処置について説明させていただきます。」


 この世界は国ごとのルール、法律があるのでそれを遵守すること。それ以外に社会的に問題がある行動についてはそれを検知するAIがあり、検知した時点でペナルティが与えられる。例えば、PC,NPC問わず、殺人・窃盗・陰湿なストーカーなどの罪を犯すと、悪質な場合最悪アカウント一発削除後、警察に連行されることもあるとのこと。これについては昨今の社会情勢として「VRMMOはゲームだからなんでもしていいなんて事はない」という声が各所から上がったことからVRMMO内で起きたことでも、あまりにもひどいものについてはVRゲーム規定に定められた法律で裁くことができるようになったので当然の処置だといえよう。


 それ以外の軽いもの、ゲーム内独自のルールに抵触するものについてはゲーム内の国ごとの裁量に委ねられ、称号欄にそれに応じた称号がつく。

 例えば、「鑑定」などのスキルで他人のステータスを覗くことができるが、許可なくやると称号欄に「覗き」が追加される。そして罰に対する称号については鑑定しなくても頭の上に表示されるので、対応するスキルで隠すか、各国にある更生プログラムを受けて称号を消してもらうかしないとPC,NPC問わず信用が得られない。というわけだ。ちなみに隠すスキルがあるのだから看破するスキルも当然ある。

 PKについては最初の設定で関わるかどうか選択できる。

 PKをする者以外に意味があるのかと思うかもしれないが、賞金首を狩るクエストを受けることができたりPKを返り討ちにしてドロップ品をせしめることもできるので、腕に自信のあるものはPKにかかわるのもありだろう。


 関わらないを選ぶとPKされそうになるとバリアが張られるので攻撃は受けない。

 その代わり、自分も攻撃できないのでGMコールをするか、近くの衛兵に対応してもらう事になる。

 当然、賞金首クエスト等は受けられない。

 ただし、意図しない攻撃の場合はフレンドリーファイアとして死なない程度のダメージを受ける。当然俺は関わらないにチェックを入れた。


 「いよいよ、ゲーム内での操作説明に入ります。まず、メニューを開いてもらいます。

メニューよ出ろと念じるだけで出てきます。」


 そう言われたのでやってみると画面が目の前に出てくる。


「メニューが出てきましたね。基本的には自分にしか見えませんが、見せたい相手がいるときは相手から許可申請を行いそれを許可することで見られるようになります。メニューにはステータス、アイテムボックス、ログ、メール、GMコール、ログアウトがあり選択するものを指でタップするか、メニューを開いたときと同じように念じれば選択できます」


 いわれるままに、ステータスなど閲覧していく。

 すると、アイテム欄に見覚えのないものがある。

 確か最初のウインドウに初期のステータスに対応したアイテムを配布するとあったので多分それだろう。


 「初期配布アイテムを確認しましたね。それでは装備してみましょう。」


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