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そんな私はヴァンパイア  作者: 松栄
第11章 番外編 緑の星テラの奇蹟
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テラの奇蹟-36 また会う日まで

番外編「テラの奇蹟」最終話になります。

 首脳会談が行われた翌日。

 コンコルドの真ん中、あの会談に使われた天幕はそのままだったのでそこで一夜を明かしたんだ。

 ケーニヒさんとココロさん、それから私達とで、ずっと話をしていた。

 テラ様によれば、私達は今日、元の世界へと還るらしい。


 「それで、結局ケーニヒさんはどうなるのですか?」


 率直に本人に聞いてみた。


 「お、俺は王達に、なんかこの地に国を創れって言われた……」

 「国を?」

 「創る?」

 「あ、ああ、何でも、大陸全部の国が協定を結ぶ事を進めるとか言ってな、その象徴たる国が必要だとかなんとか……」


 要するに。

 この大陸においては国家間の争いを捨て、象徴となる国の下共存していくべきだ、という話になったらしい。

 それがひいてはこの大陸の状況を他の大陸の情勢へも反映させ、他の大陸との共存共栄の橋頭保となるだろう、と。

 その象徴たる国を、ケーニヒさんとココロさんで創生して欲しい、という話だったそうだ。

 でも。


 「俺にはそんな力量も資質もない。ましてこの地は何人も定住できない聖地だ。そんな事を言われても出来る訳がない……」

 「ケーニヒ様……」

 「ココロ、お前が一緒に居てくれれば何でもできると思った、でも、国を、だなんて……」


 「ふーむ、何かどこかで見聞きしたような場面じゃの、主様よ。」

 「あ、あはは、そうかも。」

 「あのよ、アタイらのトコのお前も同じだったぜ。んだけどな。」

 「ああ、実際そうなったらあんなボヤキは何の意味もなかったみたいだがな。今のお前そのものだ。」

 「そっちの俺かぁ。まぁ、それはお前達みんなとの絆や特別な力があったから、だと思うけどね。」

 「お父様、それは少し違うと思う。」

 「そうです。それ以上にお父様には」

 「へ?」

 「前を向いて突き進む、未来を切り開く意志があったから、だと思います。」

 「私達はそんなお父様の姿を見て、言葉を聞いて、教えをもらって今いるんですもの。」

 「ディーナ、シャルル……」

 

 とまぁ、それよりもケーニヒさんも、どこかお父様に似た性格があるようにも思えるなぁ。

 それに、ココロさんが心の支えになるのだろうし、あの波旬って子から必要な力も貰ったみたいだし。

 あとはケーニヒさんの決心次第のようにも思えるね。


 「で、その国創りって二人だけで?」

 「あー、いや、結局はモーゼルやミナルディ将軍、クローも手伝ってくれるとの事だ。

 政治や何やら、俺が知らない事はルーフのメルシュ公国皇帝陛下が指導してくれるそうだ……」

 「へぇー、あんた、相当期待されてんだな。」

 「よしてくれ、重圧に押しつぶされそうだ。」

 「あはは、でもさ、な。」

 「ああ、お前とココロ、二人で支え合って行けば何とでもなるだろうさ。」

 「お前らはもう普通じゃねぇみてえだしな。思うように国を創って行きゃいいんじゃね?」

 「そ、そんな……」

 「でもでも、なんとなくですけど!」

 「ケーニヒさんとココロさんが思い描く国って、素敵な国のような気がします!」

 「ディーナ、シャルル……」

 「だな。なんつっても勇者さんだ。タカヒロさんとケーニヒさん、そういうトコ似てるしな。」

 「ああ、色んな意味で勇者さんだぜ。」

 「何を言う、タカくんもヒロくんも立派に勇者だろ?」


 そんな話をしている時だった。

 そのモーゼルさん、ミナルディさん、クローさんが天幕へと入って来た。

 これからの事を、大まかにでも決めておきたい、との事だったんだけど……


 「タ、タカヒロ様はもう帰られてしまうのですか!?」

 「あ、ああ、もう俺達はこの世界に必要ないだろうからね。」

 「そ…そんな……もう逢えないなんて……ビ、ビエエェェェーン!!」


 クローさん、泣き出してしまった。

 というか、何かこんな感じ、どこかで見たような……


 (あー、なんつぅか、あの女、誰かに感じが似てんな……)

 (そうだな。誰かにな。)


 泣きまくるクローさんに、一緒に来ているオオトリと言う人が優しく告げる。


 「クロー、悲しむ事はない。

 お前はかのお方の意志を継いで、この世界でかのお方の代わりとして頑張ればよいのだ。

 それは想いは常に共にある、つまり一緒に居ると言う事だ。」


 何となく無理やりなこじつけというか理論だけど、他に言い様もない、のかな?

 するとクローさん。


 「そうか!なら、私の青春はこれからだな!」


 立ち直った!


 (……ナイナだな。)

 (ああ、ナイナだ。)


 ルナ様とウリエル様も、同じ事を思ったようだ。





 こうして、このテラ様の世界は、新たな歴史の一歩を踏み出した。

 まずはこの大陸の全ての国が一つになれるよう、各国でこの地の名をとった協定を結んだんだって。


 まだ各国間の蟠りも大きな障害として残るけど、その問題の解決も早い気がするなぁ。

 そしてそれは、時間はかかるだろうけど他の大陸へも波及していくんだと思う。

 そうなって欲しいと、とても強く思ったんだ。


 そして、このコンコルドという地は今やこの地に国を建立しても問題はないらしい、とココロさんは言う。

 何やら不思議な力がそれを可能にしてくれたんだって。

 それってどんな力なんだろうと、不思議に思ったよ。


 考えてみれば、この世界のダルシアという存在が、結果としてこの世界を一つにする切っ掛けとなった訳だね。

 何というか、そういう所って不思議だと思う。 


 人類、いえ、星の危機は完全とはいかないまでも去ったと言って良いと思うし、何よりも力は別としてこの世界の人々が手を取り合い困難を乗り越えていける世になって行くと思う。

 結局のところ、ココロさんは言ってみればこの世界の女神様みたいな存在だったようだね。

 謎は深まるばかりだけど、それは謎のままでもいいんじゃないかな、って思う。


 それは私達エルデの世界にも、お父様のガイアの世界にも存在しない、貴重な存在よね。

 きっと、きっとこの世界はエルデよりも、ガイアよりも素敵な世界になるのかも知れない。

 その時はもう一度、ここに来てみたいと素直に思ったんだ。


 この先の事は、もう私達は関知できないケーニヒさん達の歴史だ。

 なぜなら、私達はもう自分の世界へと還らなければならないから。

 でも、きっとまたこの世界、あるいは元の世界で、あの人達に会えると確信する。

 短い間だったけど、そんな繋がりも築けたような気がしたから。



 《本当にありがとう、感謝してもしきれません。》

 「テラさん、また困った事があったら、ね。ガイアさんを通してさ。」

 《はい。タカヒロ、ありがとう。》

 「私達も、な。いつでもエルデを通して言ってくれればいい。」

 《ルナ…あなた達も本当にありがとう。でも、今度は私があなた達の力になれれば、と思っています。》

 「あはは、その時は宜しく頼むよ。」


 「なるほどな。まぁ、いつかお前らの世界へも行くか。そこの4人は恐ろしいが面白そうだしな。」

 「は!波旬!?」

 「いつの間に!?」

 「いつの間も何も、私はそんな感じだぞ。」

 「あー、そうかもなー。」

 「まぁ、悪さしなけりゃいつでも来るがいいさ。」

 「悪さって何だ?」

 「……そういうトコが怖ぇんだよ……」


 《さ、さあ。迎えが来たようです。》

 

 最後に挨拶を、とも思ったけど、その時間も無いみたいだね。

 天幕の中ではあの人達が未来を見据えた真剣な話し合いをしているだろうし、邪魔しちゃいけないもんね。

 ただ。

 天幕の外で、私達を見る一人の女性が居た。

 何となく透けて、淡く光っている感じ。

 フィラフォサさん、だ。

 きっと、お別れの為にココロさんが顕現させたんだと思う。

 笑顔で、私達に手を振っている。

 その表情は、とても素敵だった。



 そして私達は、眠りに誘われるようにこの世界を後にしたんだ。



 ―――――



 優し気な潮騒の音と潮の香りの優しい風を感じた。


 目を覚ますと、うちなーの仮設ベッドの上だった。

 眩しい朝日と青い空が、おかえりと言っているような気がした。


 目が覚めて不思議と理解したんだ。

 ここではたった一夜の出来事、一夜の夢のような感覚だ。

 本当にあった出来事なのかどうか、寝ぼけた頭では理解しがたいのも事実だ。


 でも、これだけははっきりとわかった。

 あの人達に、また会えるって。




 Fin


 何とか形になって、正直安堵しています。

 思った以上に難しかったエピソードとなってしまいました。

 書いては消して書き直しを繰り返してきたので、若干ちぐはぐな点もあったかと思いますが、その点は申し訳ありませんです。

 これが私の精一杯という事で。


 さて、一応本編に関わるエピソードはこれで完結となります。

 番外編としてはもう1つ続きますが、こちらは完全な番外編、つまりオマケ的な話となります。


 ここまでお付き合いいただいた読者の皆様には心からの感謝を。

 それでは、番外編2でまた。

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