三日目(1):悪党、移動中
「で、どうして客人を棍棒で後ろから不意打ちしようとなさったんですか、キスイ様?」
問い掛ける。
相手は、ふんっと大きく鼻を鳴らした。
「きまっておるだろうジロロ。あれが敵だからだ」
「昨日は、もてなす支度をしておけ、とおっしゃられたようですけど?」
「うむ。たしかに言ったおぼえがあるぞ」
「で、なんで敵なんです?」
「おろかものめ。戦士にとって、もてなすといえば相手を全力で返り討ちにすることにきまっておるだろうがっ」
「……知りませんよ、そんな変態的な俗語、だれも」
「なぜだ!? 当然の常識だろうっ。おのれ、岩巨人族の戦士たちはそこまで堕落したというのかっ」
ぶんぶん手を振って、相手は力説する。
はぁ、とジロロはため息をついた。
「……なんだ、その『トホホ』とでも言いたげなため息は?」
「いえいえ、なんでもありませんよキスイ様。そんなことより、もっと大事なことがございますから」
「む? なんだ?」
相手は、こくん、と小首をかしげる。
彼女はにこにこと笑みを絶やさず、続けて言った。
「この僻地では、村人の娯楽もずいぶんと限られておりまして」
「むう。たしかにここはつまらぬ村よの」
「ええ。それで、昨夜のキスイ様のお言葉を聞いて、みんな大喜びだったんですよ。宴会の口実ができた、って」
「ぬう。全員が誤解したのか。まったくなさけない。この村に真の戦士はもうおらぬのか?」
「いないかもしれませんね。それはともかく、みんな大喜びでいまも宴のごちそうを準備しているわけです。食材を用意して、下ごしらえをして」
「ほう、そうか。それは大儀なことよ」
「ええ。狩り長のバフルさんなんて、40年も転がしていた秘蔵の酒樽を蔵から出してきて『好きなように使え』とまで言ってくれたんですよっ」
「豪勢だな」
「はい。そんな中、宴が中止になったと知れれば、さぞやみんながっかりするでしょうねぇ……」
「まあ、仕方あるまいな。ところでラ・ジロロよ、その手に持つ凶悪なハンマーはなんだ?」
にこにこ笑みを絶やさずににじり寄るジロロに、相手は冷や汗を流しつつたずねた。
「これも村のみんなとごちそうと秘蔵のお酒のため……お覚悟を、キスイ様」
「まてまてまてちょっと早まるなおちつけぇぇぇっ!」
「だいじょーぶだいじょーぶ。ちっとも痛くないですよー。ちょっと悶絶してのたうち回るだけです」
「その言葉の矛盾はともかくとして、だから待てと言うにっ。きさま、よりによって自分の主君に――うわあっ」
ぐごんっ、と音がして、ハンマーが地面にめり込んだ。
「もう、キスイ様。だめですよ動いちゃ。当たらないじゃないですか」
「だ、だれかぁぁ、助けてくれぇ!」
「無駄ですよ。ここ、祭儀室に入れるのはわたくしとキスイ様だけだって、キスイ様だってご存知でしょう?」
「こ、この不忠者っ。そんなんだから天罰が下って、その歳でも洗濯板のごとき胸の――」
「えいっ」
ごんっ!
「……きゅう」
「あらあら、ちょっと力を入れすぎちゃったかしら?」
にこにこしながら、ジロロはハンマーをそのへんにぽいと放り捨てた。
と、祭儀室の扉がこんこんとノックされる。
「はい?」
がちゃり、と扉を開けると、そこに人間ふたり分近くもの大きさの巨体が立っていた。
「ガルヴォーンの君ですか。どうか致しましたか?」
「異音がしたので駆けつけてきたのですが……ア・キスイは、ご無事で?」
「ええ、ぜんぜん無事ですよ。ねえ?」
振り返って、問う。
すると「はい……」というか細い声が、祭儀室のなかから聞こえてきた。
「ね?」
「ふむ。そのようです。しかし――」
ふと、彼、ドッソ・ガルヴォーンは首をかしげた。
「どうかしましたか?」
「いえ。祭り役の仕事ゆえ本来は問うべからざることですが、質問をさせていただいてよろしいか?」
「どうぞ。答えるべきか否かはこちらで判断します」
では、と断って、ドッソは言った。
「あの……今日の行動は、なにかの儀式なのですか?」
「え?」
「いえ、私も最初から見ていたわけではないので、正確ではないかもしれませんが。
ア・キスイが棍棒を振り上げ、その口を押さえながらあなたが祭儀室までひきずっていく、という行為に、どのような意味があったのでしょう」
「………………」
「いつにない行動でありましたので、その――」
彼女はにっこり笑って、
「心配することはありませんよ、ガルヴォーンの君。あれは、宴が成功するために必要な行動だったのです」
「は。そうでしたか」
「ええ。ですから、なにも心配することはありません」
断言する。
ドッソはそれを聞いて、深く納得したようにうなずいた。
「わかりました。それでは、これで失礼致します」
「はいはい。客人の方にも宜しく伝えておいてくださいねー」
にこにこ手を振って、そしてジロロはばたんとドアを閉めた。
「さて、こっちはこれでよし、と」
「あの……」
「はい、なんでしょうか? キスイ様」
言葉に、キスイは頭を手で抑えながら、
「なんだか頭がいたいんですけど……また、『あのひと』がなにかやったんですか?」
「………………」
ぽん、とキスイの頭に手をやって、なでなでする。
「心配しなくてもいいですよ。『彼女』があまりにも派手に暴走したら、わたくしが止めてさしあげます」
「は、はい……」
はにかんで、キスイは答えた。
……はあ、とため息。
(あちらの方も、このくらい素直で可愛いのなら扱いやすいのだけれど)
「あの?」
考えていると、キスイが不安そうにみじろぎをした。
安心させるためにほほえんで、話題を変える。
「そうそう。今日の夜は、客人を迎えての宴会が催されますから、楽しみにしていてくださいね」
「客人、ですか」
キスイは首をかしげた。
「それは、神の陣営に属する方でしょうか」
「あら、なにかお心当たりでも?」
「いえ――ただ、ずいぶん近くにそういう気配を感じます」
目を閉じて、答える。
その姿は、まさに神話の時代の預言者のように。
「――――」
「? どうかしましたか?」
「いえいえ。ただ、キスイ様も『生贄』なんだなあって思っただけですよ」
言いながら思う。かつての自分も、このような神秘に満ちていたのだろうか。
「さあ、そろそろもどりましょう。急にこの部屋へ篭ったものだから、みな心配しております」
感傷を振り払って、彼女は扉を開けた。
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「で、今度はどっちに向かうんだ?」
ごろごろごろ。
車輪の音がひびく馬車のなかで、俺はサリに問うた。
「北」
「………………」
だめだ。こいつとじゃ会話が成立しない。
きょろきょろあたりを見回すと、センエイと目が合った。
「なんだい君は。サリの『ざ・ぱーへくつ』な解答に不満があるとでも言うのかね?」
「べつにおまえの腐った感性に文句言う気はねーけどよ……正気か?」
「はっはっは、素敵に失礼な男だな君は」
頭に青筋を浮かべて不気味に笑うバカは無視して、俺はこの馬車にいるもう一人のほうに目を向けた。
その相手、リッサはちょっとあわてた風に、
「ぼ、ボク?」
「そういやおまえ、なんでこんなところにいるんだ?」
いま乗っているこの馬車は、隊商に病人が出たときのために用意されているものだ。
本来は隊商の構成員が用いるはずのものなのだが、いまは満身創痍のサリが使っている。
……まあ、それは合意を取っているし、問題ないのだが。
「神官には、賓客用の馬車があてがわれているはずだろ? あっちのほうが居心地もいいだろうに、なんたってこんなところに?」
「いや、ええと、あのね」
リッサはなんだか言いにくそうにしながら、
「さっきまではふつうに外にいたんだけど……なんか、いたたまれなくなって」
「なんで?」
「それは……」
と、ちょうどそのとき、外から騒がしい声が聞こえてきた。
「ぐはぁぁぁっ!? おいこら貴様ら! 高貴なる神官補にそんなことして後がどうなるか――」
「コゴネル、火力2割増しな」
「あいよー」
「って、ぎゃーっ!? やめろやめろ熱い下ろせぇぇぇぇぇっ!」
「風情がありますねえ……」
…………
「なにやってるんだ、あいつら?」
「なんか、サフィートさんに『竜の死体って高く売れるんですよー』って話をしたら、急に色めきたって出て行って。
で……あのとおりなんだけど」
「…………」
要するに、また例の調子で分け前をよこせとわめき散らしたのだろう。で、それで魔人連中がブチ切れて、ああなったと。
「つくづく強欲だな、あの腐れ神官補」
「あの悪癖だけは、出会ったときから変わらないんだよね……」
「いっそのこと、さっさと縁を切ったほうがいいんじゃねえか? あいつ」
「だ、だめだよ! そりゃあ完璧じゃないのは確かだけど、サフィートさんはすごく優秀でいいひとなんだよ?」
「…………」
俺がじっとセンエイをにらむと、彼女は「ん?」と眉をひそめた。
「なんだね君は。ひとのことをじろじろ見て」
「おまえ――リッサに馬鹿になる病気をうつしたなっ」
ごしゃっ!
「どーゆー意味だよっ!」
「な、ナイスパンチ……」
世界が。世界が回っている。いま。
センエイはそれを聞いてわざとらしく暗い声で、
「ほー、そうかそうか。リッサ君は私と同列に扱われるのがそんなに嫌かー」
「え、いや、そういうわけじゃないんですけど――」
「悲しいよぉ~、さみしいよぉ~」
「あ、え、その、えっと、」
「サリ、この悲しみを癒してくれ~」
がばっ。
すっ。
どんがらがっしゃーん!
「足が甘い」
「………………」
いま、俺はベッドにうつぶせに寝た状態から足払いという神業を見た。
というか、そもそもサリはこっちを見てすらいない。どうやってタイミング計ったんだ?
「な、なんか、レベルの違いが見えた気がするんだけど」
「気にするな。気にしたら負けだぞ」
ふたりで汗を垂らしながら、ささやき合う。
と、サリがこちらを見た。
「ん、どうした?」
「思い出した。ライ、分け前は本当にあれだけでいいの?」
「ああ。しょせんあぶく銭だしな。あれ以上は要らない」
「マイマイに気をつかっているのなら、気にしなくていいのに。あれは彼女も納得していることだし」
「そんなんじゃねえって。使い道が思い浮かばないときに大金をもらっても、せいぜい物盗りのカモにしかならないだろ。それだけのことさ」
「……えっと、なんの話?」
「竜の死体を売った金の話だよ」
けっきょく、あの戦いに参加した全員で山分け(マイマイは除く)ということで話がまとまったのだが。
竜の身体の需要など、相当な大都市でないと存在しない。
ここから最も近い大都市といえば『北の都』ことヴァントフォルンなので、それまで収入はお預けということになった。
それでも、金貨換算で30000枚から40000枚クラスの収入があるだろうというのだから、すごい額だ。
「ボクは、狩人として正当な報酬だと思ったから、素直に分けてもらうことにしたんだけど……ライは、どうしたの?」
「剣を買い取れる分だけで、後は辞退した」
「え!?」
俺は肩をすくめて、
「あんまり隊商に長居したくもないからな。それくらいはもらっておきたいと思った。後は、まあ、べつにいいかなって」
「だ、だって、金貨2000枚以上だよ? あんまり贅沢しなければ、一生暮らしていけるくらいの――」
「やだ」
「やだ、って――」
「そんなつまらない人生、まっぴらごめんだ。金儲けをするのはいいが金持ちになるな、ってのがクラックフィールド家の家訓なんだからな」
それに、たいして苦労しないで金ばっかもらっても、どうせすぐなくなってしまうだろう。なら、一切もらわなくても変わらない。
「それで、その……ヴァントフォルンに着いたら、ライはどうするの?」
「ん? そうだな、どうしようか」
とりあえず剣はこの隊商から買い取るとして、後はどうするか。
護衛の賃金は、そこまでの日数分はもらえるだろうから、数日は路銀に困ることはないだろう。それで旅に出るのもいい。
隊商に残って、もうしばらく護衛を続けるのもひとつの手だ。
それとも――
「まあ、ともかくそれはずいぶん後の話だな」
さしあたり、今日向かう場所も分からない状態で、あさっての予定を立ててもしかたがない。
「で、最初の質問にもどっていいか?」
「え、ああ、今日どこに行くか、だっけ?」
「ああ」
「んー、たしか、岩巨人の集落へ向かうって話だったけど……」
「……取って食われたりしないよな?」
「あはは、そんなことはないと思うよ」
気楽に笑う。
(そういや、こいつはたいして心配する必要もないのか)
そもそも、神殿に巨人や小人、人間の区別があるわけでもない。
人間にとっての神殿は、巨人にとっての神殿でもある。だから神官であるリッサには、岩巨人を怖がる理由は特にないのだろう。
「それに、先行した魔人さんたちのひとりは大歓迎されたって話だったから、いまさら変なことをされる危険もないと思うけど?」
「だと、いいんだけどな」
俺は馬車の窓から外をながめた。
鬱蒼と茂る森の上に、さんさんと照る太陽が見える。
いつもの風景。
だがその光景に、なぜか俺は奇妙な胸騒ぎを覚えた。
(気のせい……だよな?)
名状しがたい不安を抱えたまま、馬車は進んでいく。
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木の頂点から頂点へと、飛び移る。
下を行く馬車に並走しながら、呼吸は寸分も乱れることはなく。
そのまま、手に持っている架空の『剣』を、くっきりとイメージする。
抜いた。
しゃん、という硝子の鳴るような音がして、剣が彼の手に現れる。
(かつては抜く動作を擬してやらなければ召喚できなかったのだが――慣れたものだ)
苦笑。
そのまま、彼は大きく剣を振りかぶり、
「はあっ……!」
木から飛び降りつつ、振り下ろした。
いくつもの幹を剣が打ち、そのまま『通過』していく。
ざ、と地面に着地。
数瞬後、こつん、という音とともに一本の枝だけが地面へと落ちた。
召喚と送還を一瞬のうちに幾度もくり返し、狙った枝だけを落としたのだ。
ぱち、ぱち、ぱち……と、拍手の音。
「けっこう、けっこう。なかなかに面白い芸だったぞ、弟子」
「べつに、貴様に見せるための芸でもないのだがな」
つぶやきながら、彼は振り返った。
そこに老人がいた。
しわがれて力のない、どこにでもいそうな外見だが、彼はその老人の本質を知っている。
「……解せぬな」
その姿を見ながら、彼は独白のようにつぶやいた。
「なぜこのタイミングで僕の前に姿を現した? 妖術師」
「冷たいなあ、弟子よ。昔のようにお師匠様と呼んではくれぬのかね?」
「呼んでもらいたいのか?」
「かか、そう言われると厳しいのう」
一本取られたわい、という感じで、老人は額をぴしゃりとたたいた。
彼は小さく吐息し、
「ずいぶんよくできた幻像のようだが――いまの僕を前に幻術を行使する意味を、わかっているのか?」
「おう。それは聞いておるよ。うまくやったようじゃの」
「うまくやったかどうかは、僕が判断することだ」
「ではうまくやってないと言うのかね?」
「…………」
こちらの反応を見て、老人は愉快そうに笑った。
「なあ、弟子よ。いや、シン・ツァイと呼ぶか、それとも敬意を込めて『殿下』とでも呼びますかな?」
「馬鹿にしているのか?」
「とんでもない! むしろ評価しているから、こうして出てきたのではないかね」
「使い捨てにした割には、よく言うな」
「まだ根に持っておるのか? よいではないかね、生き残ったのだから。それにあの頃のおぬしならまだしも、いまならわしも考えが変わるというものだ」
「……まさか、戻ってこいとでも言うつもりか?」
「さよう」
「僕が貴様の殺害依頼を受けていること、知らぬはずはあるまい」
「それがどうした?」
老人は平然と言った。
「どうでもよかろうよ、そんなもの。おぬしの――貴様ら『見えざる神殿』の真の目的に比すれば、王の勅命など、さしたる重要性も持つまい。
……今日、ふたつの神器がひとつの場で邂逅する。わしの求めるのは、どちらでもよい、そのうちのひとつだ」
「それが、真の目的とやらと関係を持つと?」
「そうだ――と言ったら?」
老人は、ひひ、と暗く嗤う。
シンは、しばらく無感情に老人を見つめていたが、
「『王子の二重性』か」
老人はその言葉を聞いて、笑みを深くする。
シンはそれを視界に収めることもせず、うつむいて淡々と話す。
「僕――否。余の依り代たちには皆、二重性がある。余の目的と、僕の目的。その二つが対立する場所を意図して作り出すと、余はうかつに動けない状態になる」
「うむ」
「妖術師よ。貴様が余の求めるもの――『奥義』を提供できると言うのであれば、それはたしかに交渉の材料たり得るものだ。このシン・ツァイが貴様の死を望もうと、いったん手を止めるだけの価値がある」
「うむうむ。そうであろうよ」
「しかし」
「む?」
ここでシンは、初めて顔を上げた。
「交渉の材料としては、足りんな。時間は有限であり、余のリソースも有限である。都市伝説レベルのものを持ち込んで買ってくれと言われても、テーブルに着くことさえまだ遠い」
「…………」
「だから余は僕に判断を委任した。――つまり、戯れ言の時間は、終わりだ」
「ぬうっ……なに!?」
初めて、妖術師に焦りの表情がにじんだ。
「馬鹿な、幻像を消せぬ……!? なんだこれは!」
「我らが進歩していないとでも思ったか? この程度の技術は数代前には習得済みだよ――幻像さえも切り伏せる、『秘剣』カイ・ホルサの夢幻刀儀。その身でじっくりと味わうがよい」
「待て。早まるな――!?」
ざくんっ!
瞬時にシンの手に現れた剣が、妖術師の身体を貫く。
幻像は断末魔の悲鳴を上げて、かき消えた。
(…………)
「ダメだな。手応えが浅い」
シンはつぶやく。
どうも、幻術固定をぎりぎりで解かれたようだ。
「あの老人、やはり生き汚さだけは伝説級だな。この状況ですら逃れるとなると、いよいよ直接対面しない限りとどめは刺せないか」
ため息をついて、シンは頭を掻いた。
(しかし、二つの神器と来たか)
片方は明白である。ライナー・クラックフィールドの持つ神鳴る剣。しかしもう片方には心当たりがない。
(まさか、その情報を意図してリークするために接触してきたか? だとすると……やっかいだな)
シンは心の中でつぶやいて、そして小さくかぶりを振ると、遅れてしまった隊商を追って姿を消した。
後には、静けさを残した森が、ただ広がるのみ――
用語解説:
【夢幻刀儀】
より一般には、遡及打撃と呼ばれる魔術攻撃の一種。相手が遠隔操作する魔術の、「遠隔操作している=本体とつながっている」という性質を利用して、逆にたどって本体を攻撃する技術の総称。
逆にたどるやり口の実現方法によって分類が異なる魔術と見なされ、その手法の発明者の名前を使って、「〇〇(人物名)の夢幻刀儀」という呼び方がなされている。
魔術解説:
『カイ・ホルサの夢幻刀儀』
系統:神威/意味変質/世界改変 難易度:SS+
夢幻刀儀の一種。カイ・ホルサと呼ばれる神の『幻と現実の境目を曖昧にする』神威を逆用し、幻術と本体を世界が区別できなくすることによって、幻術側につけた傷が本体にそのまま転移する。
分類上は夢幻刀儀であるが、幻術にのみ特化している代わりに、本来ならば本体と切り離されて自動的に動いているはずの幻術からですら遡及できる。知られている範囲の夢幻刀儀では最上級のもののひとつ。
【2017年12月28日追記】
一人称、二人称に表記ぶれを発見したので訂正しました。




