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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
19/266

裏話 運営サイド

 

日本某所


「主任、今回のアップデートによるバグのデバッグ作業は大方完了しました」


 若い男が言う。


「そうか、ご苦労。ところどころ細かい問題は発生しているようだが、おおむね順調のようだな」


 若い男の発言に白髪交じりの男が返す。


「しかし、今回のゲームは運営サイドにも配慮した日程で進行させてくれるのでいいですよね」

「言いたいことはわかるが、あまり気を抜くなよ。こちらの予想を超える行動をとるプレイヤーもそれなりにいるんだからな」

 

 ここはabundant feasibility online  運営日本支部管理センターである。

 今回大型アップデートがあったことに伴うデバッグ作業がようやく落ち着いてきたようだ。


「そうですよね。こちらの対応がパンクしないようにゲーム開始日を前倒ししてもらったのに、結局対応できないとかはできないですよね」


 今回abundant feasibility onlineが平日から開始されたのには理由がある。

 一つはゲーム開始時の混雑を緩和することだ。ハードゲーマーやプロゲーマーはスタートダッシュを決めたいはずなので朝からプレイすることだろう。

 そして、ライトゲーマーたちは仕事や授業を終えてから始めるのでそのころには朝からいるやつらは次の町にいっているという寸法だ。


 次に、質問・クレームの分別である。ハードゲーマーとライトゲーマーでは当然ゲームへの考え方が違うため質問・クレームの種類が違う。

 そのため開始時間から現実世界で夕方の時間まではプログラマーやステータスの設定をした者を多く置くことで早く先へ行きたいハードゲーマーたちのコールに対応し、ライトゲーマーたちが来るころには世界観の設定・チュートリアルを担当したものを多く配置することでエンジョイ勢や初心者に対応できるようにしたわけだ。


「満腹度や昼夜の実施を遅らせたのもプログラマーやクレーム対応するものたちへの配慮からくるものだからな」

「そうでしたね。ただ、やはりというか後から来た人たちがゲーム開始からできた人たちとの差をどうにかしろみたいなクレームはよくきますね」

「そのための第1回イベントだろう。まぁ他のところからクレームが来そうだがな」


 白髪交じりの男はそういってため息をはく。


「それは仕方ないですよ。あちらを立てればこちらが立たないのは当然です。しかし、運営の事情で開いてしまった差はこれでどうにかなると思いますよ」

「そうだな。イベントが始まる前にできるだけ問題を解決して大仕事に臨むとしよう」

「ははは、そうですね。がんばります」


 若い男はそういって作業に戻る。


「今ある問題で早期対応しなければいけないものはなんだ?」

「そうですね。一番はやはりプレイヤーが種族特性のデメリットに対する補助アイテムの存在に気づいていないことですかね?」

「それか・・・。あれは資料室に情報があるのだがな・・・」

「初めに来た人たちが散らかしたせいで利用できない状態が続きましたからね」

「しかし、それを解決してくれたプレイヤーなかなか面白そうじゃないか」

「そうなんですよね。デバッガーなんじゃないかっていうくらいマイナーなものを選んでいるんですよね。実際、職業司書・スキル読書によるスキル習得度の上昇補正が悪さして知識スキル全般に振り分けるから、なかなか習得できないことに気付けましたからね」

「うむ。熟練度については不使用スキル設定で対応できるが未習得スキルへの対応はおろそかだったからな。それにそのプレイヤー戦闘メインじゃないのはいいが生産も拒否とは・・・今後とも目が離せないプレイヤーになりそうじゃないか」

「ははは、時々行動ログでも確認してみますかね?」


 そうして、運営サイドの奮闘は続く。


 ……………………

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― 新着の感想 ―
[一言] 【?報】翼兄、選択がマイナーすぎてデバッガーかと冗談にされるw【運営に認識されたw】 戦闘もせず生産もせず。読書をして相棒と穏やかに過ごす。 これは……一般消費者勢……とでも言うのかな?w …
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