愛犬とあの空間で-1
4-登校中に
やばい。寝過ぎた。あまりにも”あの空間”が楽しすぎてアラームの音が聞こえなかった。
私の朝のルーティンは愛犬の散歩だ。それを忘れてしまったら母親からなんて言われるか。
顔を洗い一階へ降りる。
「おはよ」
「おはよう。あんたいつまで寝るの。もうポチの散歩行ったからね」
「ごめん。ありがとう」
母の気に触れないように返答する。
前にも一度忘れたことがあった。その時はポチを捨てるって言われた。必死にお願いして許してもらったのを覚えてる。
あの時と比べたら今日はマシな方だ。多分母もポチを可愛がってくれてるのだろう。あの時も冗談混じりで言ったのだと思う。
そう思うと少し嬉しく思った。
「ごはんできてるから食べちゃって、私家事やらないと行けないから。弁当もそこに置いてるから」
そう言って母は2階へ上がった。私も身支度を始める。今日も部活があるから、タブレットとペンを持っていかないと。
朝食を、食べたあとタブレットとペンを置いてある部屋へ行く。
あれ?充電出来てない。
どうやら接触が悪くて充電出来てなかったらしい。
どうしよう、昨日ある程度構図が決まっていて今日で8割ぐらい完成する予定だったのに。仕方ない。今日も部活に来る人は私と数人だろうから出席だけしよう。
諦めを付けバックのチャックを閉める。
「行ってきます」
そう言って家を出る。
いつもより遅く出たせいか人通りが多い。あの空間に熱中しなければよかった。今後あの空間に入ったら注意しないと。
そんなことを考えていたら、視界の端に青木先輩が見えた。この時間帯に登校しているんだ。何かのイラスト集を見ながら歩いてる。
今なら周りに知り合いもいないし、イラストを上手になるコツでも聞こうか。いや、辞めておこう。もし誰かに見られていたとしたら、変な噂が流れ先輩にも迷惑をかけてしまう。
そう思い、バレないようにヘッドホンをつけ横を通ろうとする。
「あ、赤音さん。おはよう」
目が合ってしまった。
「おはようございます、青木先輩」
適当に相槌をして学校へ向かう。
「待ってよ。別に急ぐ必要ないでしょ?」
「無いですが」
躊躇いながらも真実を言う。
「イラストに付いて話しながら行こうよ」
「でも••••••」
確かに話したい。でも先輩に迷惑をかけてしまいそうで怖い。
「何びくびくしてるの。ほら学校はこれからだよ。元気出して」
本当に先輩は優しいな。
「別になんでも無いです。分かりました。あと少しで学校ですけどいいんですか?」
「いいよ。それでね昨日のモデルのことなんだけど••••」
先輩が昨日のことを話し、私もイラストのアドバイスがあるか聞いた。
短い時間だったけど楽しかった。もう少し話せられないかな。いや先輩と私は距離を置いた方が、先輩のためにもなるだろう。
ただ、どこか心が苦しい。




