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そんな私はヴァンパイア  作者: 松栄
第3章 修行の旅へ ~もう一つの世界編~
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第36話 お父様、覚醒す?

 お父様は腕まくりをして、リサお母様に腕を差し出した。


 「痛くしないでくれよ……」

 「ワフー。」

 

 何というか、お父様がこういう物怖じしないのは力を得たからじゃなくて、元からみたいね。

 まぁ、怖いのは怖いんでしょうけど、それにしたって勇気がいるよね、こんなの。


 そうして、リサお母様は大きな口を開け……

 腕、じゃなくてお父様を頭から咥えた。


 「「 …… 」」

 「え?」

 「!!」


 言葉を失う私達。

 困惑するサクラお母様。

 驚愕する英雄様たち。

 そして、メチャクチャ嬉しそうに尻尾を振ってお父様の上半身を咥えるリサお母様。


 シュールだ。



 そんなこんなで、とりあえず一つの目標はクリアした。

 べとべとになったお父様も、驚きはしたけど何事もなく一安心している。

 というか、リサお母様はお父様にべったりと寄り添ってるし。

 

 「こ、これでいいのか?」

 「は、はい、大丈夫だと思います。ただ、精霊様をきちんと認識できるまではまだ時間がかかるかも知れませんが……」

 「しかし、俺に精霊が宿ってるって、信じられないけどなぁ。」


 そんな会話の最中、ウリエル様がワールドから飛び出してきた。

 その瞬間を、全員が見ていた訳だけど……


 ワールドから飛び出したウリエル様は、無言でお父様に飛びつき抱きついた。


 「ちょ!ちょっと、あなたは!?」

 「……」


 ウリエル様は何も言わず、ただお父様に抱きつき、その胸に顔を埋めていた。

 思いはきっと、私達、ルナ様と同じ。

 しばらくすると抱擁を解いて、こう言った。


 「……お前のその精霊達は、必ずお前を助けてくれる。だから……」

 「だ、だから?」

 「多少の無茶はいいけどよ、その、死ぬな。それだけだ。」

 「え、いや、死ぬつもりはないけど……」


 少しドタバタしたけど、ここで落ち着いてみんなで話をすることにした。

 聞くと、

 お父様は、ここで戦闘をして英雄様に帰ってもらおうとしたらしい。

 英雄様は、国王からの勅命で、山賊団討伐に出向いた、という事らしい。

 で、お父様と英雄様達で戦闘となったようだ。


 「英雄様は、どうしても山賊団を討伐しないといけないのですか?」

 「いえ、それはもう必要ないでしょう。どのみち王国へは帰れませんので。」

 「帰れない?」

 「はい、もう、この勅命は単なる暗殺依頼と判った以上、破棄します。それで英雄という称号を失ったとしても、それで良いんです。」

 「称号を失うのですか?」

 「実際そうなるかと思います。ですけれど、タカヒロ様が言われたように称号が皆を救う訳でありません。僕の力が人々を救うのですから肩書なんて重要じゃありません。」

 「あー、余計な事いっちゃったなぁ、ごめん、英雄さん。」

 「いえ、余計な事だなんて、大切な事を思い出させていただいたのです。感謝します。」

 「まぁ、それにしても、だよ?」

 「どうしました、ラファール?」

 「あなた達二人、そしてルナさん、だったっけ、あと、突然現れたもう一人……君たち、本当に人間?」

 「ギクッ!」

 「あ、わ、私達は、その……」


 えーっと、どうしよう。

 素性を明かすのは、どう考えてもまだ不味いよね。

 というか、さすがは次代の姫神子様だ。

 そういう所に気づき見逃さないのね。

 すると

 

 「私達は精霊と同じ世界から来た者だ。とはいえ、存在自体は人間とそれほど変わりない。」


 ルナ様、ナイスフォローです。


 「そ、そうなんだ。」

 「は、はい、そうです。」

 「まぁ、アタイらの事は天使とても思ってくれよ、あはは。」


 て、天使って…… 

 ウリエル様、あれほど『アタイは悪魔だ!』って言い張ってるのに。

 でも、あれ?

 今の代の姫神子様って、確かお父様の長女、私達の大お姉様、じゃなかったっけ?

 この世界の大お姉様は、話を聞いた限りじゃこの時代には来ていないはずじゃなかったのかな?


 「あの、ラファール様、ひとつ聞いていいですか?」

 「え?ボクに?」

 「は、はい、あの、今代の姫神子様って、その、どのような方なのですか?」

 「変な事聞くねぇ、ま、いいや。今の姫神子様はね、見た目は30代くらいの黒い髪の奇麗な人だよ。」

 「その方の本名って……」

 「あ、それは知らないかな。ボクが修行を受けた時はすでに名前は捨てたって言ってたし。」


 ……もしかして別の人かも知れない。

 まぁ、その辺りは触れないでおいた方がいいのかな。


 「ところでさ、君たちのその武器と防具って、何かとても凄いモノみたいだけど、それ、何?」

 「あ、これは、あれです、あれ。」

 「そ、そう、我が家に伝わる家宝なんです。」

 「へぇー、何か、この世界じゃ最上級の装具みたいだよね、それ。」

 「そ、そうですか。」

 「お! お前目が高いな、これはな、実を言うとムゴゴゴ…」

 (黙っていろバカめ)


 ウリエル様、ちょっと冷静じゃないみたいだ。

 ルナ様、これもナイスフォローです。


 「と、とりあえずタカヒロ様はこれで人間界最強になると思います、たぶん。」

 「あの、魔力が満ちれば、魔法も扱えるはず、です。」

 「そうなのか?というか、なんで君たちそんな事がわかるんだ?」

 「あー、あの、その、て、天使だからです!」

 「天使って……ま、まぁ、そうか。」

 「それで、なのですが」

 「うん?」

 「もう一つ、お願いがありまして……」

 「え?俺に?」

 「はい。落ち着いてからでいいと思いますので、一度大精霊様に会っていただきたいんです。」

 「大精霊様、だって?」

 「あの、カスミ様の件も、何とかしてくれると思います。」

 『え?アタシ?』

 「は、はい。」


 カスミお母様は木の精霊様と同化しないと、この世界で顕現できないはず。

 それにその事は約束事でもあったはずだから、このままで良いはずもないだろうし。

 

 「そうだな、カスミがこのまま、というのはちょっと、な。」

 『え?どゆこと?』

 「ああ、いや、お前は生き返らせてもらう約束なんだろう。果たしてもらうだけだ。」

 『うわーい、やったー!』


 ま、とにかくそれも落ち着いてから、よね。

 でも、この後ってどうなるんだろう。


 「ひとまず、だ。英雄さんとの闘いはこれで一旦終わり、でいいんだよな。」

 「はい、僕達はこのままサクラ姫とタカヒロ様に追従しようと思います。」

 「え?いいのか?」

 「はい。それに、先ほどおっしゃっていた挟撃の件も気になりますので。」

 「そうだった、サクラ、急いで拠点に戻らないと!」

 「そうですわね、でも、あなた達はどうするのですか?」


 「迷惑でなければ私達も同行させてもらえませんか?」

 「そうだなぁ、それだけ強そうなら、自分の身は守れるかな?」

 「「 はい。 」」

 「じゃ、いいよ。それじゃ、早速戻らないとな。」


 こうして、私達は山賊団の本拠地へと向かった。

 私とシャルルは、リサお母様が載せてくれることになったんだ。

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