あの国へ
目的が決まってからは、三人とも動きは早かった。フレディは知り合いの新聞社やテレビ局の人間に連絡して、テロ組織の実態を世間に流してもらうことを承諾してもらった。章子は真実に更に強くするべく訓練をさせ、記者としてのエドガーの話をした。記者としてどうあるべきか。事実を事実としてきちんと伝えること。簡単なようで難しいことだ。
そして、三人ともテロ組織の国への渡航準備が整った。もちろん渡航注意情報の出ている国だ。飛行機のチケットの入手は難しい。まずは隣の国へ入国してから、車で向かうことにした。それでも危険なのは変わりない。
テロ組織のことを記事にすると決めてから三人で話し合った。全員が一緒では全滅する危険がある。だからそれぞれ単独行動をすることになった。誰かが殺されても、誰かが記事に出来るようにと。当然危険を覚悟してのことだった。
三人は旅立った。それぞれの目的の国へと。全員別の国から入ることになっていた。
そして、最初に無事に潜入に成功したのは章子だった。章子はガイドについてテロ組織に潜入した。そして、隠しカメラで撮影をする。テロ組織ではその地域を植民地のように扱っていた。テロ組織に怯えて暮らす人々。その様子は瞬く間に世界へと発信されていった。
だが、発信されると同時に、章子たちの身の危険は切実なものへとなっていく。章子はまだいい。危険なのは存在感のあるフレディと真実だ。二人もまたテロ組織に潜入して情報を発信していた。
三人の情報は世界を揺るがし始めた。テロ組織撲滅を訴えるデモまで起こるようになった。それこそがエドガーの望むことであり、それを引き継いだ三人がするべきことでもあった。三人の行動は世界で称賛されるようになる。それと同時にテロ組織に狙われる三人。それでも最期まで情報を発信し続けた。テロ組織が壊滅するまでーー。




