第94話 絶体絶命ってこういう事?
トンネルに入ってからまだ500メートルも進んでいない。
聞けばこのトンネルって、50,000メートル以上あるらしい。
なのに。
「はぁ、はぁ、い、意外と疲れるね。」
「そうだね、ちょっと甘いものが欲しい……」
「とりあえず波は収まったようだな。少し休もう。」
「アタイが警戒しとくからな、休んどけよ。」
最初の4体を倒してから、次々と雲霞の如くモンスターが奥からやってきた。
結局30体くらいが波状攻撃で襲ってきたんだ。
恐らくはこの地上では最強の部類にはいるだろう少し異形というか、変わった感じのモンスター。
私達で対処はできるレベルだけど人間や魔族の兵士さん達ではまず敵わないと思う程だ。
こんなモンスターを、外に出すわけにはいかないよね。
というか
「やっぱりこの先に、新しいコアがあるんでしょうか?」
「この先、かどうかは判らんが……」
「え?」
「確実に存在する、だろうな。」
「しかも、だ。既存のコアとは少し様子が違うみたいだぜ?」
「それってどういう……」
「封印がないってのもあるけどよ、どうもこのモンスターに守らせているような気がするな。」
「じゃあ、このモンスターって、コアの守護をしてるって事ですか?」
「そんな気がするだけなんだけどな。あながち間違いでもなさそうだぜ。」
「そうだな、現にあんな異形のモンスターは地上ではまだ確認されていないようだしな。」
「あんなのが外で暴れたら、ちょっとマズイどころじゃないですね。」
「そうだよね、とすると、ここで可能な限り個体数を減らさないといけないね。」
「とはいえ、だ。その数がどれだけいるのか、どれだけの頻度で発生するのか、が不明というのは厄介だな。」
「と、とにかく、行けるところまで進むしかない、という事ですよね。」
「深追いしないように気を付けないとな。撤退する場合の事も手段も常に考えておかないと。」
「来たぜ。」
「「 !! 」」
と、さらに。
奥から迫りくる気配を感じる。
やっぱり数が多い。
まだ体力も魔力も全然余裕はあるけど、先々の事も考えておかないとね。
とはいえ、手を抜いて戦える相手じゃない事も確か、なんだけど……
「行きます!」
「先手を取ります!」
モンスターへと突進していき、同じように処理していく。
数は8体、後続はいないようだ。
概ね相手の攻撃パターンが読めてきた。
というか
何となくだけど、単調になってきた気がする。
8体を撃破したところで、再び静かになった。
「ねぇ。」
「シャルル、気付いた?」
「うん。おかしいね。」
「お前らも気づいたかよ。」
「はい。襲撃というか攻撃の方法というか、作戦が変わったようですね。」
「単にそれだけなんだろうか……」
「ルナ様?」
「いや、気のせいなら良いんだがな。モンスターの数が減ってきたのか、あるいは……」
「深追いして良いかどうか、だな、コレ。」
「あ!また来る!」
気のせい、なんだろうか。
さっきよりもあからさまな気配を放っているような気がする。
とはいえ、考えるのは後よね。
「行こう!」
「うん!」
「ひとまずは片づけるしかねぇ、か。」
「そうだな。拘泥するのは後だ。」
また8体。
同じような攻撃、同じように撃破。
再び静けさがトンネル内を支配する。
そんな事が、2回ほど続いた所で、違和感はかなり強くなった。
これ、やっぱりもしかして、どんどん奥に誘い込まれているんじゃ……
「ちょっと、やっぱりおかしいよね……」
「今って、どの辺なの?」
「入口から1キロくらい、かなぁ。」
「ね、もしかして!」
「どうやら、引っかかってしまったかも知れないな。」
「やはり、誘いこまれている……」
「どうするよ、一旦引くか?今ならまだ……」
「「「 !! 」」」
すると、今度は後ろからモンスターの気配が迫ってきた。
というか、もう気配というより地鳴りのように突進してきてる!
見なくてもわかるくらい、数が多い。
そして
「前からも!」
「ちッ!遅かったか!」
「挟撃か。仕方がない、前後で分かれてやるか、後ろを優先的にやるかだな。」
「前後で行きましょう。できるだけ個体数は減らしたいです。」
「ああ、そうしようか。全力で行くぞ!」
「「 はい!! 」」
と、距離が近づくにつれ、数が大まかに判明してきた。
少なくとも、前は40体、後ろは……100!?
ちょ、ちょっとこれは危機、だよね……
ひとまず前後の群れを片づけないと。
私とウリエル様が後ろの100体に向かい、シャルルとルナ様が前の40体に向かう。
戦力が分散してしまうけど、対処できないことは無い。
撤退するだけの体力魔力を温存しておいて、あとは全力で対処するだけだ。




