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破壊の神が住む世界で  作者: 天照サナイ
5/11

5 エルフの少女

カランカラン、カランカラン


朝を伝える鐘の音が、村全体に響きわたる。


この鐘の音を聞き、村人たちの1日が始まる。

畑や仕事などで外出し始めた村人は、みな一様に明るく美しい髪の色をしていて、耳が長く尖っている。そして瞳も淡い緑や青に黄色など、吸い込まれるような美しい色をしている。


―――ここは森の中にある、エルフが住む村である。


「…朝ですか。」


眠気まなこをこすり、エルフの少女『レイナ』は起床する。

美しい金髪のロングヘアで緑色の瞳をした愛くるしい少女である。


「うぅーーーん。いい天気。…………なんて言葉、一度は言ってみたいですね」


この森の木は異常なまでに巨大で、隣の木の枝と枝がぶつかりあい、太陽の光を完全に遮断しているのだ。


そのかわりこの森には、マナを含む光輝く発光体『マナの光』が充満していて、昼も夜も関係なく、真っ暗なこの森を明るく照らしている。


「さてと、お姉ちゃんを起こして朝食をとったら、今日は薬草を取りに行かなきゃいけませんね」


着替えながら今日のスケジュールを確認する。しっかりものの妹で料理全般は彼女が担当している。

両親は森を出て冒険者をやってるらしい。そのため姉妹二人で支えあって、日々の生活をおくっているのだ。


姉を起こして朝食を取ったレイナは、早速薬草を取りに出かける準備をする。

今日取りにいく薬草は『フローラ』という美しい花である。この花の、茎や葉の部分を乾燥させてつくる生薬と、いくつかの他の生薬を組み合わせることにより万能薬を作ることができる。


この村では、そんな薬の原料となるものを、森の外から来る行商人に売り渡して、収入を得ている人が多くいる。


この村は比較的森の外側に位置していて、フローラは森の奥、マナを多く放つ森の中心部付近に群生している。


「そろそろ森の中心部付近なはずですけど……あ!ありました!」


ゆるい昇り坂の斜面になっていて、近くにあった岩の影に咲いているのをみつけた。するとさらに、ほんの数メートル離れたところにもう1本咲いている。それだけではない。そのさらに奥にも1本、2本、3本と咲いてた。


「あれ?あれあれあれ!?あっちにもこっちにも咲いています!すごいです!今日は大量ですよ!」


フローラはそれなりに貴重な薬草で、一回行って取れる量は1本か2本くらいなはずなのだが、今日は計6本と大収穫だった。

だが、あちこちに生えているフローラを取っているうちに、かなり森の奥まできてしまった。


「それにしてもずいぶん奥まできちゃいましたね。…あ。あの向こうに見えるのって、もしかしての『エーリュシオンの大樹』じゃないですか?」


『エーリュシオンの大樹』とはこの森の中心にそびえる最も巨大な木のことである。この森の木は、数百メートル級とういう常識はずれな大きさをしているものがあちこちに生えているのだが、このエーリュシオンの大樹はそれらを上回る。その大きさは1000メートルを越えるほどで、大樹の中の大樹である。


「せっかくですし、久しぶりに眺めにいきますか」


左斜めに一本とその奥の右斜めに一本巨大な木が生えていて、その二本の木の間からエーリュシオンの大樹がみえる。二本の木を越えた先と言っても、木があまりにも大きすぎるため、エーリュシオンの大樹までは数百メートルほどの距離がある。


とは言え、たかが数百メートル。この森に何十年も住んでいるレイナとってはさしたる距離ではない。 ものの数分で、エーリュシオンの大樹の目の前までたどり着いた。


「うわぁ。やっぱり大きいですね。他の木と比べても飛び抜けて大きいです。マナの光もこんなにたくさん………きれい」


死ぬまでに一度はみたいと思えるような。大自然の圧倒的な絶景を目にし、魅力されるレイナ。


そうしてエーリュシオンの大樹眺めていると、根元付近に何か白いものがあることに気付く。


「あれは…なんでしょう?」


正体不明の白いものに興味をひかれるレイナ。それが何か確かめるべく、歩を進め近づいて行く。

近づいて行くと、少しずつ()()の正体がみえてくる。()()は人の形をしていて、木に背中を預け、力なくもたれかかっていた。白く見えたのは彼の頭髪と服の色によるもので、白髪で白く見慣れない服をきていた。そして驚くことに、彼には―――右腕がなかったのだ。


「…っ!大丈夫ですか!!」


ようやくことの重大さに気付き、彼の所へ走り出した。彼女はおせっかいで優しい性格をしているため、もしかしたら死んでいるのかもしれないと思っても、それでも走り出さずにはいられないのであった。


「大丈夫ですか!しっかりしてください!脈は…!」


彼に呼び掛けながら脈を確認する。左手首に添えた指からドクッドクッと振動が伝わってくる。脈はある。つまり生きている。


「生きてる!…でもこんなに痩せて……このままじゃ危ないかもしれないです!」


しかし、レイナには大した医療の知識はなく、呼び掛ける程度しかでてきない。

だが、力なくもたれかかっている少年は、その呼び掛けに反応する。


「うぅ……ん……」


「!…大丈夫ですか!しっかりしてください!」


「う……あぁ……」


呻き声をあげながら、真っ白な少年へ目覚める。深紅の赤い瞳をした『アルビノ』とおぼしき容姿をした少年だ。


「!…よかった。目が覚めたんですね。……大丈夫ですか?」


目が覚めた少年は、こちらを見るなりきょとんとした顔をする。数秒間固まっていた少年はようやく口を開き、的を得ているのか外れているかわからないような言葉を口にする。


「天使だ…」


「…………ふぇ?」

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