想い(フレディ視点)
俺は自分の欲しいものは、自分の手で掴んできた。自分の身でさえ、買い戻すことに成功した。だが、そんな俺にも儘ならないものがある。
章子だーー。
幼い頃から突出した容姿に才能。俺の努力を軽々と越えていく女。初めは反発心があった。しかし、その無垢な魂に触れる度に思い知らされる。
俺は章子が好きだと。
章子の前に現れた少年エドガー。何故そんなにそいつがいいのか、俺にはわからない。だが、お前を引き取りにきた時の豪胆さ。俺はあっけにとられた。何不自由なく生きてきた坊っちゃんにどれほどのものができるんだと思ったね。坊っちゃんは予想以上だった。ボスとも対等に渡り合い、章子を手にいれた。
何故もっと早く章子を掴まえられなかったのだろう。いや、俺には掴まえられなかった。誰の思惑にも支配されない女……。
俺は今ではそれなりの地位を得ている。だからこそ章子は真実を俺に託したんだろう。あの時の喜びは口に出来ない。章子が初めて俺を頼ったのだーー!
真実は段々と章子に似てきた。そんな真実を息子のように愛しく感じる。
章子。お前は俺の気持ちを知っている。利用されているのかもしれない。だが、それでもいい。お前との接点があるなら……。
だから連れていけ。俺を。お前とならどこまでも堕ちていく覚悟は出来ている。一人で逝かせはしない。お前はエドガーのもとへ行くつもりなんだろう。それでもいい。俺を連れていけ。