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そんな私はヴァンパイア  作者: 松栄
第3章 修行の旅へ ~もう一つの世界編~
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第57話 覚醒


 恐らく、最初の10人は何が起こったのかを自覚する間もなかったはず。

 体は上下、あるいは左右に分断され且つ焼却された。


 驚くほど力が抜けている。

 考えるよりも先に体が動いていた。

 それに、なんの感情も沸いていない、無に近い心境。

 自分以外は全てスローモーションだ。


 向こう側では逃げようとする者がいたが、ルナ様はそれを逃がさない。

 頭を鷲掴みにして握りつぶした。

 

 「え?なな、なんだ?何が?」

 「おい、何が起こってんだ!」

 「知るかよ、とにかくやっちまおうぜ!」

 

 残った盗賊集団を3人で囲む。

 一見隙だらけだから逃げ道は余裕であると考えているだろう。

 でも。


 「あなた達にかける情けはない。あの人達、あなた達に殺された人の無念を抱いて……」

 「死ね!」

 「ちッ、アレだ!アレを出せ!」


 岩肌の所にはさらに10数人がいた。

 と、檻みたいなものから獣を引っ張り出してきた。

 あれ、アーマーだ。


 「かまわねえ!もうおもちゃなんざどうでもいい、、殺……」


 その言葉が終わるより早く、私とシャルルは動いた。

 ほんの一瞬で盗賊たちは全滅した。

 残るはアーマーだ。


 そのアーマーに、拳を打ち込む。

 拳はアーマーの装甲を突き抜け、反対側のシャルルは拳の先から魔法を体内へ打ち込んだ。

 アーマーはそのまま破壊された。


 静けさが森を支配する。

 返り血にまみれた私達は、しばらく茫然とその場に立ち尽くしていた。

 すると、ルナ様は


 「行くぞ、まだ居る。」

 「!?」


 ルナ様は一人だけわざと逃した。

 盗賊連中は、別の盗賊集団に連絡するとかなんとか言っていたからだ。

 その逃げた一人の追跡は容易だと言っていた。


 「シャルル。」

 「うん、行こう。」


 ルナ様の後についていく。

 その別の集団は割と近い所にいた。

 どうやらこちらが本隊みたいだ、人数も50人程いる。


 「な!なんだ!?」

 「おい、襲撃だ、やっちまえ!」

 「なんだ、女だぜ!?」


 そんな事を言っているが、無視して片っ端から始末する。

 一瞬、本当に一瞬だったと思う。

 全員、始末した。

 再び森は静かになったみたいだ。

 

 「終わりだ。」

 「ルナ様……」

 「これで、良かったんでしょうか……」

 「良い悪い、という話じゃないな。これは報いだ。こいつらは自らこうなる事をしたんだよ。」

 「ルナ様……」


 すると、ワールドからウリエル様が出てきた。


 「よっと、しかし、またきれいさっぱり処分したな。」

 「ウリエル様。」

 「お前ら、よく憎しみに飲まれなかったな。ていうかだな……」

 「私、何も考えられなかった、と思います。」

 「私も、です。」

 「ウリエル、もしかして二人は?」

 「ああ、覚醒したよ。お前ら、本来の力を開放できたんだ。」

 「え?」

 「そ、そうなんですか?」

 「まぁ、相手がこれだから実感はないだろうがな。」

 「「 …… 」」

 「さ、終わったんだ、ひとまずカルロの家に戻ろう。」

 「「 はい。 」」


 

 カルロの家まで戻ってきた。

 もう今は、憎しみも怒りも無い。ただただ、悲しみだけが心を支配する。

 お父様が亡くなった時と同じ、いえ、それ以上にやりきれない想いが強い。

 

 「ねぇ、ディーナ、カルロの家、どうしよう?」

 「うん、ひとまず外と中は綺麗にしてあげたい。」

 「そう、よね。まだおじいちゃんもカルロも、ここにいるだろうしね。」

 「幽霊でもいいな、最後に会いたいな……」


 「お姉ちゃん!」


 え?

 今のは?


 頭がおかしくなっちゃったのかな、カルロの声が聞こえた気がした。

 シャルルも同じみたいだ、キョロキョロと周りを見回している。


 「お姉ちゃん、こっちだよ!」


 今度ははっきり聞こえた!

 家の裏手の方からだ。

 私達は裏手に走っていった。そしてそこには……


 「「「 カルロ! 」」」


 カルロが居た!

 思わず駆け寄って抱きしめる、けど……

 触れることはできなかった。

 これって……


 「貴様は、あの時の!」

 「久しぶり、ルナ。ディーナも、シャルルも。そしてウリエルも。」

 「てめぇ! なんでここに居る!?」

 「まぁ、その話は後だ。今は静かに、カルロと最後のお別れをすることだな。」


 「カルロ、あなた……」

 「えへへ、お姉ちゃん、ちゃんと約束守ってくれたんだね、また会えたよ。」

 「カ、カルロ……」

 「俺、死んじゃったみたいだからさ、ごめんね、これでお別れだね。でも俺、父ちゃんと母ちゃんに逢えるんだ!」

 「うう、カルロ、そ、そう、だね、ッ……」

 「ごっ……ごめんね、カルロ……ま、まに、合わなくて……」

 「ううん、いいんだよ、約束守ってくれたんだからさ。ちょっと寂しいけど、また会えて本当に嬉しいんだよ。」

 「「 カルロ…… 」」

 「ありがとう、ディーナお姉ちゃん、シャルルお姉ちゃん、ルナおねいさん、ウリエルさん。」

 「そんな、私達こそ……」

 「か、カルロ……」

 「もう、行かなくちゃいけないみたいだ、じゃあ、みんな、さよなら。」

 「「 カルロ!! 」」


 カルロはそのまま虚空に消えて行った。

 ありがとう、大好きだったよ、カルロ。

 これで本当の、永遠のお別れ、なんだね……

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