三題小説第二十一弾『帽子』『作戦成功』『宗教施設』タイトル「かぶるもの達の戦い」
刑事でなければ、そして潜入捜査でもなければ、こんな所とは一生無縁だったろうな。
新興宗教、対スペース電磁波戦線、通称ASEF。その総本山であるセントラル先進宇宙開発前線センター、通称セン4はA県F市の海岸沿いに構えていた。
中央には白地に炎のような模様の描かれた塔、スペース電磁波に対抗するアース電磁波を放っているという聖電気塔が聳え立っている。周囲には大小様々な施設が並んでいる。電気武器棟、聖事務室、エレクトリック研究本部。それに戦士と呼称される信者達の共同住居であるウォリアーホームだ。どれもこれも現代アートのような歪な構造で、けばけばしい模様が描かれていて、酷い有様だ。目がちかちかして仕方ない。
下級一般戦士である私は上級一般戦士になる為の儀式、防護帽授与儀式を控えていた。下級一般戦士というのは一定以上の戦費を拠出していない者の事だ。非戦士達の次にスペース電磁波に殺されるという事になっている。要するに金だ。別に珍しくもないが。
私はとにかくこの宗教団体の奥深くに入っていかなければならない。この団体はありとあらゆる犯罪の疑惑があるにもかかわらず、まったく尻尾を見せないからだ。
はっきり言って面倒な上にストレスがたまって嫌になるが、これも上の命令だから仕方ない。
太陽の半分が海に沈み、赤い陽光をASEF施設全体に投げかけている。聖電気塔はその炎のような模様も相まって燃え上がっているように見えた。
私達は聖電気塔の前の広場で背の順に二列で並んでいる。その場にいる全員が、各々持参したスーツを着ていた。
儀式は男女別で、私は一度女性の授与儀式を覗き見た事があったが、全ての女性が同じエロティックな衣装を着ていた。私もあれを着るのかと一度は仕事を捨てて逃げようかとも思ったが、男性には何もないようだ。
「戦友、緊張していますか?」
長堀さんは私と同時期に入信した下級一般戦士の青年だ。嘆かわしい事に安くないお布施、もとい戦費を拠出して上級一般戦士になる、今回一緒に儀式を行う事になった三十余人の内の一人だ。私と共に最後尾に並んでいる。
「はい。戦友。そうですね。こうして少しでもスペース意識体の本意に近づけると思うと嬉しいのですけど、同時に恐れ多いといいますか」
この半年間、ひたすら意味不明なASEF用語を頭に詰め込んできた結果はそれなりに上々だ。今となっては頭空っぽで無意味な会話を無駄に長々と続けられる。
「分かります。思うのですけど、それも一種のスペーススキンシップなのかもしれませんよ。そう考えると少しは気持ちも楽になるでしょう?」
何を言っているんだ、こいつは。
頭の中でASEF用語辞典をめくる。スペーススキンシップとはスペース電磁波に対抗する為に教主白沢の考案した精神的在り方。またその在り方を求める意思。
意味が分からん。
「ああ、なるほど。良い考えですね」と、にこやかに言っておく。
「静粛に」と、拡声器を通した声が辺りに響く。
いつの間にか特別上級一般戦士の芹沢さんが集団の前方で拡声器片手に立っていた。脂ぎった顔の上に上級戦士の証である白い防護帽が夕陽を受けて赤に染まっている。
私の知る限り上級戦士の全てが生気を失った表情で、しかしだれよりもよく働いている。薬物精製の疑いをかけられているがこれも発見には至っていない。
「それではこれより聖電気塔に入ります。列を保ったままついてきてください」
二列の集団は真っ直ぐに広場を横切り、塔の正面の巨大な扉を潜り抜ける。
一階の天井は高く、中央に螺旋階段が据えられている。そこは言うなれば教主・白沢聖山博物館という様相だ。銅像や絵画、白沢の一生という展示物や説法の映像が展示されている。どこかで聞いた事あるような厳かな音楽が流れているが、これも白沢の作曲した曲なのだそうだ。信者以外にも公開されているが冷やかしすらいないのが現状である。
私達は博物館をも真っ直ぐに縦断し、螺旋階段を上っていく。
二階には打って変って何もない。ただ二つの部屋に分けられている。螺旋階段はさらに上に続いているが私達は二階に降り立った。そこは待合室で革のソファがずらりと並んでいる。厳めしい扉が一つあり、その向こうで授与式が執り行われるという話だ。その部屋の中の様子は一切窺い知れない。窓も何もなく、何の音も聞こえない。
特別上級一般戦士の芹沢さんが一人部屋に入っていき、直ぐに出て来た。
「それでは二人一組で順番に入って下さい。何度も聞かされて耳にタコでしょうけれど、中では一切喋る事を禁じられています。気を付けてください」
そうして男達が順番に部屋に入っていく。扉が開いた時に中が見えたが衝立のようなものがあってやはり中の様子を知る事が出来ない。
芹沢さんが時計を見ながら一組一組の入室を促している。出てくる者が一人も居ないまま、私達の順番がやって来た。
さすがに長堀さんの表情にも緊張の色が見える。私とて同じだ。いや、長堀さん以上に緊張している。場合によってはここで何かしらの犯罪の秘密を知る事になるかもしれない。
扉を開くと衝立が目の前にあり、それを左右に分かれて避けて進む。
やはり窓はなく、壁には戦線の思想に関する壁画が描かれている。今まで入った男達がその壁の近くに立っていたが、いずれも壁の方を向いている。
はっきり言って異様な光景だが、ASEF施設には異様な光景が腐るほどあるものだからあまり驚きはしなかった。
部屋の真ん中には事務長代理の秋田さんが、やはり多くの上級戦士同様に生気のない顔で立っていた。事務長代理というのは戦線のナンバー30くらいの人だ。下っ端だ。おかしな話だ。女性の上級一般戦士に話を聞くに防護帽授与式は教主自ら執り行うという話だったが。
長堀さんと共に前に進み出ると、秋田さんは両手に持った防護帽をそれぞれに手渡した。
恭しく受け取ろうと心構えていたのに、随分ぞんざいな扱いではないか。聞いていた通り、その場で帽子をかぶる。
突然長堀さんが膝をついた。
そんな話は聞いていないぞ私は。慌てて私も膝をつき、視界の端の長堀さんの真似をする。俯き加減で帽子を抑えて……。慌てて与えられた帽子を引っぺがす。帽子から三本の触手が伸びて長堀さんの後頭部をまさぐっているのが見えた。
同時に後方から爆発音と衝撃波が襲いかかる。続く破裂音と共に部屋の中に煙が充満する。一体なんだというのだ! 私は混乱しながらも身を屈めながら、壁際へと走る。
一体何が起こっているんだ。襲撃を受けているのか? それは味方なのか? 味方だとして私を味方だと認識しているのか?
壁に辿り着いても怒鳴り声が方々から聞こえてきたが、一発の銃声が全てを掻き消した。そしてそれは更なる銃撃を呼び起こした。阿鼻叫喚とはこの事だ。人間とは思えない雄たけびを発している者もいる。煙でまだ何が起こっているか分からないが、どうやら戦線側も反撃を始めたようだ。
犯罪の証拠の一つを見つけたが、最早必要もないのだろう。逮捕術や護身術は一通り身につけているが、さすがに成すすべはなさそうだ。
突然押し倒され、頭に何かを被せられる。触手の生える防護帽かと思って抵抗しようとしたが、それがヘルメットだと分かって自ら装着した。
「とにかくじっとしててください! すぐに終わりますからね」
私はとりあえずその女の声に従う事にした。他にどうしようもない。長いような短いような時間が過ぎる。頭の内外で銃声が反響している。
煙が晴れてくるとそこは地獄の有様だった。長堀さんを含め、新たな上級一般戦士はほとんどが死んでいる。銃を撃っていたのは秋田さんだったようだ。手にピストルを持っている。
どうやらこの場は収まったようだが、まだ遠くで銃声が聞こえてくる。施設群のあちこちで、このような戦いが起こっているのかもしれない。
「こんにちは。あなた刑事さんですよね。えっと……」
私は警察手帳を取り出して女性に示す。
「神崎だ。潜入捜査でここにいた。一体これは何なんだ?」
「ワタシは大島といいます。ワタシ達は地球外生命事象対応作戦群です。まあワタシはただの協力者なんですけどね」
部屋のあちこちでサブマシンガンにヘルメットやアサルトスーツ等他にもしっかり装備したごつい男達が生存者を拘束していた。
それに比して大島はヘルメットと防弾チョッキを身につけているだけのパンツスーツだ。まだ若い女性で、ヘルメットから茶髪が零れ、その隙間にピアスが見えた。化粧は薄く、新興宗教、ましてやこのような特殊部隊と何かしら関係があるなどと考えるのは難しい素朴な容姿だ。
「地球外生命……?」
あまりにぶっ飛んだ言葉だが、ずっとこのような環境にいたせいかすんなり受け入れている自分がいた。
「はい。つまりあの」と言って大島が部屋の真ん中に落ちている防護帽を指差す。
すると防護帽が細い三本の触手を振り乱し、帽子を持ちあげたかと思うと私の方へ跳躍した。咄嗟に大島がピストルを撃って空中の防護帽を仕留めた。何やら青い液体を噴きながら防護帽は沈黙する。
「帽子型宇宙生物を殲滅する為にワタシ達はやって来たというわけです、はい」
「つまりそれはスペース電磁波が関係してると?」
「それは彼らの妄想ですねー」
そう言って大島はにこりと笑みを見せた。
大島によると帽子型宇宙生物は特殊な電波を発して人間の頭脳を乗っ取り操る事が出来るのだという。つまり上級一般戦士は全て帽子型宇宙生物に乗っ取られているという事だ。そして帽子型宇宙生物はこの宗教団体を隠れ蓑に個体を増やし続けていたのだそうだ。
「なるほどな。そんなことを私に話してしまっても良いのか?」
大島はずずいと私に近づき両手を握った。
「神崎さんには是非協力して欲しいのです」
「協力? 私に出来る事なんてあるのか」
「この聖電気塔の内部構造については把握していないですか?」
「いや、私が知っているのは二階までだ。これより上の事は知らないぞ」
あっさり手を離すと、大島は腕を組み、首をひねった。
「実はワタシどももこの塔の見取り図だけは手に入れられなかったのです。それだけにこの塔が最も怪しいという訳です」
「怪しい?」
「ええ。帽子型宇宙生物の女王蜂のような存在、帽子を生み出している通称帽子屋がここに潜んでいるのだとワタシどもは考えています。つまりこの上ですよ」
「そういう事か。協力できる事があるかは分からんがついていこう」
正義感? 好奇心? いやむしろ仕事をきっちり終わらせたいという思いで私はそう言った。
「ありがとうございます。それじゃあ、あとは防弾チョッキとピストルですね」
隊員の一人が持って来たオートマチックピストルを受け取り、防弾チョッキを着こむ。
「私は後ろからついていくだけでいいんだよな?」
「ええ。ワタシと同じです。これより上の階に人はいるんですかね」
「それも分からんが、教主の白沢がこの上に住んでいるはずだ」
「白沢は道中で拘束しましたよ。じゃあまあ何も分からないですけど行きますか」
「すまん」
「良いって事ですよ。まあでも何かあれば役立ってくださいね。それじゃあ隊長さんお願いします」
隊長と呼ばれた者の指揮で隊員達が次々に螺旋階段を上っていく。彼らの蟻の子一匹見逃さない眼光のサーチライトによって安全を確保された道を進んでいく。
3階には誰もいなかったが4階には多数の信者が、帽子型宇宙生物の乗っ取られた信者が潜んでいたようだ。銃声と爆発音が螺旋階段の上から降ってくる。装備では明らかに圧倒していたが、中々手こずっている。
「帽子型宇宙生物に乗っ取られた人間は本来以上の運動能力を獲得するのです。ただし当人が身につけていた技術をフルに活かす事は出来ないみたいです」と、大島が解説してくれた。
私達は安全圏の3階でただこの部隊の仕事を待つのみだった。
「ふうむ。彼らも闇雲に乗っ取っている訳ではないんだな」
「そういう事です。使える人材はそのまま使わなければ意味がないわけで。そういう意味でもこの宗教団体を隠れ蓑にするのは上手い作戦ですね」
「下級一般戦士の間は審査期間というわけだ。そして私は使えないと判断されてしまったのか」
彼女は緊張感なく笑った。
「神崎さんは正体を隠していたんですから。もし本当の神崎さんを知ればただの帽子を渡していたでしょうね」
別に嬉しくも何ともないフォローに愛想笑いを返しておいた。
4階の安全が確保されてから私達は4階に入る。螺旋階段はここまでだ。4階はどうやら住居のようだ。この階には窓があって海側は全てがオーシャンビュー、風呂もトイレもある。生活必需品は全てあるようだ。ここに白沢が住んでいたのか?
死体は何度か見た事があるが、さすがに連続する惨たらしい状況に辟易する。
見た所ここにいたのは全員が女のようだ。白沢の愛人か何かだったのだろう。硝煙の臭いの中に血の臭いが混じっていて、不快感が襲いかかる。生存者は一人もいないようだ。つまり全員が帽子型宇宙生物に乗っ取られていたという事だ。
「綺麗事を言うつもりはないが人間の方を助ける方法はないのか?」
「あったら勿論やってますよ。彼らはアホらしい宗教に騙されただけの根は善良な人達ですからね。ただ、乗っ取られた人間を回復する方法は今のところ見つかってないんです。構造上帽子型宇宙生物を狙い撃てばそのまま宿主も死んでしまいますし」
それもそうだ。とにかく帽子屋を殺さなければどうにもならないという事か。
「ところで乗っ取られた人間の意識はどうなっているんだ? 消滅しているのか?」
「いいえ。どうやら意識はそのまま存在しているようです。しかし自分の思い通りには体を動かせない」
「生き地獄だな」
螺旋階段は終わっていたがさらに上へと続く梯子があった。
「高さからいってそろそろ最上階だな」
「ですね。皆さん気合いを入れてくださいよ」
また大島の合図によって部隊が素早く5階に登っていく。今度は銃声も爆発音も叫び声も悲鳴も聞こえない。
代わりに生存者発見の報告があり、続いて安全確保の報告が届いた。私も梯子を登る。
ここも主に住居のようだが4階よりは狭い。とはいえ住むのに不便はなさそうだ。いくつか部屋を覗くと唸る機械の林立するひと際大きな一室があった。何かしらの研究室だろうか。
そこに男が一人いた。年の頃は六十代くらいだろう。白髪混じりで皺の多い顔だ。背中が曲がっているが中々に恰幅がある。老いた虎を思わせる男だ。部隊の面々を興味深げに眺めていて余裕を感じる。
周りには帽子型宇宙生物と思われる防護帽が青い液体の入った瓶の中に浮かんでいた。
そこへ大島がやって来て私の隣に立った。
「そいつが帽子屋です。殺して下さい」
隊員達が戸惑っている。当然だ。彼らは駆除業者であったとしても殺し屋ではない。
「おい、待て。さっきと言ってる事が違うぞ。奴は帽子をかぶっていないんだ。殺す必要はないだろう」
大島が無言でピストルを取り出し、帽子屋に向ける。
しかし私も刑事の端くれ。すぐさまピストルを叩き落とし、腕をひねりあげて床に押し付けた。
「もういいです」と、大島が苦しげに呟く。「お前達、乗っ取りなさい」
その直後隊員達が帽子屋に向かってサブマシンガンを乱射し始めた。しかしどこに潜んでいたのか防護帽をかぶった男達が現れて応戦し始めた。
「いい加減に離しなさい」そう言って大島が私の手を振りほどいて、立ち上がる。「付いてきなさい」
大島が駆けだす。その先には帽子屋が逃げ出しているのが見えた。
一体何が起きているんだ。乗っ取りなさい? 大島がそう言ったのか?
私も慌てて大島の後を追う。帽子屋は五階から外への出口に飛び出した。大島がそれに続き、私も外へ出た。
そこは潮風が吹きつけてくるバルコニーのようになっていて、二脚の古びたビーチチェアが置いてあるだけだった。
「さあ、観念してください。もう逃げ場はありませんよ」
大島が太股のホルスターを探りながらそう言った。しかしそこにピストルはない。
「ああ、そうでした。神崎さんめ」
大島が私に振り返る。
「あなたピストル持ってるでしょう。早く帽子屋を殺しなさい」
私は素直にホルスターからピストルを取り出し、しかし大島にその銃口を向ける。
「は? ……もしかして神崎さん、乗っ取られてないのですか?」
「そういう事だ。つまりこのヘルメットも帽子型宇宙生物という事だな」
私はヘルメットを外し、海の方へ投げ捨てた。
「なぜです? なぜ乗っ取られなかったのですか?」
「私に聞かれても知るもんか。しかし授与式の時も防護帽に乗っ取られなかった事を考えると私には何かしらの耐性があるのかもな」
大島が顔を歪め、舌打ちをする。
「違う! 違うぞ! 神崎君!」
帽子屋が両腕を広げて近づいてくる。
「動くな! お前の味方になった訳じゃないぞ!」
「聞いてくれ。神崎君」と、帽子屋が歩みを止める。「俺の作っていた帽子は正確には帽子型宇宙生物ではない。俺はヘルメット型宇宙生物の脅威を知り、彼らに対抗する為に彼らのテクノロジーを利用して帽子を人工的に作っていたのだ。だから……」
「黙れ! どちらにしろ今それを確かめる術がないんだ。全てはお前達を逮捕してからだ。床に伏せろ! 二人ともだ!」
帽子屋は私の言葉に従ったが、大島はただ私を睨むだけだった。
「早くしろ! 本当の大島さんを殺したくはないんだ!」
「神崎さん。ワタシ言いましたよね」
大島が一足跳びで迫る。私は躊躇なく引き金を引くが、大島は銃弾が見えているかのように避け、私を殴り倒した。鼻から血が噴き出る。霞む視界の中に銃口を向ける大島がいた。
「乗っ取られた人間は本来以上の運動能力を獲得する、って」
銃声が鳴り響く、一発、二発、三発。
私は全ての銃弾を避けた。驚き怯む大島から銃を奪い取り、床に押し倒す。すぐさまヘルメットに、そして結果的に大島の脳天に何発も銃弾を撃ちこんだ。ヘルメット型宇宙生物も大島も同時に絶命する。
そしてうつ伏せで悲鳴を上げる帽子屋に近づき、少しの逡巡をする事もなく後頭部に弾丸を叩きこむ。
神崎から浮かび上がる疑問に私は心の中で答える。
ずっと黙っていたが私はカツラ型宇宙生物なのだ。仇敵のヘルメット型宇宙生物と、そのテクノロジーを悪用する帽子屋を殺す作戦に君を利用させてもらった。すまないね。
神崎から浮かび上がる不安にも私は心の中で答える。
安心したまえ。私の意思で君の体の主導権は君に戻る。ただし申しわけないが、今しばらく体を貸してもらう。
神崎は拒否反応を示す。当然の反応だ。
私はバルコニーから下を覗いた。ヘルメット型宇宙生物はASEFを完全に占拠し、この聖電気塔を囲んでいる。
君の運動能力でここから逃げ出せるとは思えない。
神崎はようやく観念した。
それじゃあ行くぞ。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
ご意見ご感想ご質問お待ちしております。
彡⌒ミ
(´・ω・`)酷いオチだ
それにしても何故か起承転結の起だけ長くなる現象が頻発してる気がする
今回なんて半分くらい起だった
最初だけ筆が乗って力尽きていくパターンだと思われる