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+++第六話:異質な町ガラムバト、明かされる王国軍の目的

 【聖王歴1877年10月10日】


 今日は気持ちのいい晴天だ。前日は雨で屋外活動ができなかっただけに、よりいっそうありがたく感じられる。そんななか、表情がどんよりと曇っている人物も、二名ほどいるようだ。

 

 「さみし〜い!」

 ミヤダイがそう言うのは、もちろん二日前にここをあとにしたクミシマたちのことだろう。彼女は単純に心配しているというよりは、三人がいないこと自体を嘆いているらしい。

 

 「ロロカ、あのときは七瀬の案に賛成してたじゃないか」

 一緒に残ったシバウラは、当時のことを回顧してそう言った。

 「だって~、それは七瀬たちが真剣に考えてくれてるのはわかったし・・・・さみしいなんて理由で反対できないよ」

 「ぎゃくに、敵に襲われたりする心配はないんだな」

 

 俺がそう言うと、ミヤダイはぽかんとした表情を浮かべる。

 「それ、は・・・・あんまり考えてなかったな。でも、七瀬たちは絶対に大丈夫!私、こういうのわかるんだよね!」

 「まだ始まった、ロロカの謎確信」

 「えー!でも芝浦君の選挙も、桐谷くんの試合も、私はちゃんと合ってたじゃん!」

 「まあ・・・・」

 

 気がつけば、ふたりは他愛もない会話で小競り合いを始めている。二人のやり取りを見ていると、同じニホン人でもやはりここまで違うらしいとわかり、どこか面白い。

 さて、視線をすこし移せば、もう一人本調子ではなさそうな少女がいる。むしろ心配なのはこちらのほうで、エレナはクミシマたちが発ってから日に日に元気がなくなっている気がする。

 

 「エレナも、トレイノルたちが心配か?」

 「・・・・!あ、お兄ちゃん。うん・・・・そうかな」

 話しかけられるまでまるで上の空だったらしく、彼女は驚いたように反応した。しかし、俺にはそれだけが理由であるとも思えない。

 

 「なにか心配事があるなら相談に乗るぞ」

 「ううん。大丈夫!ありがとう、お兄ちゃん」

 「そうか」

 

 杞憂であるならいいが・・・・とりあえず彼女には元気になってもらわなければ、さきに行ってくれたトレイノルに合わせる顔がない。

 なにかいい案がないかと考えていると、大きな空洞音が響いた。

 (・・・・)

 

 ここでミヤダイは渋い顔で腹部を押さえた。

 「とりあえず、なにか美味しいものが食べたいよう。ね、エレナ」

 「そ、そうだね、お姉ちゃん」

 

 日本人はそうらしいが・・・・陽気な彼女といえど、最初はそこからの音を露骨に恥ずかしがっていた。たしかにこの世界にもそういう類の羞恥はあるが、ミヤダイの心からはもはやその感覚は消えてしまったらしい。

 とはいえ、決まりだ。

 「ガラムバトから迎えが来る前に、まずは腹を満たすべきだな」

 「賛成ー!」

 ミヤダイは笑顔でそう言うと、勢いよく扉を開いた。しかし、その活気とは裏腹に、彼女の表情は一気に固まった。

 「・・・・ロロカ?」

 「あ、あなた、誰ですか!?」

 彼女のその声で、俺たちの雰囲気も一気に緊張した。それもそのはずで、数日前にはこの場所に襲撃があったばかりだ。素早く身を翻し、扉まで最短距離で到達する。続けてシバウラが、ミヤダイを守るように外との間に入った。視線の先には、黒服をまとった男が二人。

 

 「お迎えにあがりました」

 「え?」

 張り詰める空気のなか、男の一人がそう言った。続けて、彼らは王国軍兵士の証として階級と名前を明かした。

 「我々の任務は、ナナセ・クミシマらの要請により、あなたがたを保護しガラムバトまで移送すること」

 彼らはそうして、後方の馬車を指さす。それから、ずいぶんと丁寧にこちらの事情を確認した。それについて詳しいということで、彼らは本当にナナセやキリヤ、トレイノルに依頼されたのだとこちらに伝えているようだ。

 

 「よかった〜!敵じゃないんですよね!」

 「ええ。さきに着いた三名はすでに王国軍施設にいます」

 

 「・・・・どう思う?」

 とりあえず敵意がなさそうなことは確認したうえで、シバウラはこっそりと俺に耳打ちした。

 「疑う気持ちはわかる。だが、礼儀作法からも野蛮な賊の類ではないな」

 「ついて行っても問題ないと?」

 「・・・・」

 

 シバウラが警戒するのはもっともだが、俺は彼らが本物の王国軍であるのは真実のように思える。迷っていると、しびれを切らしたシバウラは自分で疑問をぶつける。

 「七瀬は自分で迎えに来ると言っていました」

 「ええ。しかしクミシマ様御一行はお疲れのようでして、代わりに我々が参上いたしました」

 「そんな、それじゃ本当なのかわからないじゃないか」

 

 うなだれるシバウラ。馬車で来るのなら、一人くらい付いていてもいい気がするが・・・・。俺はおもむろに建物のなかを振り返る。

 「・・・・」

 エレナはさきほどよりも調子が悪そうにしている。彼女としても、いろいろあったここ数日で限界に近いのかもしれない。

 

 「シバウラ、俺のはついていくべきだと思う。ミヤダイも、エレナも、安心できる環境で休ませるべきだ」

 「ハルガダナは、そうするべきだと思うんだな?」

 「そうだ。ここは俺を信じてくれないか?」

 「あ、ああ。そうだな・・・・じゃあ、そうしよう」

 「そうか」

 反論もあるかと思えば、意外にすんなりと受け入れられたようだ。ミヤダイも案内されるままに馬車に乗り込み、一行はこうもあっさり一週間を過ごした廃街をあとにした。

 だんだんと小さくなるそれを見て、名残惜しそうなのは俺とエレナくらいか。馬車のなかでも彼女はずっと後ろを眺めている。

 

 「三時間とかからず到着します」

 その言葉通り、馬車は順調に道を進む。あのミヤダイでさえも、集中の糸が切れ安心からか、馬車では静かだった。シバウラも俺も、多少警戒しつつも、とくに話すこともないので黙ってて揺られる。

 そんな風に過ごしていると、ついには市街地が見えだした。

 

 (ここが、ガラムバトか)

 馬車から覗ける町並みには、実に多様な種族がある。どうやらこの辺りには人間族はほとんどなく、獣人族や魔人族などが多いらしい。

 

 「いま、なにか・・・・」

 いまなにか、敵意を向けられたような?そう感じたのを皮切りに、俺は周囲の冷たい視線を悟った。いま、この馬車に向けられているのは歓迎ではなく、憎悪や恐怖のような感情らしい。それもそうか。ここら一帯はどうやら貧しい地域らしく、家屋や人の恰好もあまり目安い感じではない。そうなれば、わざわざ護送までされている人間に敵意を向けたくなる気持ちもわかる。

 とりあえず、エレナやミヤダイがそれに気づいていないようで良かった。このとき、俺はそう感じるだけでとくに疑いを持てなかった。

 

 そして町の中心に進むにつれ、大きく、綺麗な建物が増えていった。田舎者の俺にとっては、見るものすべてが新鮮である。

 

 「わあ!すごいね、エレナ!」

 「もしかしたら、見たことのないの虫もいるかもな。やっとトレイノルにも会えるぞ」

 そしてそれは、エレナも同じであろう。

 この機に乗じて元気づけようとするミヤダイに、俺も便乗する。しかし彼女は一向に回復しない。むしろ、つらそうに顔をゆがめて俺の服を握りしめ始めた。

 

 「・・・・・・・・おい、大丈夫か!?」

 「ちょっと、よくない、かも・・・・」

 

 「乗り物酔いでしょう。もうすぐ着きますから、それまでの辛抱です」

 同乗していた兵士の男は、状況を見てそう冷静に言う。しかし、それを聞くとエレナは首を小さく横に振った。状況が一変する。これでは観光気分でいるわけにもいかず、俺たちはふたたび神経をとがらせる。

 

 「一度止まれませんか⁉かなりつらそうです」

 「しかし、あと五分もかかりませんよ?」

 ミヤダイが交渉するも、男は頑なな姿勢を崩さない。

 

 「・・・・であれば、俺が一緒に降りて徒歩で向かいます」

 「わざわざですか?多少我慢すれば着きます」

 「いえ。道も聞けば教えていただけるでしょうし、そうさせてください」

 相手が兵士だからと諦めるべきじゃないだろう。エレナがあからさまに助けを求めているのだから、ここは食い下がる場面だ。兵士たちはあからさまに残念そうな感じだが、結局は操縦席になにか言葉をかけたようだ。

 すると馬車はスピードを落とし、建物横のスペースに停車した。

 

 「ありがとうございます」

 「気をつけてくださいね。目的地はここから北の方角ですが、少々道が入り組んでいます」

 「はい」

 

 「じゃあ私たちも!」

 「!

 お待ちください‼」

 ミヤダイとシバウラも、俺とエレナに続けて馬車を降りようとする。しかし、それには焦ったように兵士が止めに入る。まるで俺たちとは違い、こっちは絶対に逃がせないというような感じである。

 「おふたりにはさきに、来てもらいます」

 「え?でも・・・・」

 

 ミヤダイは心配そうな視線をこちらに送る。兵士らの目的がなにかはわからないが、敵意のない彼らとわざわざ対立するのは得策ではない。

 「俺たちなら大丈夫だ、ミヤダイ。それに、エレナだけじゃないだろ?お前も相当体がしんどいんじゃないか?」

 「でも・・・・でもさ、せっかくここまで一緒に来たんだから、最後まで行こうよ」

 そう言いながら、図星のように顔をゆがめる。隠していたつもりなのだろうが、馬車に乗ったあたりから、彼女の調子が悪いことには気が付いていた。それでも彼女が引かない理由は、なんだろうか?

 

 「私、なんだか嫌な予感がするの」

 

 (・・・・。)

 「嫌な予感、か。なあミヤダイ、俺はお前に感謝してるよ。命を救われたんだ・・・・その分、体に負担を駆けてしまったことは申し訳なく思ってる。だからこそ、ここは俺に任せてさきに行っていてくれないか?クミシマたちに無事を報告して、くつろいで待っていてくれよ」

 「ロロカ・・・・」

 

 迷っている様子の彼女を、シバウラもまた説得してくれているようである。数刻ののち、彼女は口を開いた。

 「わかった。エレナが回復したら、絶対に二人で来てよ?」

 「約束する」

 俺が断言したことで、すこし表情を和らげた彼女はきっと安心できたのだろう。馬車に戻ると一変、辛そうな表情を浮かべつつ、一行は徐々に見えなくなっていく。

 

 「さて、エレナ。体調はどうだ?」

 「うん、だいぶいいよ。ありがとうお兄ちゃん」

 こっちもこっちで、そう言いつつまだしんどそうな表情は変わらない。


 「もし大丈夫そうなら、休める場所を探そう。固くて冷たい石段の上じゃ、良くなるものも良くならないだろうからな」

 「うん・・・・」

 

 とりあえず、わけもなく感覚で通りを進む。

 この辺りには木造の古い住宅が目立つというよりも、立派な建物が多く存在するようだ。とくに、町の中心に見えるひときわ目立つ高い建物。北に向かえと言っていたが、位置的にはあれが目的地だろうか?

 ただ歩き回るというのも非効率なので、俺たちはとりあえず・・・あれを目印に休憩場所を探すことにした。

 

 「さっきお兄ちゃんが言っていたことだけどさ」

 「ん?」

 

 「ここは気候も植生も、あっちと変わらなそうだから・・・・新しい蝶は見つからないと思うよ」

 「あ、そうか」

 彼女は背中で学者のような言いぶりをする。彼女はここに始めてくるはずだ。しかし、まるでこの場所を長年研究していたかのように断言する様は、とても小さな女の子とは思えない。

 

 「エレナは物知りだな。」

 感心―――いや、すこし不思議でもあるな。辺境育ちの俺としては、エレナくらいの女の子とはあまり接したことがない。どちらにせよ、俺がそう問うと・・・・彼女はすこしの戸惑いと興奮を含んだ声色で言った。


 「本、だよ!あの街にはたくさん本があって、昆虫に関するものももたくさんあったから!」

 

 (ああ、そう言えば読んでたっけ)

 俺はあの廃街での出来事を思い出した。彼女はたしかに、黙々と本を読んでいるときもあった。

 「だったら、今度俺のおすすめも貸してやるよ。隠すことじゃないが、俺も読書は好きだからな」

 「ええ、でもハルガダナお兄ちゃんの本ってなんか難しそうだよ」

 「まあな。でもエレナなら、きっと面白いって言うと思うぞ?たとえば、蝶は種類によって数百キロを飛ぶんだ。なんで迷わずに飛べるんだろうな?」

 

 「え⁉・・・・ええと、方角がわかるのかな??なんでだろう?わかんないよ!」

 「はは、俺が持ってる本を読めば、それがわかるようになる」

 「いじわる!」

 

 そう言いつつ、会話の内容がよほどうれしかったのか、さきほど大人びた考察を見せたエレナも、このときは適正年齢に戻ったように喜んだ。

 (元気が戻ってきたみたいだな)

 なによりである。そもそも彼女は身寄りのない子どもで、こんな風に話ができるのもなかなか機会がなかったのかもしれない。

 

 「・・・・。」

 トレイノルもそうだ。二人で路頭に迷い・・・・つらい経験もしたに違いない。俺はそう考えつつ、憐れむことはしない。これから、幸せになっていけばいい。

 

 「どうしてもっていうなら、この場で解説してやってもいいが」

 「別にいいもん!その代わり絶対に貸してね‼約束だよ⁇」

 「もちろんだ」


 「・・・・・」

 「・・・・?」

 「楽しみ、だなあ」

 すこししてから、俺の横でエレナは嬉しそうにそう呟いた。そのあとで彼女は急に黙り、真剣な雰囲気を感じさせる。

 

 「もう大丈夫。この辺で降ろしてよ」

 「・・・・?ああ、わかった」

 体調が治ったのだろう。べつに重くもないので、そのままでもよかったのだが。このときの俺は、彼女の真意に気づいてやれていなかった。

 そうしてこちらに向かった彼女は、なにかを決意したように口を開く。


 「あ――――ハルガダナお兄ちゃん、私ね?」

 俺は、それを聞かなかった―――――――――。

 

 「すまないエレナ。あとにしてくれ」

 一生懸命な面持ちだったエレナを後回しにし、目の前の問題を優先したのだ。少し細い小道を抜けた先、広場で一人ベンチに腰かけている女性に目が留まったのである。

 

 「お前、こんなところでなにしているんだ?」

 彼女は上下白の制服姿で、腰には細めの剣を差す。衣装はかなり変わったが、ナナセ・クミシマに間違いない。

 俺はエレナの左を追い越すと、目の前の少女に向かって歩いた。

 

 「―――――!!ハルガダナくん、それにッ‼‼‼どうして来たの⁉待ってて、そう言ったはずよね⁉」

 彼女の声色は、怒り――――それを存分に含んでいるように聞こえる。

 

 (なんでって―――それは)

 「お前から依頼を受けたって、王国軍の兵士がわざわざ迎えに来てくれたからだろ?それよりも、クミシマ・・・・お前は施設でゆっくり休んでいるって話だったが?」

 「ちょっと待って、私はそんな話聞いていない!」

 「だが、こうして無事ガラムバトに着いた。ということは、彼らは本物の王国軍兵士だったってことだ」

 「それは、そうよ。そうなのだけれど――――」

 彼女がそう口ごもったところで、俺たち三人に新しく影が近づく。

 

 「――――あ!

 ハルガダナさんじゃないですかぁ‼」

 「――‼」

 後方から聞こえたその声には、聞き覚えがある。

 彼女はまるで待ちわびた瞬間が訪れたかのように、満面の笑みでそこに立っていた。


 「トレイノルか!無事でよかった・・・・だがお前ら、そんなに元気なら一人でも一緒に迎えに来てくれていれば、余計な誤解が生じずに済んだぞ」

 「すみません、驚かせちゃいましたか?」

 

 「ああ。エレナが狙われていたからな、警戒するのはもっともだ。黒服の兵士たちには、失礼があったかもしれない」

 「そうですか――――」


 そう言うと彼女は、すぐ隣にいる少女を見下ろした。

 「あふふ、エレナ。よく来ましたね」

 「あ・・・・」

 

 「わかった、まあ言い争いは止めにしよう」

 まずは再開を喜ぶべきだろうからな。彼女らは一緒に育った姉妹のような存在って言っていたはずだ。会えてうれしいのは当然。

 

 「・・・・」

 こうしてみると、初めて会ったときを思いだす。二人で俺に食料を分けてくれたあのときのことを。

 (よかったな―――)

 

 ――――その瞬間、顔を上げたエレナの表情が脳裏に焼きついた。

 (なんで―――――――?お前の姉貴分だろ⁇)

 そこから理由を考える間も与えず、エレナの首からは大量の血が吹き出し・・・・彼女は赤い地面に倒れた。

 

 「―――――??————?????」

 「ぷ、あははは!ああ、そういう・・・・。

 ふたりとも、いい顔・・・・とても、可愛いですよ」

 

 「トレノイル――――――?」

 「あ、違います。

 私は、王国軍少将位【フリナフット・エデリア】」

 彼女は血で染まったナイフを放り、そう言った。


 「マーシャ・トレノイルが、今回皆さんと一緒だったのは作戦のため。具体的には、勇者四人の能力覚醒および適応補助任務です」

 「――――は?」

 「ちなみに、エレナもそうですね。

 まあ、彼女に関しては脅して無理やりですけど。

 もともと捨て駒として使うつもりが、ハルガダナさん。あなたのせいですよぉ――――――?」

 「―――――――――この子がただの気持ち悪い獣人族になっちゃったのは」

 

 一連の信じられない言動を、俺はまだ消化しきれていないらしい。捨て駒??つまり、あのとき剣で刺されるのは俺ではなくエレナの予定だったのか⁉

 考えは巡る、しかし言葉が出ない。そのうえ、体も動かない。一方クミシマはこの事実を知っていたのか、ただうつむいて悲しそうな表情をしているだけだ。

 

 「この作戦のポイントは二つです」

 「・・・・!」

 俺たちがなにも言わないのを見てから、そしておそらくはそれを十分楽しんでから彼女は再び口を開いた。


 「そして、勇者の能力が覚醒したいま――――やるべきことはあと、ひとつ」

 そう前おくと、エデリア少将位はクミシマを指さす。


 「ニホンジンは、ぬるすぎる」

 

 (————ッ!)

 クミシマに一層悔しそうな表情が残る。なあ。俺たちが離れた二日で、いったいなにがあった?

 なにが、どうなってるんだ⁉


 「ハルガダナさんもそうですよぉ?あなたは王国軍の兵士候補ですからね。

 あなた達五人が唯一犯した間違いは、獣人族というゴミクズを手助けしたことです。あーあー、それがなければ完璧だったのになぁ!って」

 

 (この女、さっきからいったいなにを――――⁇)

 「亜人族は人間族繁栄の強大な障壁であり、絶滅させるべき課題ですからね。王国軍兵士に、その情けは必要ないんですよぉ!」

 訳のわからないことばかりならべて――――。

 

 「だ、大体・・・・お前が本当に王国軍兵士なんてことあるわけ無い。そうだ、よくもおかしなことをペラペラと・・・・偏った思想を持った異常者が!!」

 「やだなぁ、ハルガダナさん。本気で言ってますか⁇歳はひとつ下ですけど、あなたから見たら階級的に、私は大先輩に当たりますよ。この作戦も、私が中心に指揮をしている・・・・さっき火蓋は切っちゃいました。もうそろそろですかね?」

 

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||


¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥

 

 (―――――――――――ッ⁉⁉!!)

 瞬間、大きな爆発音が数回鳴り響いた。

 つづいて街全体から無数の悲鳴が聞こえ始める。


 「なんだ!?」

 「手始めにこの街の掃除をします。安心してください!皆さんの偏った思想は、私たちがちゃんと治して差し上げますから!」

 少女は口角を上げ、歯を見せて狂気じみた笑いを見せた。

 

 

 *第七話に続く

 

 

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